一時停止中だった「Firefox Send」が再開することなく終了、「Notes」も同時に終わる
2020年9月17日に、ウェブブラウザ「Firefox」の開発元であるMozillaが、Firefoxのファイル共有サービス「Send」とメモ同期サービス「Notes」のサポートを終了することを発表しました。
Update on Firefox Send and Firefox Notes - The Mozilla Blog
https://blog.mozilla.org/blog/2020/09/17/update-on-firefox-send-and-firefox-notes/
Firefoxのファイル共有サービス「Firefox Send」がマルウェア配布に悪用され一時閉鎖 - GIGAZINE
Mozillaは9月17日に公式ブログを更新し、Sendのサービスを再開せずにそのまま終了させると発表しました。サービスを再開しないという決定に踏み切った理由について、Mozillaは「我々のサービスのラインナップ全体のコストと、戦略的焦点を見直した結果」と述べて、選択と集中が理由だと説明しています。
同時にMozillaは、Firefoxのサイドバーにメモ帳を追加してPCやAndroidなどの端末間で同期できる「Firefox Notes」のサービスを11月1日に打ち切る方針を示しました。これに伴って、Android版のNotesアプリが機能しなくなるほか、既にデスクトップブラウザのFirefoxに拡張機能としてインストールされているデスクトップ版Notesのアップデートも停止し同期機能も使えなくなります。
そのため、MozillaはNotesの既存のユーザーに対し、サービスが停止する11月1日までにメモをエクスポートするよう呼びかけました。メモはデスクトップ版のメニューボタンから一括でエクスポート可能です。
また、各メモのメニューボタンから個別にエクスポートすることもできます。
Mozillaは「製品戦略と製品ラインナップを洗練させることに対する、皆さまのご理解とご協力に感謝します。終わったサービスに別れを告げるのは簡単なことではありませんが、今回の決定によりMozilla VPN、Firefox Monitor、Firefox Private Networkに注力することができるようになりました」と述べて、ユーザーに対して理解を求めました。
Mozillaは2020年8月に、新型コロナウイルス感染症の影響で全社員の4分の1に相当する250人を解雇すると発表しており、Send、Notesの終了は人員の削減に対応するためのものだと見られています。
Mozillaが新型コロナの影響を受けて250人の人員整理を決定 - GIGAZINE
短期間に終わったサービスでありながら、根強いファンを獲得してきたSendが終了するとの知らせに、一部のユーザーからは残念がる声が上がっています。IT系ニュースブログCaschys Blogを運営しているCarsten Knobloch氏はブログ記事の中で、「Sendは暗号化されたファイル交換ができる有望なツールでした」とコメントしました。
また、Android関連情報のニュースサイトAndroid PoliceのCaleb Potts氏は、「Mozillaが最も便利な製品を2つも殺したので、かなり動揺しています」と題した記事の中で、「Sendはオンラインで安全にファイルを送信する最も迅速かつ簡単な方法の1つだったので、残念です。こうしたサービスが廃止されるのを目の当たりにするのは悲しいことですが、これがビジネス上の現実です」と述べて、SendやNotesの終了を惜しみました。