長距離ドライブの際には給油回数や移動時間の短縮につながる

 燃費×燃料タンクの容量で計算される燃料満タン1回で走れる航続距離が長いクルマは、長距離ドライブの際などには給油の回数が減り、結果的に移動時間が短縮されありがたい。

 ここでは高速道路を淡々と走るという想定で、筆者の経験も含めた高速道路での燃費×(燃料タンクの容量×0.9)で計算される航続距離が、「航続距離が長い」と言える1つの基準となる1000kmを超えるクルマを挙げてみよう。

1)トヨタ・ヤリスハイブリッド

 最新ハイブリッドカーの1台となるヤリスハイブリッドは、4気筒から3気筒になったエンジンやバッテリーの性能向上といった積み重ねにより、カタログに記載されるWLTC高速モード燃費は33.5km/Lをマーク。高速道路での実用燃費でもリッター30kmを超えるのはそう難しいことではなく、36リッターの燃料タンクを残り4リッターの32リッターまで使うとすれば航続距離1000kmを超える可能性は十分ある。

 ヤリスハイブリッドはリヤシートの狭さという弱点はあるが、その点以外は全体的に質の高いコンパクトカーに仕上がっているので、2人までの乗車が主という人にはおススメだ。

2)トヨタ・センチュリー

 日本唯一の本格的なショーファーカー(主にプロの運転手さんが乗るクルマ)は決して新しいものではないものの5リッターV8ハイブリッドを搭載し、車重2370kgの巨体ながらWLTC高速モード燃費は13.9km/Lをカタログに載せる。高速道路を淡々と走る走行パターンならリアルワールドでもこのくらいの燃費は十分期待でき、燃料タンクも82リッターと大きいので、残量が7リッターとなる75リッターを使うと仮定すれば航続距離1000kmをクリアできる可能性は十分ある。

 センチュリーはエンターテイメント機能を含めた極上の快適性、まわりを走るトラックの走行音などのほうが気になることが多々ある高い静粛性に加え、運転しても面白みは薄いもののシッカリとした芯があるイージードライブが楽しめるので、センチュリーでの長距離ドライブは座る位置を問わずに素晴らしい移動時間となるに違いない。

ディーゼルモデルならば燃費もよく燃料代も安く済ませられる

3)トヨタ・ランドクルーザープラドディーゼル

 現行ランドクルーザープラドは登場から10年が経過しながら、高い悪路走破性を確保しながらオンロードでも快適な点や高級感、ギリギリ取りまわしが苦にならないボディサイズなど、魅力を保ち続けているモデルである。

 搭載されるエンジンは2.8リッターディーゼルターボと2.7リッターガソリンNAの2つで、前者のカタログ燃費は走行パターンを総合した古い測定方法となるJC08モードで11.2から11.8km/Lだ。ランドクルーザープラドディーゼルの車重は2.2トンといったところだが、高速道路を淡々と走れば13km台の燃費が期待でき、燃料タンクは87リッターと巨大なので、残り7リッターとなる80リッターまで燃料を使えるとすれば、航続距離1000kmは十分視野に入る。また軽油なので現在の燃料価格なら満タンにしても1万円札でお釣りがくるのも嬉しいところだ。

 ランドクルーザープラドディーゼルでの高速クルージングは、見晴らしのいい高い着座位置から車重の重さも生かしたドッシリとした高い走行安定性を、耳に心地いいディーゼルのエンジン音を伴いながら大船に乗ったような気分で味わえるというもので、じつに快適だ。

4)マツダのディーゼル車全般

 マツダのディーゼル車は、1.5リッターディーゼルターボを搭載するコンパクトカーのマツダ2のFF車なら、淡々とした高速巡行なら25km/L程度の実用燃費が期待できる。燃料タンクもコンパクトカーとしては44リッターと大きく、そのうち40リッター使えるとすると航続距離1000kmをクリアできるチャンスはある。

 また速さという魅力も持つ2.2リッターディーゼルターボ車も同様の走り方なら20km/L近い実用燃費をマークする可能性は高く、とくにラージ3列SUVのCX-8なら燃料タンクも70リッター以上あるので、65リッター使えるとすれば航続距離1000kmはそれほど難しくない。

 さらにマツダのディーゼル車には、表情豊かなディーゼルエンジンを自分のシフト操作でより濃厚に楽しめるMT車の設定が多いのも大きな魅力だ。