98年の札幌記念で連覇を達成したエアグルーヴ(撮影:高橋正和)

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 武豊騎手は札幌記念で騎手別最多の8勝を挙げている。これは武豊騎手の重賞別勝利数で見ても、京都大賞典の9勝に次いで2位タイの数字だ。そこで今回は過去の印象的なレースを振り返りたい。

 最初の勝利はGIII時代の93年だった。パートナーは1番人気のナリタチカラ。道中は中団後ろに待機したが、勝負所で差を詰めて直線へ。残り100mで先頭に立つと、追ってきたヒットザマークをクビ差抑えてゴール。前々走の新潟大賞典、前走の阪急杯がともに3着と、重賞であと一歩の競馬が続いていたパートナーを見事、初タイトルに導いた。ちなみにこれは武豊騎手の札幌重賞初制覇でもあった。

 97年と98年は名牝エアグルーヴとのコンビで沸かせた。97年は単勝1.8倍の1番人気に推され、エリモシックに2馬身半差の完勝。そして翌98年は天皇賞馬の金看板を得ての参戦。道中は大逃げを打ったサイレントハンターから10馬身ほど離れた中団を追走。徐々に差を詰めると、残り100mで先頭に立ち、終わってみれば3馬身差の圧勝だった。ちなみに札幌記念を連覇した馬はエアグルーヴが最後となっている。

 そして直近の勝利は13年のトウケイヘイローだ。この年は札幌競馬場のスタンド改築工事のため、函館がロングラン開催となって極度に荒れた馬場に。それに加えて重馬場という、実にタフなコンディションでのレースだった。そんな中、トウケイヘイローは速めのラップで逃げ、勝負所で後続との差を開く。4角ではセーフティーリードを取り、2着のアスカクリチャンに6馬身差の楽勝。馬場を読んだ、武豊騎手の好リードが光るレースだった。

 今年は21年の日本ダービー馬、シャフリヤールで参戦予定の武豊騎手。11年ぶりの9勝目となるか、その手綱捌きに期待が高まる。