お坊さんってどうして「坊主頭」なの?髪のあるお坊さんがいるのはどうして?

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お坊さんと言えば「坊主頭」!でもなんで?

「お坊さん」といえば、多くの方が「坊主頭」をイメージすることでしょう。

しかし、そもそもなぜお坊さんが「坊主頭」なのかについては「そういうものだから」という認識で、改めて考える機会は少ないのではないでしょうか?

また中にはお坊さんなのに剃髪をせず、普通の髪型の方もいますよね?

お坊さんと言えば坊主頭

今回は、お坊さんはどうして剃髪して「坊主頭」なのか、また「坊主頭」のお坊さんと普通の髪型のお坊さんにはどのような違いがあるのかについて考えてみましょう。

そもそも「坊主」とは何を意味していたの?

現在では当然のように「髪の毛がないスキンヘッドの人」のことを指す「坊主」という言葉ですが、本来は髪の毛とは関係ない言葉でした。

元々「坊主」は「房主」と書かれ、お寺の主人である住職のことを指す呼称だったのです。僧侶として十分な経験がありながらも、住職として僧房(坊)を持たない僧侶のことは「法師」と呼び、区別されていました。

それが中世以降、次第にお坊さん全体のことを「坊主」と呼ぶようになり、剃髪したお坊さんのような髪型のことも「坊主頭」と呼ぶようになりました。

剃髪するかどうかは宗派次第?必ず「坊主頭」なのは?

さて、お坊さんが「坊主頭」かどうかは、宗派によって異なります。

普段からいかにもお坊さんらしい坊主頭で生活しているのは、曹洞宗、臨済宗などの禅宗系の僧侶です。彼らは毎月、4と9のつく日に頭を剃る決まりとなっています。

これには「欲(四九)を断つ」という語呂合わせと、『上堂』と呼ばれる偉いお坊さんの話を聞く修業(毎月5・10・15・20・25・30日)の前日に身を清めるためという意味合いがあります。

また真言宗の僧侶の場合も、修行の時と数年に1度の大事な儀式の時には剃髪が義務付けられます。しかしそれ以外の時には「各自自由」とされているため、普段から坊主頭にしているお坊さん、普通の髪型にしているお坊さんなど、個人差があります。

剃髪しなくてよい宗派もあるの?

一方、浄土真宗系の宗派の場合は「帰敬式(ききょうしき)」という門徒になるための儀式のときには剃髪しますが、その後は有髪で生活するのが普通です。近年ではその「帰敬式」も、髪を剃らず髪の毛に刃を3度当てる儀式で済ますことが多いとか。

これは浄土真宗の、「阿弥陀仏は大変慈悲深いお方なので、その行いに関わらず誰でも救ってくださる」という考え方に基づくもの。僧侶も完全に世俗から脱するのではなく、欲を持ち続けてしまう「人間のありのままの姿」で仏道を志すべしという教えが、髪型にも現れているのです。

ちなみに『仏教ではこう考えます』の著者で浄土真宗本願寺派の住職の釈徹宗(しゃくてっしゅう)さんは、浄土真宗の僧侶にもかかわらず坊主頭ですが、その理由について著書の中で「髪が薄くなったので刈っちゃったんですね、ははは」と仰っています。

同書の中には

「たとえ有髪であっても(中略)マジメそうな髪型にしてほしいなぁ。ドレッド・ヘアーのお坊さんにお経を読んでもらっても、なんだかありがたくないもの」

という一説もありましたが、髪型に対する考え方1つにも、宗派による自由度が現れるようですね。

参考文献:『仏教ではこう考えます〜人生の悩みにお坊さんがゆるり回答〜』釈徹宗・著/祥伝社黄金文庫