18日、東証で行った決算発表で、ライブドアへの損害賠償について話すフジテレビの嘉納取締役(撮影:常井健一)

写真拡大

フジテレビジョン<4676>の嘉納修二取締役は18日、東京都中央区の東証内で行った決算会見の席上、証券取引法違反事件に伴うライブドア株の急落で被った損害の補償について「全額回収するのは当然の考えで、努力する」と認識を示した。

 同日発表した2006年3月期の連結決算によると、ライブドア株の取得額と売却額の差額約345億円を特別損失に計上。一方、放送事業の視聴率4冠達成や映画「THE有頂天ホテル」のヒットなどで、売上高は前年比24.5%増の5934億円で過去最高を更新した。営業利益は同16.4%増の507億円、経常利益が同13.2%増の503億円となったが、ライブドア株での損失が大きく響き、最終益は同50.3%減の113億円だった。

 フジテレビの1年間の経営成績を示す損益計算書(単体)によると、ニッポン放送の完全子会社化に伴う財務アドバイザリー料、弁護士費用、ニッポン放送株を実質的に保有していたライブドア子会社(現LFホールディングス)買収に伴う営業権の償却費用などで、一般管理費が前年比6%増の242億円となった。

 また、ソフトバンク・インベストメント(現SBIホールディングス)と共同出資で05年3月に設立したベンチャー投資ファンドの投資損失として9億円を営業外費用に計上した。

 フジテレビは05年5月、ニッポン放送の経営権を巡る争奪戦でライブドアと和解したのに伴い、ライブドアの第三者割当増資を引き受け、同株12.7%を1株329円、計440億円で取得した。この後、ライブドア事件を受け、06年3月に、USENの宇野康秀社長個人に全保有株を94億9500万円で売却した。フジテレビは、ライブドアに対して売却損約345億円全額の損害賠償を求めている。【了】