何かのきっかけで高校などの卒業アルバムを見返していた時、「もしかしたら同じクラスの中にはすでに死んでしまった人もいるかもしれない」と考えたことがある人もいるかもしれません。1950年代後半に高校を卒業した数千人を対象にした研究では、「高校の卒業写真から早死にするリスクが高い人をある程度予測できる」という結果が示されました。

Looks and longevity: Do prettier people live longer? - ScienceDirect

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S027795362400529X



Your High School Yearbook Photo Could Predict How Long You'll Live : ScienceAlert

https://www.sciencealert.com/your-high-school-yearbook-photo-could-predict-how-long-youll-live

人の外見から健康状態を予測できるという説は以前から唱えられており、過去の研究では「顔が魅力的な人は免疫機能が比較的高い」という結果も報告されています。しかし、外見的な魅力が長生きと関連しているのかどうかについては、詳しいことはわかっていませんでした。

そこで、アリゾナ州立大学の社会科学者であるコナー・シーハン准教授とテキサス大学オースティン校の経済学者であるダニエル・ハマーメッシュ教授は、高校の卒業アルバムに掲載された写真で判断した外見的な魅力が、その人の寿命を予測する役に立つのかどうかを調査しました。

2人は論文で、「顔の魅力と長寿の関連性についてはほとんど知られていません。しかし、外見的な魅力は重要な社会階層形成のプロセスを体系的に構造化しており、根本的な健康状態を伝えている可能性があります」と述べています。



研究者らが今回の研究で用いたのは、1957年にアメリカ・ウィスコンシン州の高校を卒業した人々を対象にしたウィスコンシン縦断研究のデータでした。研究では8386人分の卒業写真を、男性6人・女性6人からなる独立した審査団に評価してもらい、外見的魅力に基づいて「最も魅力的なグループ」から「最も魅力的でないグループ」まで6グループに分けてもらったとのこと。

その後、アメリカ全国保健統計センターが収集した2022年までの死亡データと比較し、外見的魅力と死亡リスクの間に関連性があるのかどうかを分析しました。なお、2022年の時点で被験者らは80代前半になっており、全体の43%が死亡していたそうです。

分析の結果、卒業写真に基づいた評価で「最も魅力的でないグループ」に入った6分の1の人々は、中間に位置する4グループの人々よりも死亡率が16.8%高いことが判明しました。つまり、卒業写真の外見的魅力が低かった人々は、そうでない人々よりも早死にしやすかったというわけです。一方、中間に位置する4グループと「最も魅力的なグループ」の間の死亡率には有意な差がみられませんでした。

「最も魅力的でないグループ」に入った女性は20歳時点での平均余命が他の人々より約2年短く、同グループに入った男性は20歳時点での平均余命が約1年短かったとのことです。

研究者らは論文で、「大まかに言えば、顔の魅力が最も低いと評価された人は平均的または魅力が高いと評価された人に比べて、生涯を通じて死亡リスクが高いことがわかりました。重要な点は、平均よりも魅力的だと評価された人は、寿命における有利がほとんどなかったという点です」と述べました。



今回見つかった関連性は、教育レベルや収入といった要素を考慮しても維持されましたが、健康状態は最も関連性に対する影響が大きかったとのこと。これは、健康状態の悪さが外見的魅力に悪影響を及ぼし、結果として外見的魅力と寿命に関連性が生じていることを示唆しています。

研究者らは、「社会科学者は健康や長寿との関係に寄与すると思われるその他のプロセスに、外見的な魅力がどのような影響を与えるのかを探る必要があります」とコメントしました。