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ぐずついた天気に振り回された今週。天候に左右されない映画館でゆっくり異世界を楽しんでみては。

今回は、今映画館で観られる作品を3つ紹介します。もちろんネタバレなしです。

ホラー耐性必須の『変な家』

Image: 東宝MOVIEチャンネル

現在大ヒット公開中の映画『変な家』。結論からいうと、確かに想像していたよりも怖い映画ではあったのの、「ミステリー」と「Jホラー」を足して2で割ったような、多少無理やりさを感じてしまう作品でした。

本作のキーアイテムとなるのは、ワケありの変な間取り図。オカルトコンテンツを配信する動画クリエイター、雨宮がその不可解な謎を追っていくうちに奇妙な現象に巻き込まれていく、というのが簡単なあらすじです。

前半に関してはハラハラドキドキさせられるシーンがいくつもあったり、主人公と一緒に謎を追っていく感覚を楽しむことができました。ただ、個人的に違和感があったのが映画の後半部分。

物語が進むにつれ謎はどんどん明らかになっていくものの、ある事実が発覚した途端、シーンがミステリーからアジアンホラーのような鬱々とした雰囲気へガラッと変わったり、物語の展開があまりにも早すぎて、「一体何が起きてるんだ...」状態に。個人的には人間関係や物語を含めたいろいろな点で物足りないと感じる部分があり、映画を見終えたときはモヤモヤが残りました。

ちなみに、本作はPG12やR15+などの年齢制限はないものの、全体的にそこそこグロシーンが多めだったので、残虐描写がニガテな方は注意した方がよろしいかと。

『変な家』は記事公開時点で、TOHOシネマズ 新宿、渋谷HUMAXシネマ、ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場などにて公開中です。上映情報は公式のこちらをご確認くださいね。

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映画『変な家』、原作を知らずに見に行った結果...

話せる人間に出会った猿が驚愕。『猿の惑星/キングダム』

こちらはFOXが公開した、映画『猿の惑星/キングダム』の最終予告編(英語版)。映画の主要なシーンのハイライトが折り込まれていますが、新しい情報が明らかにもなっています。ここではネタバレは書きませんが、予告編で明かされていますので、自己責任でご覧ください。

これまでのシリーズでは、猿は言葉を話せるけど、人間は話せないという設定でした。しかし、予告編でも見られるように『猿の惑星/キングダム』では、話せる人間に出会った猿たちが驚愕するというシーンが出てきていますね。

2017年公開の『猿の惑星: 聖戦記』の最後で、人類の大部分を死に至らしめた猿インフルエンザが変異し、人間を退化させる作用があることが明らかになっていました。『猿の惑星/キングダム』は何世代も後に設定されているので、人間の退化作用は既に終わっているという世界と仮定できます。つまり、残っている人間は、(リアルの世界の私たちで言う)野生の動物になっているということです。

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実際に予告編でも、猿たちが完全に支配し人間を狩る姿が見られます。でも、すべての人間が野生化しているわけではないようです。なぜ野生化して言葉を失った人間の中で、この少女は話せるのか? いろいろな疑問は、やはり映画を見ることで解決しそうですね。

『猿の惑星/キングダム』は記事公開時点で、TOHOシネマズ 新宿、ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場、新宿バルト9などにて公開中です。上映情報は公式のこちらをご確認ください。

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進化した猿と人間の戦い…『猿の惑星/キングダム』は今週末公開

『オッペンハイマー』は歴史認識の帰結ではない

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『インターステラー』や『ダークナイト』などで知られるクリストファー・ノーラン監督による映画『オッペンハイマー』は、理論物理学者であり世界で初めて原子爆弾を開発したロバート・オッペンハイマーの半生を描いた伝記映画です。本作は、批評家・観客どちらにも評価され、第96回アカデミー賞では作品賞や監督賞などを受賞しました。

「原子爆弾を開発した男の物語」がセンシティブな題材であることは間違いありませんが、日本人にとっても原子爆弾の脅威と歴史を改めて認識する意味で価値のある作品でしょう。

この作品は、ロバート・オッペンハイマーが学生時代から妻との出会いや原子爆弾の開発へとその半生を振り返るようなストーリーで、その上映時間は3時間ちょうどです。これでもかと詰め込んだオッペンハイマーの栄光と凋落、そして彼の心情を丁寧に描き、感情が次第に変化していく様は本当に見事なものと思えました。一方で、時代がめくるめく変化していき、ときに時系列もズレるような構成は少し複雑。注視する必要があるといえます。

『オッペンハイマー』は、素晴らしい作品であることは間違いなく、そして原子爆弾に対する認識についても一貫した姿勢を示しているはずです。そしてこの映画は、これ自体が帰結ではなく、ここで語られた物語を観てどのように事実を認識して、どういった歴史があったのかを考えるためのもののように感じます。また、今も世界で戦火が広がっていることも認識して知らなければならない、とそんな風に思いました。

『オッペンハイマー』は記事公開時点で、TOHOシネマズ 新宿、グランドシネマサンシャイン 池袋、横浜ブルク13などにて公開中です。上映情報は公式のこちらをご確認ください。

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映画『オッペンハイマー』:この作品は歴史認識の帰結ではない

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