半ニートから高額所得者まで、常識人から異世界に住む人々まで、幅広い層が飲みに来る下北沢を中心に「一人飲み歴10年以上」の、きたざわ御神酒(おみき)です。

飲み仲間から、大変怖い話を聞きました。といっても怪談ではなく人間関係の話です。

「最初は頼れるタイプのいい人だと思ってたけれど、その人が絡んでくると、最終的にはその人だけが得をするような、利己的な動き方しかしてない、って今になっていろいろ発覚して。夫の両親はまんまとソイツに店を奪われたみたい」

……そう語るアカネさん(仮名:会社員・40代女性)やご両親に、何があったのでしょうか?

今回は、それと気づかずに巻き込まれ、損をさせられる恐れのある『マッチポンプ人間』の事例と特徴をご紹介します。

『マッチポンプ人間』とは?こんな問題行動を起こす人、あなたの周囲にもいませんか?

アカネさんの夫・サクさん(40代:自営)には、2人の妹がいます。2人とも既婚者です。

上の妹Aさんは子ども2人を連れての子連れ再婚で、再婚後に今の夫Bさんとの間に1子が生まれ、3人の子育て中です。

この、妹の夫Bさんが『マッチポンプ人間』だというのです。

大前提として「マッチポンプ」という言葉を解説しますと「炎上している出来事を消火(ポンプの水)しようと手を尽くす人物が、実は火元を作った(マッチで着火した)者と同一人物である」状態の例えで、「意図的に問題を起こし、解決する過程で自己利益を得る」一連の過程を包括して言う言葉です。

最初は「立派な人だけれど、ちょっとクセが強い」程度に見えていた『マッチポンプ人間』

Bさんは「3人の子どもを育てるにはサラリーマンでは立ちゆかない」と脱サラして会社を興し、その会社を数年で軌道に乗せた辣腕社長です。アカネさんは最初「義理の妹の夫・Bさんは立派な人物だわ」と尊敬していたそうです。

このBさんの会社は、Bさんの妻の両親が持っている古いアパートの一室(つまりアカネさんの夫の実家所有のアパートの一室)を事業所として借りています。

アパートといっても大変古く借り手がつかず、入居しているのは大家であるアカネさんの義両親と、下の義妹Cさん夫婦、そしてBさんの事業所の3部屋のみです。

過去に、長男夫婦であるアカネさん達が入居する話が出たこともありましたが、義妹Cさんの当時の住まいの近所でトラブルがあり、急遽引っ越ししたい……ということで、親族価格で格安で入居できる実家アパートの部屋を譲り、そのまま10年近く経過している、との事でした。

つまり、長男夫婦(アカネさんと夫のサクさん)以外の姉妹の家庭が、義両親と同じ敷地に住んだり仕事をしている状態です。

アカネさん曰く「だから、時々義実家に行くと、上の義妹AさんとBさん夫婦ともバッタリ、ってことがよくあって。

一度、Bさんが『アカネさん、長男の嫁だからって、義兄さんよりアカネさんのほうがたくさん稼いで苦労してるみたいだし、ここの義両親にまで良くしてあげることないですよ。良くしてあげたって、返そうとか、ありがたく思うような気持ちがない人達でしょ?』って言ってきたことがあり、驚いた」そうで。

「実は私、Bさんの妻、つまり義妹Aちゃんに、夫のことで相談したことがあったのね。夫は収入よりやりがい重視で、私はホントは転職してほしいんだけど、なかなか聞いてくれなくて。私はフルタイムで働いて子育て関連の用事もほとんど私がやっててしんどいな、って時に、Aちゃんに『夫にどう言ったら伝わるかな?』みたいなことを相談していた。だからBさんから夫のことを言われた時は、その話が漏れてたんだな、って。

義両親の陰口に関しては、Bさんは義両親に多めに家賃を払うとか、好意で援助してあげてる部分があるのかな?って。義父はお店を経営しているけど経営状態が悪くて、義母はパートに出ていて。もともと、私たちが義実家のアパートに引っ越そうとしたのも、空いてる部屋を埋めて義両親に家賃を入れる事で、多少は援助できると思ったからだったし、Bさんの事業はかなり順調そうで『俺は稼いでる』ってよく豪語してたし、事業用物件って住宅用の何倍も賃貸料がかかるものだから、古いアパートでも、それなりの家賃を納めてあげてるんだろうな、って思っていたの。

義母はわりと『長男が可愛い』って気持ちがダダ漏れしちゃうところのある人だから、Bさんが家賃などお金の気遣いを持って接してるとしたら、近くにいて長男重視は面白くない部分でもあるんだろうな、って。……それにしても、兄嫁にマンツーマンで義両親の陰口を言うなんて、迂闊でクセの強いとこがあるのね、くらいにその時は軽く考えていた」そう。

しかし、実情は全く違ったのです。

義理の兄弟っていう関係性で、この発言は怖い……。

この後、義父が体調を崩して入院したところから、『マッチポンプ人間』の本性が明らかになっていくのです……。〜その2〜に続きます。