○製造業向けの良コスパで長期間利用可能。そしてリプレースも容易な製品

2024年6月19〜21日、RX Japan主催の「ものづくりワールド 東京 2024」が開催されました。ものづくりワールドは複数の関連展示会の総称で東館と南館すべてを使っていましたが、南館1ホールで行われていた製造業DX展[東京]2024にエプソンダイレクトが出展していました。

ものづくりワールド 東京 2024の会場。取材に行ったのは最終日で、会場にいた主催者スタッフによると一番混んでいたとの事でした

エプソンダイレクトブースは画面中央付近のS6-6ブースでした

製造業に向けた展示会という事で、展示されているパソコンは製造業(特にライン)で使われるもの。ものづくりという観点でいえば、本来工場専用機であるファクトリーコンピューターを使うのがよろしいですが、お高いものです。

もう少しリーズナブルに。でもある程度の安定さは欲しいというニーズに応えたのがエプソンダイレクトの製品で、今回は展示内容パネルでそのような訴求をしていました。

エプソンダイレクトのパソコンはタワー型、ノート型、タブレット型もラインナップしていますが、今回展示されていたデスクトップパソコンはこの4製品となります

かつてPC-98シリーズが日本のパソコン市場でスタンダードとなっていた際、工場向けにFC-98シリーズというものを販売していました。

FC-98もお高いためPC-98をものづくりで使用する現場は多く、2003年でPC-98シリーズが販売終了になったのち、現場で壊れたPC-98の交換用として中古の引き合いが増えたという話もあります(FC-98シリーズも2004年に販売が終了しており、2010年には保守も終了しています)。

以降の製造現場でのパソコンはIBM PC/AT互換機のWindowsベースが主流となっています。PC/AT互換機と言っても進化の歴史がありますが、製造業向けとして見逃せないのが「変わらない事」となります。

エプソンダイレクトの製品は中身は進化していますが、Endeavor AT998シリーズのように20年以上筐体の大きさと基本レイアウトを変えておらず、PS/2キーボード/マウスコネクタやシリアル、パラレル/アナログディスプレイ端子が標準という製品が現在も販売されています。通常の民生機とは異なり製造現場で使う事、リプレースに最小限の変更で済む設計と言えるでしょう。

最大7年の保証期間も「使えるなら使い続ける」製造現場ならではの製品と言えます。そして一台から発注でき、最短2日出荷という小回りの利く販売体制も魅力です。

倉庫から発掘された昔のPCではなく、現行製品のEndeavor AT998シリーズ。製造現場で長く使えるWindows 10 IoT Enterprise LTSC搭載モデルやOSなしモデルも用意されていますが、20年以上筐体サイズをかえておらず、昔のインターフェースも保持しているのがポイントです。ということで、あえて後ろ側をアピール

今回の展示会では説明パネルを一新。工場用の専用機がいいのは当然ですが、やはり高価。そこでダウンサイズされた民生機でありながら、長い保証期間(最長7年)、長期供給、安定したOSの提供、豊富なBTO構成かつ短納期をアピール

製造現場の場所に応じて最適なPCを提案。最近はライン中にカメラを使用した良品判定も使われているのでGPUの追加が可能な製品も用意されています

移動する作業員向けのタブレット製品も提案

エプソンダイレクトブースですが、スマートグラスMOVERIOも展示。熟練作業員は本社でチェックポイントを指示したり、図面を送って作業支援を行う提案をしていました

説明パネル。図面のペーパーレス化により、両手がふさがることなく確認できるというメリットもあります

○メーカー再生部品の提供を開始し、OSなしモデルを拡充

会場では展示がありませんでしたが、直近では二つの施策を発表しています。一つは「エプソンがPCのメーカー再生部品を販売開始」です。

すでに環境活動の一環として、初期不良品や「無料貸し出しプログラム」で一度使用した貸出機や展示会などで短期間使用した製品の部材を再利用する「PCのリファービッシュ品」を販売していました。今回、PC全体ではなくカスタマイズ時に『PCのメーカー再生部品』が選択できるようになりました。

再生部品というと聞こえが悪いのですが、エプソンの工場で検査・検品・クリーニングをしているので高品質。また通常品と同等の保守サービスが選べるので新品パーツとそん色ないもので、コストを抑えて導入することができるようになっています。

画像はプレスリリースから。以前はリファービッシュ品のみの提供でしたが、追加パーツでもメーカー再生部品が選択可能に。中古というと聞こえが悪いですが「通常よりも長いバーニングテスト済」と考えると悪くない気がします

もう一つは「高性能ウルトラコンパクトPCのOSなしモデルが登場」しました。

GPUやM.2SSDが最大4つを搭載可能ながら容量2.8Lとコンパクトな筐体が魅力のEndeavor SG150をベースに搭載OSなしのDG150をラインナップに追加。このため業務にあったOSを使用することが可能となります。

DG150はUbuntu Desktop 22.04 LTSの動作検証済(ですが、サポートはありません)。当然ながら一台から発注可能で最短2日から出荷が可能と短納期なのも魅力です。

OSまで含めたオリジナル構成を多数導入するには手間がかかりますが、このようなニーズに応える「キッティングBTOサービス」も用意されています。