門脇麦、台北を旅しながら、森との絆を取り戻す人々と出会う。

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俳優になる前から惹かれていた台湾映画に出演

6月14日から全国公開中の台湾・日本合作映画『オールド・フォックス 11歳の選択』(ホウ・シャオシェン/プロデュース、シャオ・ヤーチュエン/監督)に出演している門脇麦さん。俳優の道に入る前から惹かれ続けてきたという台湾映画への出演は念願だった。

映画の舞台は1989年、バブル景気に沸く台北郊外で、父と慎ましく暮らすひとりの少年の人選の選択と葛藤を繊細に描いた物語だ。門脇さんが演じたのは主人公の父の幼馴染の台湾人女性。セリフももちろん中国語とあって、撮影前から台湾の言葉や文化、時代背景などを学んできた。

FRaU8月号『SDGs 木と森がつくる、未来』特集では、思い出と思い入れがたっぷりの台北を再訪。森と木との絆を取り戻そうと活動する台北の人々の取り組みを追った。

台北を旅しながら、森との絆を取り戻す人々と出会う。

撮影のため初めて訪れた台北の印象は、「都会なのに緑が多くて、気持ちがいい!」ということ。幼い頃からアウトドア好きの父親に連れられて登山や釣り、スキーなどに親しんできた門脇さんにとって、大人になった今も自然は人生に欠かせないもの。年々緑が減っていく東京に暮らしながら、どうしたら森や木々と一緒に生きていけるのか、考える機会も増えたという。

国土の約3分の2を森林が占める台湾は、首都台北にも木々が多く、種類も豊富。だが実は、過去に森林を守るために天然林の伐採を禁止したことから、放置された森が荒廃。土砂崩れなどの自然災害も増加している。

そんな現状を受けて近年、政府や民間、市民が一丸となって、自国の森からとれる木材を積極的に使い、適切に森林に手を入れつつ、持続可能な森づくりをしようという機運が高まっている。

旅先で出会った人々の言葉から学んだこと

山をテーマにしたコンセプトストアや、樹齢100年以上のガジュマルの大木の下でローカルフードを食べられる屋台村、土壌や森を傷つけずに野菜を作るオーガニック農家が集まるファーマーズマーケットなど、様々な場所を巡り、多くの人の言葉に耳を傾けた。

植物や鳥、虫や昆虫をこよなく愛する門脇さん。このまま日本の森が荒廃していくと、大好きな自然が失われてしまう……。一足先に持続可能な森づくりへと舵を切った台湾の人々の言葉に、たくさんの気づきと学びを得たようだった。

「映画撮影時にはゆっくり回ることのできなかった台北ですが、今回の取材でより深く、台湾の自然と、それとともに生きる人々に出会うことができました。台湾の街や台湾映画にむしょうに惹かれてきた理由が、分かったような気がしています」

門脇さんはこう語りました。

門脇麦(かどわき・むぎ)俳優。1992年、東京都出身。14年に映画『愛の渦』などで「第88回キネマ旬報ベスト・テン」新人女優賞を受賞。現在公開中の台湾日本合作映画『オールド・フォックス 11歳の選択』に出演中。

『オールド・フォックス 11歳の選択』

1989年の台北郊外。父と慎ましく暮らす11歳のリャオジエは、いつか家を買い、亡き母の夢だった理髪店を開くことを願っていた。しかしバブルによって不動産価格が高騰し、親子の夢は断たれてしまう。ある日、リャオジエは「腹黒いキツネ(オールド・フォックス)」と呼ばれる地主のシャと出会う。シャは思いやりのある誠実な父とは違い、生き抜くためには他人を見捨てろと言い放つ。現実の厳しさと世の不条理を知ったリャオジエは2人の大人の間で揺らぎ始める。本作が最後のプロデュース作品となる名匠ホウ・シャオシェンが台湾映画の次世代を託したシャオ・ヤーチュエン監督によるヒューマンドラマ。

監督::シャオ・ヤーチュエン

製作:ホウ・シャオシェン リン・イーシン 小坂史子

出演:バイ・ルンイン リウ・グァンティン アオキ・チェン ユージェニー・リウ 門脇麦ほか

https://oldfox11.com/

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文/小林百合子 写真/鄭弘敬 スタイリング/ 渡邉恵子 ヘアメイク/秋鹿裕子

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取材協力/台湾観光庁 https://jp.taiwan.net.tw/

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