最近は「eスポーツ」という言葉が特に浸透してきたように感じる。地上波のテレビなど、比較的マス向けの媒体でもこの言葉を聞くことが増えたし、プロゲーマー個人にスポットが当たることも世間でよく見るようになった。日本でも時代が変わって、急速にeスポーツが受け入れられる土壌が出来つつあるのだろう。

そして今回は、そんな時代に"イマドキ感"のある挑戦をしているeスポーツ競技者に、BTOパソコンメーカーのマウスコンピューターの紹介でお会いできる機会があった。一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が主催し、マウスコンピューターが大会公式スポンサーをつとめた2021年の日本学生eスポーツ競技大会(Japan University eSPORTS Championship :U-Champ.)、PUBG部門で優勝した「kikutaka」選手だ。取材当時の年齢は18歳で、現役の大学生。コロナ禍もあって練習もままならないであろうなか、競技と学業の両立は大変なの? 受験はどう乗り越えたの? など、気になるアレコレを伺うことができた。

U-ChampのPUBG部門で優勝したkikutaka選手にお話を伺った


○秘訣はメリハリと熱意

まずはkikutaka選手、ゲーム歴やPUBGとの出会いはどのようなものだったのだろう。「小学校低学年の時にはポケモンにはまっていたんですが、高学年になると野球やサッカー。中学生になってもゲームに触れることはあまりなかったように思います」と、kikutaka選手からは意外なお返事が。

そしてゲームに戻ってくるこれまた意外なきっかけはサバゲーだったという。「中学3年の時でした。サバイバルゲームをやってみたかったんですが、サバゲー場の年齢制限が(笑)。そのタイミングで、ちょうどPUBG(PLAYERUNKNOWN‘S BATTLEGROUNDS)を見つけたんです。PUBGはポジション分かれていて(例えばスカウトとかスナイパーとか)、サバゲーっぽい。確かPUBGはまだ正式リリース前で、ベータ版をやっていたように思います。最初は勉強の合間に息抜きで遊んで、高校受験が終わってからは、楽しくて学校の友達とも一緒にかなり遊んでいました」。

その後、PUBG熱がさらに高まるタイミングが高校生の時にやってきた。「高校2年くらいの時です。ネット上で、今でもつながりのあるゲーム仲間に出会いました。その人がスクリム(Scrimmage: チームなどで参加する練習試合)に出ているのを見て、あれはなんだろう? 自分も出てみたい、と思うようになっていきました」。kikutaka選手は、その次の年の夏にはチームに入り、さらにPUBGの世界へとのめりこんでいく。

しかしながらそこは受験を控えた高校生だ。何か学業との両立の秘訣はあったのだろうか。「真剣に授業に出ていました。あとの時間はゲームがしたい。だから授業の時間でしっかり終わらせる。どちらの時間も減らしたくないので、毎日オンオフのメリハリをはっきりさせるよう心がけていました」。なるほど、何事も"だらだら"したり"なあなあ"になってはダメなんですねぇ。

大学生になってからはどう過ごしているのだろう。「普通の大学生だと思います。大学で入っているサークルもeスポーツ関連ではないですし」。ただ今回U-Champで優勝したことで、教務課や先生陣にも情報が入ったらしく、「まわりの人たちの反応がちょっと変わりました(笑)」。ちなみにkikutaka選手がゲームに使う時間を1週間でまとめると、おおよそ以下の様な感じになるそうだ。

月曜日: ソロカスタムで練習を2時間まで

火曜日: スクリムで練習を6時間まで

水〜木: 授業に全集中

金曜日: スクリムで練習を6時間まで

土日休: 学校の課題に忙殺

学生であるぶん、どうしても練習に避ける時間が普通の競技者よりも少なくなってしまうのだが、「学業優先を前提に、メリハリをつけて集中するようにしている」とか。これで優勝までしているわけだから、たとえ限られた時間であっても、メリハリをつけた時間の使い方ができれば、効率は上げられるということだろう。

kikutaka選手のデスクトップ


一方でkikutaka選手は、上達に最も大事なのは「気持ち」だともいう。自身も本格的に競技シーンに挑戦しようと考えたのはつい最近というこれまでのお話であったが、「僕の知人に、昨年6月に競技をはじめて、もう今年の夏には国内上位に入るまで登っていった人がいます。その人は、強くなりたいという気持ち、"このゲームでプロになるんだ"という熱量をずっと持って取り組んでいる人でした」。確かに、近年の有名なプロゲーマーのなかにも、精神面を強化するトレーニングを行う人が見られる。心の熱量は武器になりえそうだ。

ところで、ではkikutaka選手のPUBGに対する熱量を探りたくもなるわけですが、他のゲームに浮気したりはしないのでしょうか? Apex Legendsとかやっちゃったりしてませんか? kikutaka選手は「Apexはかなり反射神経がいるので、僕には向いてないなぁと思い、実はVALORANTは結構やっています(笑)」。「VALORANTはFPSの技術面の習得に向いていると感じていて、PUBGの練習にもなるんです」とのこと。いわゆるバトロワ系のくくりでもゲーム性の違いから、好みは分かれるので、自分にあったメインを選ぶことも上達の重要な要素となりそうである。

そして、kikutaka選手が最初にスクリムに出るきっかけにもなった「人とのかかわり」、これも上手くなる近道のようだ。「強い人といっしょに戦ったり、プレイを見ると、やっぱり上達します。いろんな人とも戦ったほうがいい。かかわりのなかで強い人がほかのタイプの強い人を連れてくることもあったりして、プレイの幅が拡がったりするんです」。近頃はコミュニケーションのオンライン化が進んだこともあって、オフラインで集まっていた時代よりもつながりやすくなったという面がある。自宅のPCから、プロを含め世界中の競技者ともつながることができる世の中の変化を、チャンスと見ることもできるだろう。

○パソコンのスペックへの課題感

最後に、kikutaka選手が競技に使っているパソコンのスペックについて聞いてみた。主力である自宅のデスクトップPCは配信用とゲーム用で使い分けており、ゲーム用マシンはCPUに5000番台のRyzen 7、GPUにGeForce RTX 3070の積んだもので、ちょうどアッパーミドルクラスといったところか。kikutaka選手は「パソコンのハードウェアの知識は必要」派で、性能の違いが競技パフォーマンスに影響することは実感しているという。

ゲーム用と配信用の2台体制で挑んでいる。モビ○スーツの性能の違いが、戦力の決定的差になることはあるんだという現実


日本におけるeスポーツシーンではこれが問題で、高性能なハードに費やせる資金力がハードルのひとつとなっている。それだけに、企業によるスポンサードの必要性を訴える。「スポンサーがつかないと大変です。大きなチームが企業提供で凄い環境で参加しているなか、同じ大会でも小さなチームはパソコンの性能差からなんとかしないといけない。同じ環境で競えるようにするとか、サポートがあればうれしいと思うところはあります」。収入源の限られる学生の競技者にとって問題はより大きくなり、ネットカフェのPCから出場するような選手もいたりするそうだ。

なお、今年のU-Champでは優勝賞品の副賞として、スペックを備えたG-TuneのゲーミングノートPC「G-Tune E5-165J」が贈られている。

副賞で贈られた「G-Tune E5-165J」。JeSU公認PCとして、大会レベルのレギュレーションで検証されているモデルだ


kikutaka選手はさっそくこれを使っているそうだが、使い勝手はどうだろうか。JeSU公認PCにもなっているだけに、やっぱり良い感じですか? 「Core i7とGeForce RTX 3060ですし、ゲームの動作検証も済んでいる機材なので、安心して使えています。ノートなのに165Hzの高速液晶なのもいい。液晶の速さはプレイに影響します。サイズのわりに軽いので、カバンにも入り、持ち歩いて学校で空いた時間に練習ができるのもいいです。スマホでつぶしていたような合間の時間にも練習ができますから」と、高評価のようだ。

学業優先を掲げるkikutaka選手、実は学業の方でもG-Tune E5-165Jでかなり助かっているそう。「今は大学の課題もこれでやってます。以前もMacBook Proを使っていたのですが、医療系の勉強をしているので、データ量の多い課題が多くて…、データ処理が膨大で動作が追い付かない場面なんかもありました。これはメモリも32GBも載ってますし、とにかくサクサク動いてくれて。PUBGも課題もこれ1台で済むのですごく便利ですよ」とのこと。

そういえば、大学スポーツに企業がかかわってビジネス化、大学スポーツの発展にも寄与します、なんてアメリカの大学スポーツ界のような動きが、日本でも少しずつ進んでいたりするそうだ。アメリカでは大学スポーツの試合の中継が、視聴率でプロスポーツ中継を抜くこともザラとかいう話も聞く。日本でも箱根駅伝、みなさん大好きですよね? eスポーツにご興味をお持ちの企業のみなさん! 使用機材にも苦労している学生eスポーツへの支援、狙い目かもしれませんよ?