ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、8月22日の放送にクリエイティブディレクターの辻愛沙子(つじ あさこ)が出演。自身の仕事と、かける思いなどを語った。

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「辻愛沙子さんは『社会派クリエイティブ』を掲げて、幅広いジャンルでクリエイティブディレクションを手がけられていると。この社会派クリエイティブについてじっくりと伺っていこうと思います」

辻愛沙子「普段はクリエイティブディレクターという仕事をしています。広告や映像をつくったり、あるいは空間のデザインをしたり、とにかくいろんなアイディアを考えてデザインに落とし込んで、世の中にお伝えする、といった仕事をしています。その届け方を考える、という仕事をしている中で、政治の話、ジェンダーの話、いろんな社会課題に対して、文字どおり広告の“広く告げる”技術が役に立てられるのではないかと考え始めて」

長野智子「はい」

辻「arcaという会社を経営しているんですけど、ここは社会にとってプラスになるクリエイティブを届けていく、ということを掲げているんですね。たとえばグラフィックデザイン、言葉、映像……。広告だけでなくエンターテインメントの領域でもあるんですけど、そういう表現だからこそ訴えかけられる社会の課題があるのではないかと考えながら、普段、いろんなデザインをしたり、コピーを書いたりしています」

長野「そのアプローチにしようと思ったのは学生時代だったんですか?」

辻「映像をつくりたかったので広告業界に行きたい、というのは最初に決めていました。でもそのときはここまで社会課題のことを軸に置いていなくて。いざ広告業界に足を踏み入れると、料理のCMは比較的女性がキッチンに立っている、逆にビジネスクレジットカードだと男性がネクタイを締めている、みたいなことが多かった。ジェンダーひとつとっても、そういうステレオタイプを生んでしまっている業界でもあるんだなと」

長野「なるほど」

辻「足を踏み入れて初めて知ったところがある、それをひっくり返すこともクリエイティブでできるのでは、ということも思い始めました」

長野「海外ではけっこう普通にあるアプローチなんですか?」

辻「そうですね。企業が社会的発言をバシッとする、ということはアメリカだと多くて。たとえばナイキが有色人種の差別に対して声を上げて」

長野「ありましたね」

辻「賛否が分かれる、ということが起こりうるものを企業がメッセージを出したり広告を通じて発信したり、というのは多い。広告賞も社会課題の領域のカテゴリーがあるぐらい。日本はまだ開拓の途中なのかなと。ここ数年で増えてきた感覚はあります」

長野「変わってきたのは本当にここ2、3年」

辻「たとえば3月8日の国際女性デーで、弊社だとGoogleさんと一緒にいろんな取り組みをしています。企業が社会的なモーメントのタイミングでメッセージを届ける、というのが増えてきたかな、というのは思います。広告だけでなくて最近だと『虎に翼』」

長野「はいはいはい、私も大好き!」

辻「ああいうドラマを通じてだからこそ届けられる課題、というのもあるのかな、と思いますね」