街に道路が刺さっている――。どういう状況なのか、まずは下の写真をご覧いただきたい。


たしかに、街に道路が刺さっているとしか言いようがない一枚だ。目を疑いたくなってしまうような光景だ。のどかな街並みとのギャップがなんとも言えない。いったい、これはどうしてしまったというのか。

この写真についてツイッター上では、

「んん??これはどうなっているのでしょうか!?」
「刺さってますよね?????」
「え?」

と、思わぬ光景に混乱してしまっている声が多く上がっている。

一日に約7時間は通行可能


がちゃ(@gachaps)さんのツイートより

もちろん、何かの異常でこうなっているわけではない。

この道路は、高知県にある「手結(てい)港可動橋」(香南市)。摩訶不思議な光景は可動橋が上がっている状態。そのため、まるで地面に刺さっているかのように見えたというわけだ。

上から見ると分かりやすい。赤い丸で囲ったのが手結港可動橋だ。


(C)Google

香南市の公式サイトによれば、長さ約32メートルの可動橋が完成したのは2002年のこと。1日に6度の通行可能時間が設けられており、合わせて日に7時間ほどは通行することができる。


橋が下りると普通の道路だ(C)Google

可動橋の周辺には日本最初の本格的な掘込港湾といわれる手結港(内港)がある。建設コンサルタンツ協会の公式サイトを確認すると、この港は360年以上も前の1655年に完成したとされ、かなりの歴史がある港湾遺産だ。

Jタウンネット編集部が2019年11月13日、橋の管理に詳しい地元の関係者に話を聞いたところ、港周辺の施設を連結するための臨港道路の整備に伴って、可動橋が架かるようになったという。

歴史港湾の入り口に位置するため、周辺の景観にマッチすることや歴史港湾の利用を大幅に改変しないことなどの点を考慮して整備されたとのこと。

橋のある香南市が地元団体に操作を委託。時間がきたら、手動で踏切を降ろし、橋を上下させているそうだ。

橋が上がった時の特徴ある見た目から、テレビCMなどでも紹介されたことがある手結港可動橋。県内外から団体で見に来る人もいて、地元住人からは「もっとPRをしたらよいのでは?」との声も上がっているという。

しかし、その一方で観光客の路上駐車も出ているようで、地元には困惑の声もあるそう。フォトジェニックな見た目であるがゆえの問題もあるようだ。

「手結港可動橋に来てもらったことにより、近くのヤ・シィパークや商業施設等に波及効果があれば」(関係者)

滅多に見ることができない光景を楽しめるこちら。訪問の際はマナーを守って、楽しんでもらいたい。