6月16日デビュー予定のラトラース(6月6日撮影:井内利彰)

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 先週の東京芝1800mで行われた新馬戦。ここでも取り上げたクロワデュノール(栗東・斉藤崇史厩舎)が1着だったが、その勝ち時計は1分46秒7。2020年以降の2歳新馬で1分47秒を切る勝ち時計はない。1分47秒前半は何頭かいて、そのうちの1頭が1分47秒2で勝ったタスティエーラ。のちのダービー馬だから、速い時計で勝つことが能力を証明するといってよい。

 ちなみに2着馬アルレッキーノ(美浦・国枝栄厩舎)は3着に4馬身差をつけて、1分47秒1。クロワデュノールはもちろん、2着馬も今後の活躍が楽しみになるレースであったことは間違いないだろう。

【6月15日(土) 東京芝1600m】

・ミンストレルソング(牝、父ロードカナロア、母ダンスファンタジア、栗東・音無秀孝厩舎)

 祖母ダンスインザムードは2006年ヴィクトリアマイルでGIを勝っており、母ダンスファンタジアは2011年フェアリーSで重賞制覇。そして、全兄グラウンドビートは先週の青梅特別を勝って、ダートでは負けなしの3連勝となっている。

 本馬は5月26日の坂路で4F52.9秒をマーク。終いは13.5秒を要していたが、音無秀孝調教師は「併せた相手に合わせただけで、余裕のある動き。CWでどんな動きをするか見てみたい」ということで、6月5日がCWでの3頭併せ。古馬1勝クラスには手応えで見劣ったが、6F81.2秒をマークしており、初めてCWで追い切ったことを考えると上々の走りだった。レースでの鞍上はT.オシェア騎手が予定されている。

【6月15日(土) 函館芝1200m】

・ドゥアムール(牝、父ロードカナロア、母ルシュクル、栗東・中竹和也厩舎)

 母ルシュクルは函館芝1200mでデビュー勝ち。半姉ブランボヌール(父ディープインパクト)、半兄ビアンフェ(父キズナ)は函館2歳Sを勝っており、いわゆる「函館血統」。しかもそれらはみな中竹和也厩舎で管理されており、ゆかりある血統。

 全姉ロータスワンドも函館芝1200mで新馬勝ちしているが「体つきはこちらの方がいい」と中竹和也調教師。栗東で目立った時計を出しているわけではないが、函館競馬場への輸送も無事クリア。追い切りうんぬんよりも、血が得意とする函館でどんなパフォーマンスを見せるか注目だ。

【6月16日(日) 京都芝1600m】

・ラトラース(牡、父キズナ、母ローブティサージュ、栗東・中内田充正厩舎)

 母は2012年阪神JFでGIを制覇。半兄に芝で4勝を挙げたリアンティサージュ(父オルフェーヴル)がいる血統。

 本馬は3月29日にノーザンファームしがらきから栗東へ入厩。ゲート試験合格後にしがらきへ戻って調整。5月23日に栗東へ再入厩して、デビューに向けた追い切りを開始。6月6日のCWでの1週前追い切りにはレースでも騎乗予定の川田将雅騎手が跨り、古馬3勝クラスを追走。6F88.2秒と遅い全体時計になったが、ラスト1Fは11.2秒と鋭いラップを踏んでいる。馬体の雰囲気は素晴らしく、実戦でどのような走りを見せてくれるか楽しみ。

・サディーク(牝、父Into Mischief、母Moonshine Memories、栗東・河嶋宏樹厩舎)

 母系には京都ジャンプSなど障害で3勝を挙げているエコロデュエル(父キタサンブラック)、ダートで3勝、芝で1勝を挙げているシャンブル(父ハーツクライ)がいる血統。日本で活躍する父産駒には今年の青竜Sを勝ったソニックスターがいる。

 本馬は5月16日にゲート試験を合格。その後も栗東に在厩して、坂路での追い切りを消化した後、5月30日のCWでは6F82.5秒をマーク。1週前追い切りはCWで西村淳也騎手が跨って、3歳未勝利を追走してなんとか追いついたという形だったが、ラスト1Fが11.6秒。2週前追いのCWでの動きに比べると、終いがかなりしっかりした印象。追われるごとに良くなっているだけに、最終追い切りの動きも注目だろう。

(取材・文:井内利彰)