マリー・アントワネットと愛人フェルセン伯爵が交わした秘密の手紙の内容が明らかに
by Oh Paris
2021年10月1日、フランスの王妃マリー・アントワネットと、その愛人であるアクセル・フォン・フェルセン伯爵との間で交わされた手紙のうち、暗号化された上に黒塗りとなっていた部分の解読に成功したとする調査結果をフランスのチームが公開しました。調査チームは2020年に行った報告をまとめ上げており、さらに解読した内容も一部公開しています。
2D macro-XRF to reveal redacted sections of French queen Marie-Antoinette secret correspondence with Swedish count Axel von Fersen
Secret words exchanged between Marie Antoinette and rumored lover uncovered in redacted letters | Live Science
https://www.livescience.com/marie-antoinette-redacted-letters-revealed
フランス革命の真っただ中、テュイルリー宮殿に幽閉されていたマリー・アントワネットは、親友であり愛人でもあったフェルセン伯爵と頻繁に密書をやり取りしていました。その手紙はフェルセン家を通じて現代まで伝わっており、一部がフランス国立公文書館に保存されています。しかし、これらの手紙のうち15通には何者かにより黒塗りが行われており、内容の判読が不可能でした。
ソルボンヌ大学のアン・ミシュラン氏らは、文化遺産の研究によく用いられる「マクロ蛍光X線分析」で手紙を調査。手紙に使われたインクを化学分析することで元のインクと黒塗りのインクを分別し、内容を読み取ろうとしました。調査の結果、元の文字が書かれたインクに含まれる金属成分が、黒塗りに使用されたインクのものと異なることが判明。15通の手紙のうち、8通でその内容の解読に成功しました。
ミシュラン氏らによると、黒塗りされた部分には「amour(愛)」といった単語や「ma tendre amie(私の親愛なる友人)」といった短いフレーズが隠されていたとのこと。また、「pour le bonheur de tous trois(三人全員の幸せを願う)」「non pas sans vous(あなたなしではだめだ)」といった文章も書かれていました。
また、調査チームはマリー・アントワネットからフェルセン伯爵に宛てた手紙のほとんどがマリー・アントワネット本人のものではなく、フェルセン伯爵によって書き写されたものであることも明らかにしています。ミシュラン氏によると、当時は記録などのために手紙を書き写すことは一般的な慣習であり、フェルセン伯爵も同様の目的で行ったものとみられるとのこと。ミシュラン氏らは黒塗りを行ったのもフェルセン伯爵であると結論付けています。
フェルセン伯爵が手紙を黒塗りにしてまで保管した理由は不明です。ミシュラン氏らは「フェルセン伯爵の愛情なのか、政治的戦略なのかは分かりませんが、フェルセン伯爵がマリー・アントワネットの名誉を守りたかったと考えたことは確かです」と述べました。