発想がすばらしい――。本田技研工業(以下ホンダ)が配布した肩掛けトートのデザインが、ツイッターで注目を集めている。

こちらの画像をご覧いただきたい。


警官がいる(?)(画像はホンダから、以下同)

まず目に飛び込んでくるのは、赤と白の発光。どんなに周りが暗くても、「警官か警備員かな」と心構えができる画像である。

だが画像をよく見てほしい。実はこれ、警官が立っているわけではなく、子どもが横断歩道を渡る瞬間である。決して合成画像などではない。実はトートバックのデザインなのである。

いったいどんな思いで制作したのか。Jタウンネットは2019年11月6日、この「肩にかけるおまわりさん まもってトート」を製作したホンダの担当者に話を聞いてみた。

担当者の思いを聞いた

デザインが注目を集めることになったきっかけは、とあるツイッターユーザーの、

「『運転手が1番ビビるのは警官・パトカーやろ』つってホンダが作った子供用トートがかわいい。『肩にかけるおまわりさん』というコンセプトもかわいい」

という投稿だ。11月3日に投稿されたツイートは、いいねが4万8000件を超えている。リプライ(返信)には、

「これ、すごい!視点がいい!!」
「暗闇から突然現れる歩行者はかなり怖いので このトートはありがたい!!」
「子供にも自分用にもほしい」

と、保護者や運転手からも賞賛の声があがっている。


すごいアイデアだ

こちらが「肩にかけるおまわりさん まもってトート」である。

ホンダが9月21日から「秋の全国交通安全運動」に合わせて先着100人に無料配布したもの。誕生のきっかけについて、

「ホンダの交通安全の取り組みの一つとして、まもってトートを製作していました」

と話すのは、ホンダ広報部企業広報課の担当者で、「まもってトート」を企画した坂実沙子さんだ。

「まもってトート」とは何か。公式サイトには、

「暗闇で光るおまわりさんの制服を見ると、ドライバーがハッとする心理から着想しました」

とある。これは坂さん自身が思ったことなのだろうか。

「チームで思いつきました。最近車を運転していると、電柱に看板が立っていて、そこに反射テープが貼ってあるのをよく目にしていました。おまわりさんの制服のように見える看板をたびたび見かけ、『最近よくみかけるよね』と話し合いました。これがきっかけです。

おまわりさんの制服をモチーフにしたら、より安全運転を促せられるのではないかと思いました」


確かに目立つし、警官のようだ

確かに夜道の運転で、警察官をみかけると安全運転を心がけようと改めて思うことができる。見ただけで背筋がピンとなりそうだ。

だが配布はすでに終了してしまっている。しかし安心してほしい。ホンダの公式サイトには、こんな文言が。

「お子さんと一緒に、世界でひとつだけのマイトートを作ってみてくださいね」

「交通安全教育にもつながってくれれば」

用意するものは、市販のトートバックと、光を反射するリフレクターテープ(赤・白色)、裁縫セットだ。

トートバックのサイズに合わせてテープを切り、縫う。また布用ボンドや両面テープで張り付けることも可能だという。


自宅で作ることができるのだ(画像はHonda公式サイトスクリーンショットから)

手作りの「まもってトート」について、坂さんはこう話す。

「(親子で)一緒に作りながら、『必ず交差点では止まらなければダメなんだよ』『秋になると暗くなるのが早いから、こういうのがあったほうがいいんだよ』といったような形で交通安全教育にもつながってくれればと思っています」

子どもの安全面に配慮したトートの完成だ。

話題になったことで、「商品化してほしい」という声を沢山受けたという。

「商品化できないかな、と可能性を探っています。検討をしている最中です」

また話題がきっかけとなって、

「7歳の交通事故の多さ(公益財団法人 交通事故総合分析センター資料より)に気づいていただいて、交通安全教育や運転につながっていけば、うれしいです」

とも話した。

ただし、ホンダの公式サイトには、

「交通事故を確実に防ぐものではありません。交通ルールを守り、安全に気を付けて使用してください」

とある。安全運転・歩行は常日頃から運転手と歩行者に求められている基本である。決して忘れないようにしよう。