高岩成二と主演スーツアクターを受け継ぐ縄田雄哉

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 特撮ドラマ「仮面ライダー」シリーズの主演スーツアクターが、令和1作目となる「仮面ライダーゼロワン」(毎週日曜・午前9時〜)をもって、“ミスター平成仮面ライダー”こと高岩成二(50)から、縄田雄哉(36)へバトンタッチすることが明らかになった。

 高岩といえば、「仮面ライダーアギト」(2001〜2002)を皮切りに、歴代18作品で主人公のライダーを担当してきた伝説的な存在。高い身体能力と演技力によって、各ライダーの特徴はもちろん、変身前の主人公の性格までも繊細な動きで表現してみせ、スーツアクターとして確固たる地位を築き上げてきた。

 その高岩から主演を受け継ぐ縄田は、これまでドラマや映画、舞台など幅広い分野で活躍。「仮面ライダーエグゼイド」で仮面ライダーゲンムを演じ、現在放送中の「仮面ライダージオウ」では仮面ライダーゲイツとして、高岩の演じるジオウと共に戦ってきた。

 主役ライダーへの大抜てきに縄田は「これまでドラマや映画などいろいろな現場を経験してきましたが、いつかは主役をやりたいと思っていたので決まった時は単純にうれしかったです」と喜びのコメント。一方で「でも、そのあとは不安が襲いかかってきましたね(笑)。今の自分のスキルで大丈夫だろうか、高岩さんの姿を見ていても表現の幅に差があると感じていたので。喜びと不安が入り混じった気持ちになりました」とポツリ。

 しかし高岩は、そんな縄田に「安心して見ていられる部分が多々あります」と太鼓判。「スペシャルなどで過去の平成ライダーにお手伝いで後輩に入ってもらった時があるのですが、見ていると『ちょっと違うな』ということもありました。でも、縄田に関してはすごく絵になるんです」と信頼を寄せ、「自分の中では本当にすっきりしていて、やりきった感が強いですね」と語る。

 「本当に20年は長い、イチローは引退するわ、気がつけば自分も50歳という節目ですし(笑)。いろいろな節目が来る中で、ひとつの区切りとして令和ライダーにバトンタッチできるのはすごく嬉しいですね。とはいえ、僕も『ゼロワン』に関わりますので、これまでは僕が支えられてきた恩返しに、今度は僕が支える側で主役を押し上げられれば、と思っています」

 かつては「スーパー戦隊シリーズ」のレッド担当からライダーへ。キャリアを振り返った高岩は「実はずっとスーパー戦隊をやりたかったんです。だから、仮面ライダーをやる時は、渋々という感じでして(笑)」とまさかの告白。だが、ある時から「『仮面ライダークウガ』を超えてやろう! 視聴率も上げてやる!」とスイッチが入ったという。

 しかし当初は「スーパー戦隊シリーズ」の少し誇張する芝居が染みついており、監督たちに注意を受けたことも。「どうしようと思っていた時にうちの社長(JAEの金田治氏)が監督をやる回があったんです。その時も社長からいろいろ言われて、言い方は悪いですけどカチンときちゃって(笑)。『わかりました! もう動きません!』と思っちゃったんです(笑)。動かないと言っても、ただじーっとしているのではなく、感情を作って誇張せず自分の芝居をやったら『それ!』と言われて。動かない、というのもお芝居だなとそこで理解しましたね。それ以降、自分の感情や思いを先にやろう、そうすれば“マスクの表情”は後からついてくる、と思うようになりました」

 そんな高岩のエピソードに「アクションの美しさはもちろんですが、高岩さんの演技からは表情を感じるんです。マスクは能面のように表情がないはずなのに」という縄田は「現在公開中の映画のワンシーンで、ジオウが平成ライダーみんなの思いを語る熱いシーンがあるんです。そこを高岩さんがお一人で芝居をされていたんですが、それを見ていた時におそらくその場にいた人全員が感じていたと思うのですが、本当に痺れましたね。すごく感動して、その後の芝居も変わったと思えるほどの影響を受けていたのがわかったんです」としみじみ。主演スーツアクターとして「僕もそんな高岩さんのように周囲に影響を与えるような芝居を作っていきたいと思っています」と決意を明かした。

 縄田が主演ライダーを演じる「仮面ライダーゼロワン」はテレビ朝日系で9月1日スタート。「仮面ライダージオウ」は8月25日に最終話を迎える予定で、残すはあと3話。また現在『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』が全国の映画館で上映されている。(編集部・入倉功一)