「若年性更年期障害」を発症する原因はご存知ですか?医師が解説!

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更年期障害は女性ホルモンの低下と揺らぎが大きくなることで中高年の女性に起こる心身の不調のことです。20代~30代の若い世代の女性にも更年期障害のような症状に悩まされている方が増えています。

若い女性に起こる更年期に似た症状が、若年性更年期障害です。閉経が近い年齢ではない方に更年期障害の症状があると不安にならないはずがありません。

そこで今回は、若年性更年期障害についてのお話をしていきます。

治療や予防についても記述しているため、20代や30代の若い方で更年期障害かもしれないと不安に感じている方は参考にしてみて下さい。

若年性更年期障害とは?

若年性更年期障害とはどんな病気か教えてください。

一般的に更年期障害は閉経前後5年間、45~55歳の合わせて10年ほどの期間に、卵巣機能の低下によって起こる心身の不調のことをいいます。これまでは更年期障害は中高年の女性が悩まされるものといわれていました。

しかし更年期障害に似た症状が閉経期に近い年齢ではない、20~30代の女性に起こることがあります。

若い女性が更年期の症状に悩まされる場合を若年性更年期障害と呼びます。

一般的な更年期障害との違いはありますか?

一般的な更年期障害は、卵巣機能の低下によるホルモンバランスの乱れで起こります。

一方、若年性更年期障害の多くは卵巣機能低下が原因で起こるわけではありません。自律神経の乱れやホルモンの分泌をコントロールする脳からの指令がうまくいかないことが原因で、起こるとされています。

ただ若年性更年期障害を放っておくと、子宮が萎縮して将来の不妊症につながる可能性もあり、また実は早期に卵巣機能が低下し、早期閉経を引き起こす早発卵巣不全の初期である可能性もあり、注意が必要です。

若年性更年期障害にみられる症状はなんですか?

若年性更年期障害の症状は基本的には一般的な更年期障害と同じで、心身に下記のような不調が現れます。

のぼせやほてり

手足の冷え

頭痛

めまい

動悸息切れ

肩こり

イライラ

不安

集中力の低下

不眠

上記が若年性更年期障害になった際にでやすい症状です。上記以外にも汗をかきやすくなったり、倦怠感を感じたり血圧の異常が起こるなど、さまざまな症状がでる可能性もあります。

症状が長く続くと月経不順や無月経、不妊症につながる可能性もあるため、症状が重い場合はとくに早めの治療を検討しましょう。

どのような人に多く発症しますか?

若年性更年期障害は、働く女性に多いといわれています。働き盛りである20代後半~30代の女性は、もともとホルモンのバランスが崩れやすい年齢です。

仕事をしていれば疲労やストレスも溜まります。うまく発散ができないと、ホルモンのバランスが崩れてしまうのです。毎日忙しく、頑張りすぎてしまう方は注意をしましょう。

また、激しい運動をするスポーツ選手の方にも起こりやすいといわれています。

若年性更年期障害の原因と検査方法

若年性更年期障害は何が原因で発症しますか?

20代30代の更年期障害は卵巣機能の低下が根本的な原因ではないことが多いです。食生活や生活習慣による自律神経の乱れが症状を引き起こします。

自律神経の乱れは女性ホルモンの分泌も乱してしまうため、更年期のような症状が起こるのです。また、ストレスをため込むこともよくありません。他にも、喫煙・過度な飲酒・睡眠不足なども、自律神経の乱れに繋がり、若年性更年期障害の原因になります。

また、過度なダイエットなどによって短期間で体重が激減した場合や過食によって大幅に増えてしまった場合も、注意が必要です。

どのタイミングで受診すれば良いのでしょうか?

若年性更年期障害の改善には早期治療が重要です。とくに将来、妊娠を希望している女性は早めに対処をすることをおすすめします。もちろん、一時的なものであれば生活リズムを整えることで改善が可能です。

しかし、症状が重くなってしまうと仕事や日常生活にも影響がでる可能性があるため、症状が軽いうちに婦人科で診てもらうほうが安心できます。受診の目安として、まずは簡略更年期指数(SMI)のセルフチェックをしてみて下さい。

自己採点の26~50点なら生活に注意をすることで改善する可能性があります。しかし点数が51点以上の場合は治療が必要になる可能性があるため医師の診察を受けましょう。

若年性更年期障害を疑う場合の検査方法を教えてください。

若年性更年期障害の治療は、症状が起こっている原因を特定することが大切です。

更年期障害とは異なり、実際に卵巣機能の低下が起こる早発卵巣不全による症状でないかどうかは、血液検査で調べることができます。

血液中のエストロゲンや脳から分泌される性腺ホルモンの量や、何か強いストレスになるものがないかなどの問診などを通して症状を引き起こしている原因を特定し、その人に合った治療を行うのです。

若年性更年期障害の治療と予防

若年性更年期障害の治療方法を教えてください。

医師の診断の結果、若年性更年期障害と診断された場合は、原因に合わせて異なる治療を行います。

治療の方法は、カウンセリング・生活習慣の改善・薬物療法が主です。薬を使う場合はホルモン療法・漢方薬・低用量ピルが使われます。症状によっては長期に渡った治療が必要です。

また、早発卵巣不全と診断された場合は、骨粗しょう症・高脂血症など閉経後に起こりやすい疾患のリスクが高くなるため、ホルモン補充療法など積極的に治療をすることになります。

自分で症状を改善する方法はありますか?

若年性更年期障害の可能性がある場合は、自律神経を乱す原因になっている部分の改善を行うことが大切です。薬物などでの治療もできますが、生活習慣などは患者さんが気をつけないといけません。

まずは生活リズムを整えましょう。できる限り毎朝決まった時間に起きて決まった時間に寝て下さい。

また、バランスのとれた食事を意識することも大切です。ダイエットをしている方は、症状がよくなるまでお休みしましょう。

若年性更年期障害を予防する方法があれば教えてください。

若年性更年期障害を予防する方法は、改善方法と同じように生活リズムや食生活が乱れないように心がけることです。睡眠をしっかりとり規則正しい生活と食生活を心がけます

喫煙を控えたり飲酒はほどほどにしたり、自律神経が乱れないようにしてみて下さい。また、ストレスもホルモンバランスの乱れに繋がります。

しかし、生活をしていく中で、ストレスをゼロにすることは難しいです。好きな音楽をきいたり適度な運動をしたり、ストレスを溜め込みすぎないことも予防になります。女性ホルモンの分泌を促す栄養素が入った食品を積極的に取り入れてみるのもよいです。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

若年性更年期障害の多くは過度なダイエットやストレス、不規則な生活による自律神経の乱れとホルモンバランスの乱れによって起こります。

20代~30代の女性は働き盛りですが、ホルモンのバランスも崩れやすい年齢です。若いうちは疲れも感じにくいため、無理をしてしまう方もいます。

しかし、無理をしすぎると心身の不調が引き起こされるため、注意が必要です。若年性更年期障害が起こってしまった場合は、放っておくと日常生活や将来の妊娠に支障がでる可能性もあるため、症状が軽いうちに対処をすることが重要です。

まずは、生活を見直して改善を試してみましょう。それでも改善されない・症状が重い場合は、専門医に相談をして治療を受けるようにして下さい。

編集部まとめ


今回は20代~30代の働き盛りの女性に起こる、若年性更年期障害についてのお話をしてきました。生活を送るうえで、疲れやストレスはどうしても起こります。

20代や30代の若いうちは少しくらいの無理もできてしまうものです。しかし、あまりに頑張りすぎてしまうと若年性更年期障害などの不調がでる可能性があります。

閉経の時期よりも早い年齢で更年期のような症状がみられる際は、まずは生活習慣を見直して改善しましょう。軽度であればそれだけで改善できる可能性があります。

ただし、中には治療が必要なケースや更年期障害によく似た症状がある疾患もあるため、自己判断は禁物です。

若年性更年期障害は早期治療が改善の鍵になります。若い方で更年期のような症状にお悩みの方は、早めに婦人科を受診するようにしましょう。

参考文献

若年性更年期障害|ウーマンズヘルス

プチ更年期障害とは|山手大塚レディスクリニック

更年期障害について|つばきウイメンズクリニック

いわゆる閉経年齢ではないのに、若い時期に更年期のような症状が出ることはあるのですか?|オムロン式美人

更年期障害|日本産婦人科学会

早期閉経|ヘルスケアラボ

簡略更年期指数(SMI)