さくらインターネットは日本のエヌビディアになれるのか?
●上昇を続けるさくらインターネット株
レンタルサーバーなどのインターネットサービスなどを手掛けるさくらインターネットは、新株発行で約188億円を調達すると発表したことが好感され、6月6日に株価が一時約3%超上昇した。【こちらも】さくらインターネット、人材、設備への先行投資を加速、生成AI向けGPUクラウドで営業利益126%増、過去最高益を目指す
さくらインターネットは、昨年末頃から株価上昇を続けており、昨年の同時期には600円台だった株価は、3月8日には8120円を記録し、約12倍に上昇した。
その後、少し下落する場面もあったが、現在も5000円台をキープしている。
昨年末にはGPU(画像処理半導体)でエヌビディアとの提携が報道され、国や地方の行政機関が利用するクラウドサービスの事業者に日本企業として初めて選ばれるなど、成長を続ける企業である。
名実ともにハイテク株の一角として日本のエヌビディアのような存在になれるのだろうか?
●さくらインターネットとは?なぜ株価が上昇?
さくらインターネットは、現代表取締役の田中邦裕氏が1996年に創業。舞鶴工業高等専門学校在学中に寮内でサーバーのレンタルが好評だったことがきっかけで、1998年にはさくらインターネットを設立した。レンタルサーバーの価格破壊に成功し、mixiやGREEなど、かつて日本のIT企業がスタートアップと設立された時には、さくらインターネットが使われていた。
2005年に東証マザーズに上昇。2011年には双日の連結子会社となり、2015年から東証1部(当時)へ変更した。
政府の資金でエヌビディアのGPUを購入し、AI向けデータセンターを東京・大阪・北海道に設立している。日本にはAIを学習させるための半導体を搭載したデータセンターがなく、国策で注力している。
2023年末にはクラウド化を進めるために、これまでGoogle、Amazon、Microsoftの外資系した認定を受けていなかった政府クラウド事業者に、国内企業として初めて認定された。
だが認定条件自体は満たしておらず、2025年末までに性能条件を満たすことという異例の認定だった。
●期待先行の部分も?
時価総額では上場企業全体の550位くらいで、売り上げもこの1年でほぼ横ばい。PERは約145倍、PBRは約20倍で株価だけが期待で上昇している感が拭えない。エヌビディアのような大企業になるまでにはまだまだ時間がかかりそうである。
今の段階では国策銘柄としての人気が高く、エヌビディアとの連携も好感されてその株価に吊られて上昇している部分もある。
伸びしろのある株ではあるが、今後も決算が伸び悩んだり、AIや半導体に悪材料が出た時に急落するリスクもあるため、安易に上昇に乗るのは危険な株かもしれない。