資産運用の17%を占める株式投資

以前ご紹介した2000年時点での私のポートフォリオでは、株式投資による運用資産は17%でした。

分散投資をするうえで、株式投資は私の資産運用の重要な柱の一つとなっています。株式投資をするにあたっては、さまざまなスタイルが存在する株式運用方法の中の一つを実践しています。

株式投資のスタイルは短期・中期・長期

まず株式投資は、運用期間に応じて短期・中期・長期の投資スタイルに分かれます。

私自身の投資スタイルは中期投資ですが、それぞれの投資スタイルの特徴は以下のように考えています。

短期投資

短期投資とは、デイトレードやスイングトレードなどとよばれる、日々の値動きを予測して売買を短期間に繰り返すことで利益を得ることを目指すものです。

売買を意思決定する判断材料として、足元の経済トレンド、例えばアメリカ大統領等の要人が何を発言するか、FOMC(Federal Open Market Committee)とよばれるアメリカの金融政策を決定する会合で発表される景況判断や政策金利などを注視します。

FOMCでの予測情報や結果に合わせて、それらに影響を受ける銘柄を見つけて、短期的に売買を繰り返すことが重要となります。これはテクニカル分析といって、過去の値動きを表すチャートからトレンドやパターンを把握、株価の動向を予測して売買するスタイルです。

中期投資

中期投資とは、企業の中長期的な成長を予測することで、数年単位で株式を保有し、中長期的な視点で利益を得ることを目指すものです。売買の判断には、その企業自体の健全性を財務諸表から確認をしたり、その企業の活躍する業界の成長性を見通すことが重要となります。

長期投資

長期投資とは、企業の中長期的な成長を予測し、数年単位で株式を保有することです。中長期的な視点で利益を得ることを目指し、投資決定の判断も中期投資と同様です。

私の考える長期投資は、株式の売却を基本的には前提とせず、配当や株主優待で保有期間の利益を享受することに主眼を置いている認識です。 もちろん売却を一生しないということではなく、老後に必要があれば現金化していく「万が一の備え」だと整理しています。

中期投資を選ぶ理由

私がなぜ中期投資を志向するかというと、理由は以下の通りです。

売買頻度を自分でコントロールできる

サラリーマンの性質上、デイトレードのように短期売買を日中繰り返すことは難しいという点が挙げられます。また個人的な性格としても、神経をすり減らしながらチャートと格闘することは向いていないので、中長期的な成長の期待に対して、自分の好きなタイミングで株式を購入できるスタイルを好んで選択しています。

上記の投資スタイルで紹介した通り、「企業の業績」や「世の中の流行り」「中長期的な成長性」を軸に売買を決定しています。

仕事とのシナジーがある

銘柄の選定行為である「中長期的に成長を見込める分野を探す」「財務諸表を確認する」という行為自体が、サラリーマンとして役に立つ機会が非常に多くあります。

中長期的な成長分野というのは、言い換えればビジネスチャンスのある分野です。私の業務は新規事業の企画なので、トレンドを把握することは非常に重要ですし、本業へのシナジーが期待できます。成長分野を探すことで本業で自分なりの意見を持つことにもつながります。

財務諸表は、簡単にでも読む力を身に付けることができれば、例えば本業で取引開始をする顧客の与信判断をするうえでも使えるスキルになります。

配当・株主優待がある

中期投資スタイルでは、基本的には1年を超えるスパンで株式を保有することがほとんどです。長期投資スタイルでのメリットである配当や株主優待も、場合によっては楽しむことが可能です。なお配当や株主優待は、権利が付与される権利確定日に株式を保有している必要があります。

永続的に成長し続ける会社はない

みなさんVUCAという言葉はご存知でしょうか。 VUCAとは、Volatility(変動の大きさ)/Uncertainty(​​不確実性)/Complexity(複雑さ)/Ambiguity(​曖昧さ​)の頭文字をとった造語で、世の中の変化スピードが加速したことで未来の予測が難しく困難になった状態を指す言葉です。

世の中が目覚ましく変化し、そのサイクルも加速しているということは、その環境下でトップを走り続けることができる会社はとても稀、もしくは存在しないといった表現の方が近いかもしれません。今後そのサイクルがさらに加速するともいわれており、1つの企業が永続的な成長を行うことがさらに難しくなると考えられます。

そのために私は中期投資を選んでいます。

世界の代表企業が30年前と現在でどう移り変わったかを示すランキングを以下にご紹介します。

引用:平成最後の時価総額ランキング。日本と世界その差を生んだ30年とは? | STARTUP DB MEDIA | 日々進化する、成長産業領域に特化した情報プラットフォーム

かなり様変わりしていますよね。つまり、個人的には長期投資のような、売却を前提としない株式(特に個別株)への投資より、成長が見込めなくなった時には売却を決める中期投資のスタイルを志向しています。

長期投資を行いたいということであれば、私は広く世界の成長に期待し投資するインデックス投資(個別株ではなく投資信託)が適切であると考えています。

投資する銘柄の見つけ方

投資する銘柄の見つけ方といっても、私は素人の投資家なので、“必ず勝てる”銘柄の見つけ方ではないことを最初にお伝えさせてください。その前提で、素人としての選定基準としては「中長期的な社会変化」を考え、その社会変化に「どれほど大きな影響を与え得る可能性のある会社か」を選定基準にしています。

具体例でいうと、2017年頃からAIやIoT(Internet of Things)といった技術が世の中から注目を特に集めるようになりました。これらの起点になったのは、おそらくAmazonの複数の製品、Amazon EchoやAmazon Dashなど、身の回りの家電がインターネットに接続されスマート化が進み、少しずつ家庭に入り込んできた時代でした。

ほんの数年前の話ですが、これらの成長と、直近では新型コロナウイルスにより企業のDX化が加速されたことで、AI、IoT、SaaS、DX推進コンサルティング等の関連銘柄が続騰しました。

次の5~10年でいうと、脱炭素化の流れを汲む車両のEV化や、「大豆ミート」などの代替食料品、新型コロナウイルスで新薬の創生技術に大きな変化を与えたバイオテクノロジーあたりが、注目される分野だと個人的には感じています。

EV関連銘柄だとテスラ社などは株価への反応はすでに著しいですが、その車に数多く使われている半導体不足が直近の問題になったり、世界最大の半導体生産受託会社である台湾のTSMC社がSONY社と共同で熊本県に新工場を計画することが発表されるなど話題になっています。

株式投資と不動産投資の運用の違い

中期投資の観点では、株以外に不動産投資もあります。不動産投資は、運用と管理を管理会社に委託すれば、不動産購入後は特に手間をかけることなく行えてしまうので、忙しいサラリーマンでも簡単に運用できる投資の一つです。

株価は社会状況によって大きく変動するため保有財産が一気に減ってしまうリスクがありますが、不動産は物件の立地や需要、築年数などを事前に吟味して購入しているので、比較的安定して運用ができています。

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しかしながら、私としては不動産を購入したあとも不動産市場を常にウオッチすることで、「売却タイミングはどうか」「本当に保有していることが正解か」「追加で購入する必要性はないか」などを考え続けています。

そのため、株式投資の銘柄選定のための市場リサーチと同様に、不動産市場に対しても分け隔てなく時間を使っています。株も不動産も、また生命保険やソーシャルレンディングなども含めて、総合的に市場を捉えられる要素と考えていますし、自身の資産状況やキャッシュの動きに敏感になっておくことは、どのような投資を行う場合でも重要です。     

将来の成長を期待することはおもしろい

今回は私の投資のスタイルと銘柄の選定方法について紹介させていただきました。

企業の将来の成長を予測(妄想)し、期待することはとてもおもしろいことです。将来のワクワクを想像しながら、身の回りの持ち物や出来事、普段目にするニュースなどから、応援したい・付き合っていきたいと思える企業を見つけることはとても魅力的だということが伝わったら幸いです。