谷原章介

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 新ワイドショー『めざまし8』(フジテレビ系)が始まった。小倉智昭の司会で22年間続いた『とくダネ!』の後番組だ。

【写真】谷原章介の、全然隠さない「プライベート姿」がカッコいい

 とはいえ、司会の谷原章介(48)は路線の継承を宣言。実際、ワイドショーから生活情報路線に変わった『ラヴィット!』(TBS系)に比べたら、すんなり受け入れられているようだ。

谷原に必要なワイドショーMCの「要素」

 しかし、本当に死角はないのか。谷原の持ち味は、甘くてソフトで爽やかなこと。『アタック25』(テレビ朝日系)や『うたコン』(NHK総合)でもそれが活かされている。

 ただ、ワイドショーにもハマるとは限らない。前出の小倉をはじめ、坂上忍や加藤浩次、宮根誠司など、成功している司会者には辛口タイプが目立つからだ。

 本人もわかっているようで、筑紫哲也が司会をしていた時代の『NEWS23』(TBS系)を例に挙げ「意見を戦わせることが大事」などと語っている。

 そんな谷原、基本的には王子様キャラである。『メンズノンノ』のモデルから俳優になり、'95年の映画『花より男子』の道明寺司役でデビューした。その2か月後『未成年』(TBS系)でドラマにも初出演。こちらは、いしだ壱成扮する主人公の兄で、主人公が恋するヒロインと付き合っていたのに捨ててしまう役だ。

 ちなみに、プライベートの谷原は6人の子持ちだが、妻はいしだの元妻で、子ども6人のうちひとりはいしだが実父。とまあ、ややこしい関係はさておき、『未成年』ではニセ王子みたいな役だったわけである。

大事なのは「甘さと辛さ」の使い分け

 つまり、王子とニセ王子は紙一重。ワイドショーの世界で本物の王子であり続けるには、甘さと辛さを使い分け、女性視聴者にうまく寄り添っていく必要がある。その点、甘さについては問題ないだろう。例えば、目標だったという帯番組の司会を始めるにあたり、

「心境としては、ワクワクしつつドキドキしていて……。なんていうんでしょう。初恋のような、不思議な気持ちですね(笑)」

 と発言。“初恋”という女性ウケしそうなフレーズが、さらりと出てくるあたりはさすがだ。

 また、少女マンガのファンで、過去には『わたしのマーガレット展』スペシャルサポーターを王子様ルックで務めたことも。テディベア好きでもあり「僕はメリーソートのチーキーのファンです」とも語っている。サンドウィッチマンの漫才風に「ちょっと何言ってるかわかんない」とつっこみたいところだが、わかる人には「オジサマ可愛い!」みたいな萌えにつながるはずだ。

 一方、辛さについてはどうかというと「DVなどで苦しんでいる女性たちが気になりますね」と、女性が抱える社会問題に言及。実際、3月29日の初回放送でも「ジェンダー」の平等をテーマに取り上げていた。

 ただ、このテーマで「意見を戦わせること」は容易ではない。最近、あちこちで炎上が相次いでいるように、何が正解かわからず、たったひとつの失言が命取りになる危険性もあるからだ。極端なたとえだが、渡部建のケースのように、好感度が高かった人ほど、スキャンダルによる反動も大きくなる。

 とりあえず、少女マンガはあくまでフィクションにすぎないし、ワイドショーという生々しい現実空間で、王子でい続けられる保証はない。“初恋”にしても、少女マンガほど実らないのが現実の世界だ。はたして、谷原の“初恋”の行方はいかに──?

PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。