「2世は泣き寝入り状態。専門の窓口が必要」委員ら、消費者庁の施策をバッサリ
消費者庁の霊感商法等への対策検討会の第5回会合が9月28日、オンラインで開かれ、同庁担当者が、消費者教育と相談体制について報告した。
弁護士や実務を担当する委員からは、現在の相談体制について霊感商法や宗教2世問題への対応は不十分だとの意見が相次ぎ「専門的な窓口が必要だ」との認識で一致した。
カルト問題に詳しい心理学者の立正大学・西田公昭教授は、宗教2世について「現状は泣き寝入り状態。悩んでいるだけで終わっている」とし、専門家のチームで対応することが必要だと訴えた。
●「相談先リスト拡充ではなく人員の手当てを」
消費者庁は今後の相談体制について「相談先のリストを拡充する」などと表明したが、委員からは批判的な意見が集中した。
西田教授は宗教2世の問題を挙げ「看板が立っていないんだから行くはずがない。もう心を病んでいる人もいます。児童相談所、精神保健福祉士、場合によっては精神科医が必要だ」と説明した。
菅野志桜里弁護士も「マインドコントロールを解くためのカウンセリングを、とってもとっても少ない人数で手弁当でされている。リスト充実ではなく関係機関、予算、人員ともにバックアップするべきでは」と指摘した。
担当者は「手薄だという面がある」と認めた上で、「必要な予算も含めて大事なご指摘と受け取りました」と答えるのが精一杯だった。
●役人自慢の冊子も、霊感商法は盛り込まず
また、同庁が高校等で消費者教育教材の冊子「社会への扉」を活用した教育実施率が2021年度には91%に達したことなどを挙げ、学校や地域では教育に一定の成果があったと強調した点にも疑問の声が上がった。
西田氏は「今の若者も、科学的思考力はアップしていない。すぐ信じちゃう人もいる。消費者教育がうまくいっているとは思えない」とバッサリ。
菅野氏は「現在も宗教を隠れみのにした搾取が厳然とあり、2世問題なども含めて社会現象として伝えるべきだ」とし、現状の教育が行き届いているのかを質問した。担当者は「社会への扉」に霊感商法が盛り込まれていないことを明かし「これから改定を考えている」と答えるにとどまった。