by Yonhap

韓国のeコマースプラットフォームである「TMON」と「WeMakePrice」で大規模な支払い遅延が発生し、消費者や中小企業が打撃を受けました。この問題に対し、韓国政府が5600億ウォン(約620億円)の資金援助を行う予定であることが報じられました。

Cash-strapped Tmon, WeMakePrice file for court receivership

https://www.koreaherald.com/view.php?ud=20240729050547

South Korea to support vendors hit by Qoo10 payment delays, founder pledges compensation | Reuters

https://www.reuters.com/business/retail-consumer/south-korea-prepares-support-e-commerce-vendors-hit-by-payment-delays-2024-07-29/

TMON, WeMakePrice file for court receivership amid liquidity troubles - KED Global

https://www.kedglobal.com/e-commerce/newsView/ked202407290012

伝えられるところによると、シンガポールを本拠とするeコマース企業・Qoo10が運営している韓国の通販サイトのTMONとWeMakePriceで発生している問題は、通販サイトから商品を扱う販売業者に対する支払いの遅滞が原因とのこと。

TMONとWeMakePriceからの支払いがないことを理由に、販売業者は商品の引き渡しを拒否しました。さらに、両サイトの決済代行会社がクレジットカードでの決済取り消しを拒否したため、クレジットカードで商品を購入したユーザーは商品の受け取りも注文のキャンセルもできないようになりました。

「ティモン」と「ウィメプ」の代金支払い遅延 被害広がる l KBS WORLD Japanese

https://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=88231



そして、TMONとWeMakePriceは2024年7月29日に、企業の倒産を所管するソウルの回生裁判所に企業回生手続きを申請しました。これは、財政難に陥った企業が債務と事業を整理するプロセスですが、債権者の資産が一時的に凍結されるため、販売業者らは当面の間支払いを受けることができなくなります。

一方、改正手続き中に債権者の承認が得られなかった場合は倒産のおそれがあり、その場合も販売業者は資金を回収することが困難になります。裁判所は2社の申請を審査し、申請から1週間以内に可否についての判断を下す見通しです。

29日に発表された政府の推計によると、販売業者に対する両社の債務総額は2134億ウォン(約240億円)で、内訳はTMONが1280億ウォン(約140億円)、WeMakePriceが854億ウォン(約95億円)です。これは25日の時点での数字であるため、額は日ごとに増えると見られています。

支払い遅延の被害を受けた中小企業を救済するため、韓国政府は5600億ウォンの資金を投入し、低金利の融資や既存の融資の返済および納税の猶予などの支援パッケージを打ち出しています。

企画財政部第1次官の金範錫(キム・ボムソク)氏は会見で、「WeMakePriceとTMONは支払い不履行の責任を負わなければなりませんが、政府はこの事件を収拾し、消費者を保護するために緊急財政支援を行います」「政府は利用可能なすべての資源を活用し、被害を最小限に抑えます」と話しました。



TMONとWeMakePriceが取引企業への支払いを滞らせ始めたのは2024年7月に入ってからのことで、両社の親会社であるQoo10は当初支払いシステムの不具合が原因だと説明していました。

しかし、事情に詳しい関係者の話によると、Qoo10は積極的な合併や買収取引により財政的に圧迫されており、TMONとWeMakePriceはそれぞれが数百もの販売業者に対して巨額の未払い債務を抱えているとのこと。そして、ソフトバンクが出資する宿泊予約プラットフォームのYanoljaなどの旅行サービスプロバイダーを筆頭に、一部のベンダーはQoo10を通じた注文は無効であると消費者に通知したり、Qoo10の系列企業との取引を打ち切ったりしました。

そのため、TMONとWeMakePriceの事務所には返金を求める声が殺到し、激怒した顧客が長蛇の列を作ったとのことです。

Qoo10の創業者兼CEOであるク・ヨンベ氏はこの問題について謝罪し、声明で「私の資産の大半を占めるQoo10の株式すべてを売却、あるいは担保として利用し、この状況の解決に役立てるつもりです」と話しました。