株式投資と不動産投資どっちがいい? メリット・リスク・デメリットを比較
株式投資とは?
まずは証券投資の中でメジャーな手法の一つ、株式投資について紹介していきます。
投資する対象は企業
株式投資は、その名の通り「株式」に投資する手法です。株式とは、企業の資本を売買できる「有価証券」という形にしたもの。株式投資は、株式の銘柄になっている企業の成長に投資することを意味します。
株式投資で得られる収益(リターン)は、株価の上昇による売買益と、保有額に応じて定期的に支払われる配当収入があります。配当を出す頻度や水準は企業によって異なりますが、半年に一度出す企業が多いです。配当はすべての企業が出すわけではなく、高成長を目指す企業や業績の思わしくない企業では、株の配当を出さない場合もあります。
リスクとリターンの程度
一般的に、株式投資はハイリスク・ハイリターンの投資手法です。順調に企業が成長したり、好業績を上げたりした場合などには、株価の上昇によって大きな利益を得られる可能性があります。一方で、業績悪化時には株価が大幅に下がりますし、最悪の場合には企業が倒産して株の価値がゼロになり、大損するリスクもあるのです。
株式投資の始め方
株式投資は、一般的に証券会社に口座を開設して取引を開始します。口座開設後、株の購入に必要な資金を入金すれば、すぐに売買が可能です(証券取引所が開いている時間が基本)。
株式の最低購入価格は、本来は「株価×単元(売買単位のようなもの)」で決まります。1単元を100株とする企業が多いため、購入する場合は数万円~数百万円程度は必要です。必要金額は株価により異なるため、銘柄や購入タイミングによって変化します。
現在ではネット証券などを中心に単元未満で売買できるサービスを提供しているケースも珍しくありません。こうしたサービスを利用すれば、少ない元手でも株式投資にチャレンジできます。
株式の売買のしやすさ
株式の売買は、証券取引所の立合時間中が基本となり、日本株なら東京証券取引所などの立合時間である9時~15時(昼休み11時30分~12時30分)です。一方「夜間取引」などの名称で、上記の時間以外の取引を受け付けている証券会社もあります。
証券会社が取引を受け付けている時間であれば、基本的には自由に売買が可能です。
不動産投資とは?
続いて、不動産投資の特徴を紹介します。初心者にはハードルが高い、と思う方もいるようですが、実は株式よりも安定投資が可能な投資方法となっています。
投資する対象は個別の不動産
本来不動産投資の投資対象となる不動産にはさまざまな種類がありますが、個人投資家の投資対象となるのは、賃貸として貸し出せるアパート、マンション、戸建てなどが中心です。
不動産投資で収益を得る方法は、「安く買って・高く売る」ことで価格差益を得る方法(キャピタルゲイン)と、不動産の賃料収入を得る方法(インガムゲイン)があります。不動産の価格動向を予想するのは困難なため、個人の不動産投資では後者が中心となります。
リスクとリターンの程度
初心者にとっては意外かもしれませんが、不動産投資はリスクもリターンも「中程度(ミドルリスク・ミドルリターン)」とみられるのが一般的です。
賃料収入は変動が小さく、毎月安定して得られることが多いため、不動産投資のリスクは株式投資などと比較して低いと考えられるのです。
不動産投資の始め方
不動産投資は、貸し出しする物件を購入することで投資が始まります。住宅を購入するイメージからか、「不動産=とても高い」というイメージを持たれがちですが、銀行などの不動産投資ローンを活用することで、数十万円程度の自己資金があれば始められるケースがあります。
不動産の売買のしやすさ
不動産は、立つ場所や家の形状など、一つひとつが異なるものです。株式のように取引所を通じて売買されているわけではないため、売りに出されている物件しか購入できませんし、多くの場合は不動産会社が買い手を見つける(もしくは業者自身が買い手となる)までは売れません。
また、売買の際に仲介手数料や登記移転などの費用も発生するため、株式のような頻度では売買せず、一度買った不動産を長期間にわたり運用しながら、賃料収入を積み上げていくのが、個人のオーソドックスな不動産投資の手法です。
不動産投資にかかる費用とは~初期費用・運用費用・手数料など
株式投資・不動産投資のメリット・デメリット
株式投資、不動産投資のメリット・デメリットを解説します。自分に合った投資方法を選ぶうえでの参考にしてみてください。
株式投資のメリット
株式投資のメリットは、大まかに次の3点に整理できます。
分散投資がしやすい 売買を柔軟に行いやすい 株主優待を受け取れる銘柄がある分散投資がしやすい
株式は証券会社によっては数百円程度など、少額で購入可能です。そのため少々まとまったお金があれば、多くの銘柄を同時に保有することができ、株式投資の中で分散投資を行いやすいというメリットがあります。
分散投資をすれば、特定銘柄の株価が下落した際に、自身の資産に対するダメージを抑制できます。一般的に多くの銘柄に投資すればするほど、分散投資の効果は高まります。
売買を柔軟に行いやすい
ネット環境が整っていれば柔軟に売買できるのも強みです。
日中はほとんどの証券会社で売買できますし、証券会社によっては夜間も売買が可能です。高収益が見込まれる時に売却して利益を確定したいとき、さらなる下落を回避するために売却したいときなど、自身の投資判断に基づき柔軟に売買ができるのです。
株主優待を受け取れる銘柄がある
株式投資の金銭部分以外のメリットが、株主優待です。企業が自社の株の投資家(基本的には個人投資家のみ)に対して、お礼を兼ねて定期的に商品券や、自社が生産している製品などをプレゼントするのが、株主優待という制度です。
投資額の数%相当の価値のある優待がもらえる場合もあり、決して無視できないメリットです。食品や外食産業などの株式では、好みの株主優待がもらえる企業の株を選んで購入する個人投資家もいます。
株式投資のデメリット
次に株式投資のデメリットも見ていきます。大まかに次の3点です。
損失リスクが大きい 元本より大きな金額で投資を行う余地が小さい 保有期間の収入は、半年に一度(もしくは得られない)損失リスクが大きい
株式はハイリスクな商品で、業績や経済環境が悪ければ、大幅な損失が発生するケースもあります。
過去のリーマンショックや昨年の新型コロナショックでは、多数の銘柄の平均から算出される株式指数で、数十%以上の下落が一時見られました。
個別の銘柄に投資した場合は、株式市場全体の動きに加えて、企業業績の影響が加味されるため、指数よりも大きな値動きとなってしまうケースも少なくありません。短期間のうちに株価が半分以下になることもありますし、企業が倒産してしまった場合には、基本的に株の価値はゼロになります。
元本より大きな金額で投資を行う余地が小さい
元本より大きな金額で取引を行うことを「レバレッジをかける」といいます。次に紹介する不動産投資や為替に投資するFXなどは高いレバレッジをかけられる投資手法ですが、株式ではレバレッジをかける余地は3倍程度しかありません。
株式投資では「証拠金」を預けて株式を貸し借りして投資を行う「信用取引」というものによってレバレッジがかけられます。しかし信用取引は非常にリスクが高いため、証券会社に預けた証拠金の3倍強の価値相当の株式にしか投資できないルールになっているのが一般的です。
保有期間の収入は、半年に一度(もしくは得られない)
配当収入を重視した場合に当てはまりますが、株式を保有している間に定期的に得られる現金収入「配当収入」は、多くの企業で半年に一度しか受け取れません。そのほかの収入は、株価が上昇したタイミングでうまく株式を売却し現金化しなければ現金としては手元に入ってこないのです。
このあと紹介する不動産投資をはじめ、世の中にはより高い頻度で現金収入を受け取れる投資手法もあります。定期的な現金収入を重視する人にとっては、現金収入が少ない点も株式投資のデメリットといえるでしょう。
不動産投資のメリット
続いて不動産投資のメリットです。以下の3点が考えられます。
安定的な投資が可能 賃料収入を毎月得られる 不動産投資ローンを活用し、小さい初期投資額で大きな資産形成ができる安定的な投資が可能
不動産投資は、株価という振れ幅が大きな株式投資などのリスクが高い手法と比較すると、安定的に投資を行うことができます。不動産も地価が変動するイメージがあるためリスクが高いと誤解されがちですが、実際に不動産投資を行った場合、主な収入源は家賃収入です。
家賃は地価に合わせて連動することはあまりなく、入居者がいれば毎月あらかじめ決められた金額(家賃収入)が定期的に入ってきます。そのため、市場環境にあまり左右されず、安定した投資が可能なのです。
賃料収入を毎月得られる
家を貸すと家賃は一般的に月次で支払われるもののため、家賃収入は毎月受け取れます。本業の給料などを補うつもりで、現金として定期収入を受け取りたい場合などには、不動産投資は最適な投資手法といえるのです。
不動産投資ローンを活用し、小さい初期投資額で大きな資産形成ができる
不動産投資ローンを活用することで「高いレバレッジ」をかけて投資を行える点も大きなメリットです。一般的に購入時にかかる諸費用(購入物件の価格の5~10%程度)を用意すれば、投資を始められます。
レバレッジでいうとおおむね10倍~数十倍になり、株式投資と比較すると当初から大きな資産を保有することができます。
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不動産投資のリスク・デメリット
不動産投資のデメリットは主に次の3点です。
空室リスクがある 災害リスクがある 柔軟に売買を行うことができない空室リスクがある
不動産投資において、収益性を低下させる大きな要因は空室リスクです。自身が投資している物件に空室が発生してしまうと、当然ながら家賃収入は減少します。
不動産投資ローンを活用して投資を行っていた場合は、家賃収入がなくともローンの支払いは続くため、結果的に月々の収支が赤字となる可能性もあるのです。
災害リスクがある
空室よりも深刻なのは災害リスクです。地震や台風、火災などで物件が損壊してしまうと家賃収入が得られない中で大規模修繕が発生し、大きな損失につながりかねません。
火災保険などに加入しておくことで、ある程度の対策を施すことは可能ですが、すべての災害リスクを完全に回避することは困難でしょう。そのため、各自自体のハザードマップを見て想定される災害リスクをよく精査しながら物件を選ぶのが大切です。
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柔軟に売買を行うことができない
不動産は株式などと比較すると、柔軟な売買が困難です。不動産業者に買い手・売り手を見つけてもらう必要がありますし、少なからず手数料などが発生します。
また、不動産投資ローンは買いたいと思う複数件分を無制限に組むことは通常困難なので、ローン返済を進めて追加の借り入れ余地ができたタイミングを待って新たな物件を買う必要があります。そのため一気に投資先を増やして分散することは容易ではありません。
不動産投資ローンとは?住宅ローンとの違い、メリット、金利、金融機関の特徴を解説
株式投資・不動産投資どちらがおすすめ?
続いては、株式投資や不動産投資の特徴やメリット・デメリットを踏まえて、どのような人がそれぞれの投資手法に適しているかを紹介します。
株式投資がおすすめな人
次のような特徴や志向を持つ人は、株式投資がおすすめです。
若い、安定収入があるなどの要因で損失が発生しても耐えられる人 リスクをとって大きな収益をあげたい人 投資による定期的な現金収入を求めていない人株式投資では「損をするリスク」を十分に認識しておくことが肝心です。投資を行ううえでは誰しも損しないように工夫しますが、リスクの高い株で常に収益を出し続けることはプロでも不可能です。そのため、安定収入がある、若くてこれからも稼ぐことができるなど、ある程度は「損しても大丈夫」な状況の人が、株式投資に向いているといえます。
また、高い収益を目指せるのも株式投資の魅力です。損・リスクを覚悟してでも投資で高収益を狙いたい人には、株式投資が適しているでしょう。
また、株式の収益は「株価上昇による値上がり益」を狙うのが原則。配当収入に着目した投資手法がないというわけではありませんが、基本的には投資を通じた定期的な収入をあまりアテにしていない人が株式投資に向いています。
不動産投資がおすすめな人
不動産投資が適しているのは、次のような特徴や志向を持っている人です。
長期にわたり安定運用を行いたい人 日々の市場環境をチェックできない(したくない)人 現時点で元手がなくても投資をしたい人不動産投資は、通常は長期にわたり運用を継続することを念頭に置いて行います。投資が軌道に乗っているうちは、毎月安定した家賃収入を得られます。以上の点から、長期間にわたる安定収入を求めている場合に適しています。
また、不動産投資では株式投資のように日々市場動向をチェックする必要はありません。不動産価格と家賃収入の水準は基本的にあまり連動しないため、売却検討するとき以外は、投資の収益性にあまり関係がないからです。仕事が忙しいなどの理由で、頻繁に市場動向をチェックする余裕がない人は、不動産投資が向いているでしょう。
最後に、現時点で手元に資産がまだない人でも、銀行からの「信用力」が使える人は、元手以上の規模で投資が可能になるため、数十年後の収入確保の方法として取り入れることができます。
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実は株式投資・不動産投資を組み合わせるのもおすすめ!
ここまで、「株式投資か不動産投資」と二者択一であるかのように紹介してきましたが、実は株式投資と不動産投資を同時に行うのも良いでしょう。
余裕資金の一部を株式投資に充てながら、不動産投資ローンで不動産投資を行うことで、株式投資と不動産投資の双方のメリットを享受できます。
株式から損失が発生しても、不動産投資はローンと月々の家賃収入の別軸で運用が進んでいくので、株式だけに投資した場合より損失リスクを抑制できます。また、経済環境が良好なときには家賃収入と株の値上がり益を両取りできるのです。
性質の異なる株式投資・不動産投資を組み合わせることで相乗効果が生まれ、安定性と収益性を両立した資産運用が可能になります。
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それぞれの投資手法の特徴を理解して、自分に適した投資手法を選択しよう!
株式投資と不動産投資、それぞれの特徴やメリット・デメリットを踏まえて、自分の特性や志向に合わせて適した投資手法を選択するのも良いですが、余裕資金がある場合には、株式投資・不動産投資を同時に行うのもおすすめです。
双方の投資手法の特性をうまく生かして、自分の意向に沿った資産運用を実践しましょう。