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パートやアルバイトなど、飲食店で働く人たちが加入する労働組合「飲食店ユニオン」は10月27日、都内で記者会見を開いて、回転寿司業界の労働問題を改善していくために、「回転寿司ユニオン」を結成したと発表した。

景品表示法違反や食品偽装疑惑、パワハラ問題、不正競争防止法違反事件など、回転寿司業界の問題が相次いで取り沙汰されていることを受けて、労働者の立場から改善をもとめていくとしている。

また、大手回転寿司チェーン「スシロー」の男性アルバイトが、未払いの賃金支払いや手洗いなどの作業時間を労働時間として含むことなどを会社にもとめたところ、一部で改善があったことも公表した。

●5分単位のタイムカード→1分単位に運用変更された

スシローで働くAさん(18歳・都内の店舗)とBさん(20歳・埼玉県の店舗)は、ユニオンに加入して、運営会社「あきんどスシロー」宛に要求書(8月31日付)を送った。主な要求は次のようなものだ。

(1)労働時間が5分単位で計算され、5分単位で賃金が切り捨てられているとして、1分単位での計算に変更すること

(2)始業前の手洗いなど準備時間の作業に賃金が支払われていないとして、すべての業務をタイムカードの打刻後に行うように運用を改善すること

(3)時給を1500円に引き上げること

(4)名札にフルネームを表示させないこと。最低限、苗字だけにすること

(5)夏場高温になる店舗のため、空調設備を充実させること

このうち(1)(2)に関しては、計算し直したうえで入社日にさかのぼり、全従業員に未払い賃金を支払うことも求めた。

飲食店ユニオンによると、スシロー側から9月22日に回答があり、(1)については同月から1分単位の運用に変更し、(2)についてはアルバイトの手洗い時間等を踏まえて打刻時間に一律3分間を加算する運用に変更したという。

また、速やかに全店舗で苗字のみの名札に運用変更する予定であることや、空調増設の検討などが回答された。

一方で、未払い賃金の支払いや、時給1500円への引き上げへの同意はなかったという。

だが、人手不足のため、バイトにかかる負担は増えているといい、そんな中、時給の低さに不満があると学生バイトは語る。

「私の店舗は商業施設の中にあり、周りの店は時給1400円など高い時給を出している」

ホール担当のAさんは、60席程度ある店を1人で回すこともあるという。時給は1200円だが、「負担に見合わない」と話す。

11月15日には、団体交渉も予定されている。ユニオンは「部分的には要求を飲んでいて、前向きな団交になるのではないか。未払い賃金の精算や、賃上げなどについて交渉をすすめたい」とした。

●問題噴出の回転寿司業界で「回転寿司ユニオン」を結成

飲食店ユニオンには、大手回転寿司チェーンで働く人からの労働相談がこれまで20件ほど届いたという。

最近でも、スシローでは「おとり広告」が景品表示法違反と指摘され、消費者庁から措置命令が出された。また、「くら寿司」のパワハラ問題疑惑、「かっぱ寿司」の不正競争防止法違反事件などが報じられている。

熾烈な価格競争のあおりを受けて、人件費が削減され、労働者に負担が生じていると飲食店ユニオンは指摘する。

「各社で大きな問題が噴出しているのは、熾烈な競争が存在し、さらに物価高騰で激化しているからだと考えられます」(飲食店ユニオン)

そこで、飲食店ユニオンでは、10月26日から「回転寿司ユニオン」の活動を開始した。

回転寿司チェーンで働く人たちからの労働相談や実態告発を受け付け、業界の労働条件改善に取り組むという。現時点での組合員はAさんとBさんの2人。