婚活男女が努力をしても「お断り」されてしまう、残念な行動パターンと禁断の“圧”
お見合いからお付き合いに入るものの、1、2度食事をすると、“交際終了”が来てしまう人がいます。LINEの連絡もマメに入れている。男性なら食事やお茶などのデート代は全て出している。女性なら小さなプレゼントや笑顔のトークも忘れずに心がけている。それなのに、なぜか来る“交際終了”。
ライターをしながら、仲人としても婚活現場に関わる筆者が、目の当たりにした婚活事情を、さまざまなテーマ別に考えてゆく連載。今回は、「好かれる努力をしているのに、それがいつも残念な結果を生んでしまう」 そんな人たちの行動パターンを一緒に見ていきましょう。
全てを結婚に結びつける
まずは、女性でお断りをされてしまうタイプから。
見た目も悪くない。気もきく。良妻賢母になるタイプなのに、いつもお断りされてしまう……。そんな女性の例です。
会員の真太郎さん(36歳、仮名)から、LINEが来ました。彼は、1か月前に史子さん(36歳、仮名)とお見合いし、2回目のデートを終えたところでした。
「お見合いしたときから気になっていたのですが、史子さんの話には、 “結婚したら”という言葉が頻繁に出てくるんです。お見合いは、結婚を前提にした出会いなので、そういう会話になるのはわかります。もちろん僕も結婚を真剣に考えてお会いしているんですよ。でも、出会ったばかりなのに、“結婚”という言葉を連発されると、気持ちが引いてしまう。昨日のランチデートでもそうでした」
真太郎さんが車を出して、郊外にドライブに出かけたそうです。海沿いを走っていくと、景色がきれいに見えるレストランがあったので、そこに入りました。
「 “とれたて野菜のごちそうパスタ”というのを僕は頼んだんですよ。地元で取れたという野菜がふんだんに入っていました」
運ばれてきたパスタを見て、史子さんが言いました。
「パスタソースって、いま市販で美味しいものがたくさん出ていますよね。もし結婚したら、塩茹でした野菜に市販のソースを絡めれば、こんなパスタもすぐに作ることができそう。私、結婚しても働きたいので、いま、時短料理を研究中なんですよ。あと、家電は充実させたいな。あ、お部屋は掃除しやすいようにゴテゴテと飾り付けをするのではなく、シンプルにしておこうと思っています」
すでに新居の設計図が、頭の中にあるような口ぶりでした。そして、ランチを終えて、2人で海辺をしばらく散歩し、ベンチがあったのでそこで一休みすることになりました。腰をかけると、史子さんがバッグの中から小さな包みを取り出して、言いました。
「一緒に食べようと思って、昨日クッキーを焼いたんですよ」
それは、ナッツとチョコチップがザクザク入った、見るからに美味しそうな手作りクッキーでした。
「わぁ、上手ですね。売り物みたいだ。そういえば、お菓子作りが趣味だとプロフィールにも書いてありましたよね」
真太郎さんが言うと、史子さんが続けました。
「結婚して子どもができたら、おやつのお菓子を手作りしたり、誕生日にはケーキを焼いたりしてあげたいんです」
またも未来の結婚生活はどうしたいかという言葉が飛び出してきました。真太郎さんは、私に言いました。
「それだけ結婚に前向きなのはわかるんです。でも、その相手は僕なのかなって。相手は誰でもいいから、“結婚”というものがしたいんだと思ったんですよ。まだ2回しか会っていないので、お互いの人柄を知る時期。結婚ってある意味、男が責任を取ることだし、家族を生涯守っていくこと。勢いも大事だけれど、そう簡単には決められない。それなのに、“結婚”という言葉を連発されると、どんどん隅に追い詰められて、逃げ場がなくなるような気持ちになります。一緒の時間を過ごすのが、だんだんと苦しくなっていきました」
史子さんは、お料理が好きで、お菓子作りも好き。結婚したらきっといい奥さんになるタイプでしょう。子どもができたら、おやつを手作りするやさしいお母さんになるでしょう。ですが、“結婚する気満々”で出会ったばかりの男性に接すると、お相手はそれを受け止めきれなくなります。
お見合いは、結婚を前提とした出会いなのですが、おつきあいがスタートしたばかりのときは、“自分の人柄を知ってもらう”という気持ちで、楽しい時間を過ごすように心がけたほうがいいのです。
まずは、彼の気持ちをこちらに向かせることを考える。男性が女性を好きになったら、自然と結婚という言葉を出してきて、話も進んでいくはずです。お見合いは、結婚を前提にした出会いなのですから、相手の気持ちが手に入ったら、その先には結婚しかありません。男性を動かすように、見えない所で操作することが大切です。
こっちにくる“圧”がすごくて
逆のパターンで、男性が結婚に前のめりになりすぎるのも、失敗をします。
「やっぱり正之助(仮名、52歳)さんは、お断りでお願いします。この年齢になって贅沢(ぜいたく)がいえないのはわかっていますが、こちらに来る気持ちの“圧”がすごくて、息苦しくなってきました」
美貴さん(51歳、仮名)から連絡がきました。美貴さんは、35歳から47歳までの12年間、結婚をしていました。元夫も結婚相談所で出会った男性でしたが、結婚してみたらキレやすい人で、キレるとモラハラ男に豹変していたというのです。
「元夫からは、“このバカが”とか“この能無しが”とかすごい暴言を吐かれていたので、47歳でやっと離婚できたときには、もう結婚は懲り懲りと思っていました」
子どもにも恵まれなかったので、離婚後は仕事を充実させ、ときには気の合う仲間と食事や旅行に出かけて、独身を謳歌していました。ところが、今年に入ってからのコロナ騒動。緊急事態宣言期間中には誰にも会うことができず、孤独を感じて、“再婚したい!”と強く思ったのだそうです。
そして相談所での婚活をスタートさせ、3回目のお見合いでお会いしたのが、バツイチの正之助さんでした。彼も前の結婚相手とは、結婚相談所でお会いし、3年間の結婚生活の末に離婚したといいます。
「離婚理由をお聞きしたら、元奥様は、私の元夫に似たタイプでした。すごくヒステリックな人で、ちょっとしたことでも声を荒げて怒っていたとか。正之助さんが、『キレたり怒ったりすることで、何も解決しませんよね』とおっしゃったのが印象的でした。私も再婚するときには、“怒らない人”を探そうと思っていたので、出会ったときから好印象でした」
こうして、2人の交際は成立。ところが、おつきあいに入ってみると、優しい方なのは理解できたのですが、そこに度のすぎるものを感じるようになりました。
「送られてくるLINEが、歯の浮く台詞のオンパレードなんです。オーバー過ぎてドン引きしてしまいました。例えば、『今日は会社で打ち合わせがありましたが、集中できませんでした。気がつくと美貴さんのことばかり考えていました』とか、『庭に秋桜の花が咲きました。毎年きれいだなあと思って眺めていたのですが、今年は美貴さんを思うと花の美しさも霞んでしまいます』とか、『美貴さんが、僕の家に遊びに来ていただけるように、週末は部屋を大掃除しました』とか、まだお見合いを終えてから2回しかお会いしていないんですよ(苦笑)」
そして、3回目のデートを目前にして、こんなLINEがきたそうです。
『年齢的にも長く付き合うことはしたくないですし、結婚は決断なので、僕の気持ちはもう決まっています』
そのLINEを読んで、3回目のデートをするのが怖くなってしまったといいます。
「いい人なのはわかるのですが、こちらに来る気持ちの圧がすごすぎて。若いころの恋愛とは違うので、情熱的な言葉を言い合う関係よりも、穏やかな日常を過ごせる相手がいいかと思うんです」
こうして、3回目のデートをする前に、美貴さんは正之助さんにお断りを入れました。
お相手の気持ちを確実に手に入れるには
お見合いは、結婚を前提にした出会いです。生活圏内の出会いでは、“好き”という気持ちが育ってから、おつきあいがスタートするのですが、婚活の場合は、プロフィールで相手の情報を知って、“結婚”を前提に男女が出会い、そこからおつきあいがスタートするので、スタートした時点ではまだ、お相手を“好き”と言う気持ちが育っていません。
“好き”という気持ちを育てていかないといけないのですが、最初にどちらかが猛ダッシュをすると、そのスピードに気持ちがついていけず、違和感を覚えてしまうのです。
気持ちを育てるためには、毎日メールをしたり、最低でも1週間に1回は会ったりするなど、行動を起こしてコミュニケーションを取る時間を増やしていく努力が必要です。しかしそんな中でも、焦りは禁物。焦っている人間というのは、側から見ると行動や表情や言葉に余裕がないように感じ、魅力的には映らないのです。
マメに連絡をとり、女性にはお金を使わせず、こちらは最善を尽くしているのに、なぜいつもフラれてしまうのか。
そういう人は、気持ちが先走りしてカラ回りし、いわゆる下手に出過ぎてしまうのです。人間関係を築く時に、下手に出ている異性を好きにはなる人はいません。そういう相手に結婚を迫られたら、逃げたくなりますよね。
婚活の基本は、ハートは熱く、頭脳は冷静に!
マメに行動をしながらも、気持ちを押し付けるのではなく、冷静な視点を忘れず、“私は、あなたに好意を抱いていますよ。あなたの気持ちが熟せば、こちらは前に進む準備があります”というふうに、ドカンと構えている落ち着きが必要なのです。
鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/