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銭湯や温泉の湯船に客が異物を混入するという被害がSNSであいついで報告されています。

今年3月には、京都市内の銭湯が、湯船に家庭用の入浴剤が勝手に入れられていたとツイートして話題になりました。別の京都市内の銭湯でも今年2月、若い女性たちが禁止されている毛染めをおこない、タイルが染まってしまったというツイートをしていました。

ほかにも、ボディソープやシャンプーを入れられていた、ユズを勝手に持ち込んで「セルフ柚子湯」にしていたなどの被害もSNSで報告されています。

弁護士ドットコムにも、銭湯経営者から「客が浴槽で汚物を残す」という相談が寄せられています。こうした迷惑行為に対して、「もはや 『風呂テロ』では」という声もSNSで上がっていました。

銭湯での迷惑行為には、どのような法的責任があるのでしょうか。西口竜司弁護士に聞きました。

●業務妨害罪に問われることも

「相変わらずおかしな事件が発生しますね。人様に迷惑を掛けてはいけない。この当たり前のことを教える時代が来たのかもしれません」

銭湯を経営する側にとっては死活問題です。もしも銭湯の浴槽に異物を混入させた場合、どのような罪になりますか。

「刑法261条の『器物損壊罪』や刑法233条、234条の『業務妨害罪』の成立が考えられます。

『器物損壊罪』ですが、ざっくり説明すると物を壊すような犯罪です。ただし、この罪における『損壊』とは、物理的に破壊することに限らず、広くその物の効用を失わせることも含むとされています。水や浴槽などの効用を失わせた場合、この罪が成立する可能性があると思われます。また、悪質なケースでは、『業務妨害罪』で摘発されることもありえます」

銭湯の経営者は、浴槽に異物を混入した人に損害賠償を請求できるのでしょうか。

「民法に規定されている不法行為(709条)に該当すると考えられますので、銭湯の経営者が損害賠償請求をすることはできます。

金額としては、難しいところですが、休業損害、風評被害により客が減少した損害などが考えられます。規模の大きいところなら、300万円を超える損害賠償請求をされることもありえますね。悪いことには当然の報いがありますし、最近の経営者は毅然とした対応をされますよ。

みなさん、報道を聞いて真似をしないようにしましょう。それで人生を棒に振るケースだってありますので、注意してください」

【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/