井上尚弥のライト級転向を完全否定 大物興行主のアラム氏「良い選手は馬鹿げたことをしない」
トップランク社のボブ・アラムCEOが来日
ボクシングのWBC＆WBO世界スーパーバンタム級（55.3キロ以下）2団体統一王者・井上尚弥（大橋）が24日、26日に行われるWBA＆IBF世界同級2団体統一王者マーロン・タパレス（フィリピン）との4団体統一戦（東京・有明アリーナ）に向け、神奈川・横浜市内のホテルで会見した。世界的大物プロモーターのボブ・アラム氏も出席。海外で期待されるライト級での試合を完全否定した。戦績は30歳の井上が25勝（22KO）、31歳のタパレスが37勝（19KO）3敗。
いまや世界的ボクサーとしての地位を確立した井上は、海外メディアやファンの“妄想”の対戦カードとして話題に上がる。最近ではライト級のシャクール・スティーブンソン、ガーボンタ・デービス（ともに米国）などと戦うという期待も。対戦したらどうなるか想像するのもファンの楽しみの一つ。しかし、現在のスーパーバンタム級より3つも上の階級で現実味がない。
井上と共同プロモート契約を結ぶ米興行大手・トップランク社のアラムCEOは、会見後の取材で期待の声を一蹴した。
「イノウエは非常に良い選手です。焦って（階級を）上げるような馬鹿げたことは、良い選手はしません」
何より井上本人が適正階級以外での試合を望まないだけに、やはり非現実的なカードのようだ。
92歳の世界的大物プロモーターは数々のビッグマッチを手掛け、マニー・パッキャオらスターを生み出してきた。井上の今後の階級について「来年は122ポンド（スーパーバンタム級）で試合をすると聞いています。再来年なら126ポンド（フェザー級）の王者でも、ランカーでもどこでも面白い試合になるでしょう」と期待。WBA1位ムロジョン・アフマダリエフ、WBC1位ルイス・ネリが挑戦権を持つが、現状にも触れた。
「4団体とは話をしていますが、（4団体の）統一王者になった時点で指名試合を責めない（強制しない）ように伝えています。同じ階級でイベント的に良い試合もできる。大橋（秀行）会長と話し合っていきます」
アラム氏の語る4団体統一戦の意義「素晴らしいクリスマスプレゼントになる」
同氏が今後のプロモートに尽くしてくれるのは心強い。将来に夢を膨らませた一方、「まずはこの試合です。タパレスはタフな相手。あまり話を進めるのはよしておきましょう」と笑顔。会見では今回の試合の意義を強調していた。
「たった今、私たちはこの世界において大変素晴らしいボクシングの時代を生きています。数時間前にはサウジアラビアでビッグマッチがあり、そしてここ日本でも火曜にビッグマッチが開催される。そして、その素晴らしいボクシングの時代の中でもひと際輝くのが12月26日の試合です。全団体のベルトが統一され、まごうことなき王者が誕生します。
日本で開催される試合は日本の至宝、誇りでもあるナオヤ・イノウエがいる。彼は拳一つでそれを証明してきた。ここで私の言葉をしっかり覚えておいてください。この試合こそが何より劇的でセンセーショナルな試合になるでしょう。春（7月）にイノウエの試合を見られました。彼はPFPを欲しいままにしています。
負けるかもしれない試合に圧勝した一戦。彼はさらなる大きな挑戦を受け、この階級でも4団体を統一しようとしている。ESPN＋が生配信します。米国のみならず何百ものボクシングファンにとって素晴らしいクリスマスプレゼントになるでしょう」
世界が期待するモンスターの一戦。ボクシング界の“生き字引”の大物プロモーターも胸を躍らせていた。
（THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada）
