J1リーグ第10節 横浜F・マリノス1(0-1)1 名古屋グランパス
15:03キックオフ 日産スタジアム 入場者33,048人
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前半と後半の様相がまったく異なった試合だった。

前半はほぼ一方的な名古屋ペース。出足の鋭さで横浜FMを上回り、マンマークをベースにした守備の強さと攻撃に入った際の縦の速さでゲームを完全に支配した。ただ、確かに長谷川監督が言うように、前半に2点目が入っていたら後半の展開もまったく異なっていただろうが、あれだけペースを掴みながら、名古屋が横浜FMの守備組織を崩し切ったことがなかったのも事実だった。前半41分の先制点は、米本のロングパスを受けた森下の突破からのフィニシュから生まれた。

後半、名古屋は前半のような前線からのプレスを止めて、ブロックを固めた守備を敷きながらカウンターを狙う戦い方に切り替えた。勝つための方程式でもあるし、現実的なオプションでもある。だが、1失点は想定の範囲内(長谷川監督)でありながら、そうした選択をせざるを得なかったところに、名古屋のディレンマがあったということなのだろう。

持ち帰る勝ち点は3ではなくて1。一方の横浜FMは、後半は態勢を立て直しながら、選手交代の3人替えで流れを自分たちのペースに引き込み同点に追いついた。その選手層の厚さと、自分たちのスタイルを追求する姿勢が呼んだ同点劇だった。

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。