朝食にお昼におやつ、日々の生活にそっと寄り添うパンは今やなくてはならない存在だ。近隣住民やそこで働く人たちがこぞって訪れる、町のパン屋さんを「おと週町パン隊」が大調査。味はもちろん、お店の人や雰囲気までチェックして選定し…

朝食にお昼におやつ、日々の生活にそっと寄り添うパンは今やなくてはならない存在だ。近隣住民やそこで働く人たちがこぞって訪れる、町のパン屋さんを「おと週町パン隊」が大調査。味はもちろん、お店の人や雰囲気までチェックして選定した4軒をご紹介します。

吉祥寺「トーホーベーカリー」」

創業73年という長い歴史を受け継ぎながら、店の内装やパンの種類、味わいは時代に合わせて変化。大人気の「自家製サクサクカレーパン」も、3代目・松井成和さんが生み出したもの。

人気の塩パンは一人5個までの限定だ

サクサクという音が響く軽快な歯触りで、噛み締めるともっちりしっとり。中のカレーは辛さより野菜や肉の深〜い旨みが際立っている。また、季節のフェアやイベント、記念日に合わせた割引などが行われ、週1ペースで新しいパンも登場するなど「ここに来れば間違いない」と思える魅力に満ちていて、つい通ってしまうのだ。

荻窪「Honey」

具材の組み合わせに技を感じるサンドイッチ目当てのお客さんが多く、かくいう私もそのひとり。一番人気の「世界一おいしい!? 野菜たっぷりたまごサンド」は、ゆで卵や野菜がたっぷり挟まれているが、ハーブやアンチョビを合わせたマヨネーズの旨みが食欲を刺激してボリュームを感じさせない。その日に焼いたものを使っているという食パンもしっとりふわふわで、具材との一体感が最高なのだ。

右奥が一押しの「野菜たっぷりたまごサンド」だ

「モノづくりが好きで、自分なりのレシピを考えるのが楽しい!」とは、店主の津村さん。溢れる創作意欲がひしひし伝わってきて、前職はアパレル会社のデザイナーと聞き合点がいった。趣味の焼菓子作りが高じて2005年にあんぱんと焼菓子の店でスタート。

想像以上にあんぱんが好評でパン作りが楽しくなって種類が増え、津村さんが大好きだったサンドイッチも凝り始めたら止まらなくなったという。グリルしたナスのコクが食欲をそそる「B.L.T.N」や海外で食べた味をアレンジしたバインミーもぜひお試しを!

早稲田「イトウベーカリー」

学生時代、何度通っただろう。木のショーケースに所狭しと並ぶパンは何食べたって大正解。中でもお気に入りが「コロッケパン」。注文してからコロッケを挟んでくれるタイプだから衣がさっくさく、歯切れ良いパンの甘み、じゃがいものホクホク感、それらを引き立てるソースが絶妙なのだ!

味の風格からしてさぞ歴史があるのだろう、と思ったらオープンは2018年。赤坂の老舗『長野ベーカリー』に勤めていた店主が、閉店を機に独立を果たした。パンは名物コロッケパンなど『長野ベーカリー』の味を引き継ぎつつ磨きをかけた。例えば、コロッケパンの生地は時間が経ってもしっとり感が保たれるように改良を重ね、ソースは全体のバランスを考え程よい酸味のものを合わせた。

試行錯誤の歴史はコロッケパンだけじゃない。「思い入れがないパンはない」と店主が言うほど。一番苦労したという「カレーパン」は、じゃがいもを練り込んだ生地の食感がなんとも軽やか。こちらも必食だ。

飯田橋「ファリーヌキムラヤ」

銀座の『木村屋總本店』の暖簾分けとして、1905年に開店。約100種類あるパンで充実しているのが惣菜パン。「安くてボリューミー」を意識し、カレーパンやピロシキのフィリングもサンドの具材もたっぷり。

一押しの「ラウンドパン」(写真左)とピロシキ

4代目店主が取り入れた「お肉屋さんのメンチカツ」や、ひと口サイズの「お肉屋さんのやわらかカツ」のような“新顔”も評判だ。

『おとなの週末』2024年6月号より(本情報は発売時のものです)

…つづく「東京で大行列《幻のサンドイッチ》を覆面で大調査…!なんと2時間で完売、定番の「たまご・ハムカツ」から「フルーツサンド」まで全3店で実食」でも、入手困難なサンドイッチを覆面調査隊が並んで実食。その味をレポートします。