これぞ「名店再現系」の醍醐味? お店じゃできないあんな食べ方、こんな食べ方「天下一品」カップ麺で試してみた!
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第六十八回 サンヨー食品「名店の味 天下一品 京都濃厚鶏白湯」 文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
「ご当地カップ麺」連載の第六十八回目となる今回は、京都に本店がある全国チェーンのラーメン店「天下一品」の看板メニューである「こってり」を再現したカップ麺をレビューしていきます。
「天下一品」は、ラーメン激戦区である京都・一乗寺に本店がある、全国チェーンの人気ラーメン店です。
公式サイトによると、全国に230店以上の店舗を構える大チェーンですが、北日本や九州など一部の道県に空白地も見られ、一時はお店がたくさんある関東のなかでなぜか千葉県にお店がありませんでした。現在は1店ありますが、不思議な現象として話題になったこともあります。
「天下一品」の「こってり」がはじめてカップ麺に
そんな「天下一品」の看板メニューは、鶏ガラや野菜を煮込んだ濃い鶏白湯スープが特徴の「こってり」。どろどろでポタージュのようなスープと麺が絡まる様子はラーメン離れしています。
どろどろ鶏白湯ラーメンは今や京都ラーメンの一種として定着しており、カップ麺化した「極鶏」(こちら)など人気店もありますが、「天下一品」はそれらの元祖的な存在と言えるでしょう。
今回レビューするカップ麺は、「天下一品」初のカップ麺であり、濃厚鶏白湯の「こってり」が再現されています。
乳白色の鶏白湯スープに、低加水食感の細いノンフライ麺と、チャーシューチップ、メンマ、ねぎが合わせられています。定価税別260円でやや高額なことを考えれば、具の少なさが気になりますが、スープや麺はお店のラーメンの雰囲気がきちんと出ています。
スープにはとろみがついており、お店のスープほどどろどろではないものの、カップ麺の鶏白湯スープとしては強力。鶏の旨み、野菜の甘みもしっかり感じ取ることができ、一般的な鶏白湯スープよりも濃縮感があります。
スープ表面には油脂が浮いており、鶏油や豚脂の風味が漂います。濃縮感ある鶏白湯に鶏油などの風味が加わることで、ひとクセある「天下一品」の味を再現していました。
天下一品らしい要素は一通り揃っているように見受けられますが、お店のスープに比べるととろみも味も全体的に薄めなので、再現性を高めるならば、お湯を規定の量より少なめに入れると良さそうです。
麺は細めのノンフライ麺で、お店と麺よりひとまわり細そうですが、スープをよく吸う低加水麺食感で、とろみの強いスープと合わさって渾然一体化しており、お店のラーメンの雰囲気がよく出ていました。
トッピングやサイドメニューでより「天下一品」らしく
もちろん、そのままでも十分おいしのですが、「天下一品」はトッピングやセットメニューも充実しているため、それらも再現して食べてみたいと思います。
用意したのは、「天下一品」では最もおなじみのトッピングであるねぎ、キムチ、そしてセットメニューでおなじみの唐揚げと餃子、そして――
卓上に置かれていたり、店員さんにいうと持ってくてくれたりするトッピング、「辛子ニンニク」や「辛子味噌」も再現してしまおうということで、一味唐辛子、チューブのおろしニンニク、そして味噌を使って自分で作ってみました。
でもコレジャナイ感が半端ない......。合わせるのは味噌じゃなくて豆板醤の方が良さそうです。
あまり再現性高くないので「辛子ニンニク&味噌もどき」ということで。
お店のトッピングをカップ麺で試してみた!
まずは、大量のねぎと先ほどの「辛子ニンニク&味噌もどき」をトッピング。ねぎは「天下一品」のトッピングの中でも最もポピュラーな存在で、この青臭さがあって初めて天下一品だと思っている方も多いかもしれません。
京都発祥の「天下一品」らしく、お店では九条ねぎが用いられていますが、九条ねぎじゃなくても天下一品のスープとねぎの青臭さは相性抜群でした。
「辛子ニンニク&味噌もどき」は、見た目こそお店のものとまったく違いますが、唐辛子やおろしニンニクの味はお店の味の再現度を高めてくれます。形にこだわらず、単に唐辛子か豆板醤とおろしニンニクをスープに足すだけでも良さそうです。
キムチも入れてみました。キムチの辛味と酸味によって丸いスープの味にエッジが立ち相性抜群です。食感もアクセントになっていました。
ただ、たくさん入るとスープの味が変わってしまい、せっかくの天下一品の味がよくわからなくなるので、少量を、後半戦の味変アイテムとして入れるくらいが良さそう。
お店じゃできない、カップ麺ならではの楽しみも
お店では周囲の目が気になってできない、ちょっと下品(?)な食べた方も、家で食べるカップ麺ならできてしまいます。サイドメニューの唐揚げや餃子を、ラーメンの中に入れるとどうなるのだろうと思ったことはありませんか?
唐揚げはセブン-イレブンの「ななから(もも)」を使用。鶏肉と鶏白湯スープは元が鶏で同じな上に、唐揚げにつけられたニンニクはスープにも入っているため、思いのほか親和性が高い!
まるで「天下一品」のスープに入れるために唐揚げが存在しているかのよう――いや、それはさすがに言いすぎですね。
餃子はセブンプレミアムの「レンジで焼き餃子」。いつもは餃子のたれとか酢コショウで食べるところを、ラーメンのスープにひたして食べるのは新感覚。餡にまでスープを十分に浸透させて食べると、これはこれでおいしかったです。しかしまぁ......餃子のたれで食べるのをオススメします。
個人的に、名店再現系カップ麺の最大の魅力は、心置きなくラーメンライスを決められることだと思っています。お店で堂々とやっている人もたまに見かけますが、筆者のような小心者にはハードルが高い!
そもそも、お店だとスープがどろどろ過ぎて、麺を食べ終える頃にはスープもほとんど残ってない場合が多いです。
どろどろスープとご飯の相性はもちろん素晴らしく、麺以上では?と感じてしまう人もいるかもしれません。先ほどの「辛ニンニク&味噌もどき」やキムチで調味しつつ食べるとさらにおいしかったです。
そのまま食べてもカスタマイズしてもおいしい
......カップ麺のレビューをするつもりが、途中からただの個人的な宴になってしまいました。
しかし、一杯のカップ麺を使ってこれだけ楽しめたのは、お店の味をしっかり再現しつつ、ちょっと足りないくらいの絶妙なバランス感になっているからではないかと感じました。
今回いろいろやってみましたが、お湯の量を減らして作ること、そしてねぎを入れることで、お店の再現性がかなり増すのは間違いなさそうです。もちろん、何も足さずにそのまま食べても十分おいしいですが、味変アイテムとして唐辛子やおろしニンニクを用意するとさらに楽しめるでしょう。
お店のトッピングには他にも、わかめ、焼のり、コーン、明太子などがあるので、皆さんもぜひ、自分なりのカスタマイズを楽しんでいただけたらと思います。