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宗教2世の子どもたちは信教の自由を侵害され「宗教虐待」を受けているとして、国に法整備を求めるオンライン署名に賛同が集まっている。9月27日正午までに届いた7万655筆を、提案者の高橋みゆきさん(仮名・旧統一教会の現役2世信者)が28日、厚労省などの担当者に提出した。

「#宗教2世を助けてください」「#宗教2世に信教の自由を」と銘打ち、安倍晋三元首相の銃撃事件翌日に立ち上げた。共に「エホバの証人」2世も活動しており、高橋さんは「この機会を逃したら永遠に被害が救済されない。小中学生の子どもたちが、自分たちとおなじように自由を奪われることを、なんとしてでも食い止めたい」と訴えた。

●現行法でも救えるはず 全国の窓口対応変えてほしい

この日、陳情を受けたのは厚労省のほか、内閣官房こども家庭庁設立準備室、文部科学省初等中等教育局の担当者5人。高橋さんは、衆院第一議員会館で「短期的(できるだけ早く、少なくとも年度内)」「長期的要望(来年度以降)」と分けて陳情した。

懇談後の会見で高橋さんは、短期的に実現してほしいこととして挙げた6点のうち、次の2点を強調した。

・児童虐待法の被害を認知した場合は、宗教的な背景があっても心理的虐待として扱うこと
・全国の初等中等教育機関で被害実態調査

現行法で対処できる事態なのに、行政の窓口や学校で宗教の問題があると門前払いされる現状だといい「親子や家庭の問題ではない。宗教団体が組織的に仕組んだ虐待なんです」と説明した。

●出生時からの価値観植え付けは深刻

強調したのは「生まれたときから始まる洗脳(マインドコントロール)の恐ろしさ」だ。

価値観が形成されていない段階で、知識の乏しい子どもに「地獄に落ちる」などの恐怖を与えることは、偏った価値観を刷り込むことだと説明し、「子どもは家を選べない。劣悪な状態であることにも気づけない子どもが多いことを知ってほしい」と訴えた。

高橋さんにとって、自身が育つ過程で恋愛の自由や信教の自由が制約されてきたことが活動の出発点だ。2、3年前に署名を集めたものの、大きなうねりにはならなかった。

「いくら声をあげても社会に届くことはなかった。30年も報道されず、一般の人にも知られていなかった。行政もまじめに向き合ってこなかったんだと思う」

今回、高橋さんの元には多くの「2世あるある」が寄せられ、今度こそとの思いが強い。

「おこがましいかもしれないけど、私にはこの問題を伝える責任があると思っています」