1,000ccスーパースポーツに乗ってましたが、憧れの'80年代ビッグバイクを手に入れ、通い慣れてるサーキットで走ったらコーナー進入でアッという間にフロントが滑ってコケました。なぜ転んだのか細いタイヤに不慣れだけなのか、不安でまた走る気になれません。どうしたら良いでしょう?

A. 年代モノのサスなど機能が低下していたら復活させ、前輪が遅れて追従する走りのマナーを身体に覚えさせましょう。うまく乗ると応えてくれる人車一体感にハマる醍醐味をぜひ味わいましょう!

フロントフォークがデリケートに追従できなくなっているかも

ボクも前後18インチのバイアス・ナロウタイヤでビンテージレースに興じていたので、お話を伺っていると思い当たる部分があります。
確かに最新バイクの感覚で無造作に乗ると痛い目に遭います。

で、先ずそこまでシビアにならないと乗れないのか、と思われてしまいそうなお話から始めさせてください。
旧いバイクは、タイヤが細いとかいう前に、各部が新車のときよりヤレていますよネ。
状態は個々に違うとは思いますが、エンジンはもとよりサスペンションなども、当初の機能を失っている可能大です。

たとえばフロントフォークも、インナーチューブに入っているダンパーオイルが、上下動する度に微量が引っ張り出されて徐々に減ってきます。
それはオイルの油面が下がることに繋がり、ブレーキングで圧縮されるときのノーズダイブを深くしたり、奥のほうで動きが鈍くなる兆候が出やすくなります。

なぜならインナーチューブの中は、このダンパーオイルの油面から上が空気バネの役割もしていて、油面が下がるということはバネ特性からいうと深く沈んだ位置で急激に立ち上がる、つまり柔軟な状態がいきなり硬くなるような過渡特性になりがちです。

というだけで、仰有ってるブレーキングからリーンという段階で、大事な前輪の路面追従性を悪化させている疑いが大きいでしょう。
サーキットを、それも最新の愛車で走り慣れていると、旧いバイクだからと慎重なつもりでも、操作するリズム感や減速の感じも旧いバイクにはハードなものにしてしまいがちです。

タイヤも新しい製品で、当時のサイズで驚くグリップと安定性が得られます!

それとタイヤについても、まだ溝が充分にあるからと、製造してから10年近くも経っていたら、走らせずに保管してあったとしてもオゾンなどでゴム質は劣化しています。
ひと皮むけば大丈夫などという人もいますが、サーキットの路面だとグリップしているような表面に摩耗痕が見えていたとしても、大事な減衰特性、つまりいきなりスリップせずにダラダラっとズレていくような鈍感力が落ちています。
それに最新の18インチのバイアス・ナロウ・タイヤは、そのバイクが新車時に装着していたタイヤと比べ物にならないほど、グリップ性能とダンピング(減衰)特性に優れています。

ということなので、ぜひフロントフォークなどサスペンションのオーバーホールと、最新のタイヤに履き替えて再チャレンジしてみてください。

もちろん最新のバイクのように、リーンした瞬間に前輪が後輪と同時に感じさせるような旋回へ移行するワケではなく、後輪が曲がりはじめるに従って前輪が追従していくタイムラグを感じている必要があります。
ココを無視すると、気づかずとも前輪の遅れに対しハンドルをこじってしまいがち。
セルフステアまかせにする感覚をシッカリ掴んでください。

おそらく転倒時は切れ込んだのではなく、前輪がセルフステアを抑え込まれてスリップした結果、イン側に切れ込んだ状態になってしまった筈です。

うまく操れたときに差が明確で、上達願望を掻き立てる魅力にハマる!

転倒すれば警戒心が高まります。それは自己防衛本能であり、間違いなく正常な感覚でしょう。
そこを怖さの克服とか、気持ちの問題にせず、バイクを先ず良い状態にして、いきなり攻めず基本の動作で納得のいくマナーが反応としてあるのを実感することが先決です。

わかりやすくいうと、気持ちよく乗れる、そんなリズムで走らせながら楽しいと感じていかないと警戒心から解放されません。

慣れてくると最新ラジアルのロープロファイル(扁平率が小さくて横に広い)タイヤにはない、リーンした当初から旋回がはじまる醍醐味を味わえます。
スパッと曲がるには体重移動を含め、むしろ最新バイクよりシビアなテクニックが必要な面白さにハマる筈です。

ぜひぜひ大事に整備を怠らずに乗り続けてください。
最新バイクでは味わえない醍醐味は、このスペースではとても語り尽くせない奥の深さがありますヨ!

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