コーヒー、牛乳、ヨーグルトなどでお馴染みの「小岩井乳業」。苗字や地名と思われがちな「小岩井」だが、その意外なネーミングの由来がツイッターで話題となっている。


ヨーグルトのアルミフタに記載が(kagshunEMANON@kagshuntravelさん提供)

話題の発端になったのは、ツイッターユーザーのkagshunEMANONさんの投稿だ。

「東北の民であれば知らぬ者のいない『小岩井農場』ですが、まさか『小野さん』『岩崎さん』『井上さん』の頭文字だったとは知りませんでした」

そう、「小岩井」は小岩井乳業の原点である小岩井農場の創始者となった、小野義眞(ぎしん)、岩崎彌之助、井上勝の頭文字をそれぞれとったもの。岩手県では関連会社である小岩井農牧が運営する総合生産農場の「小岩井農場」も観光スポットとして知られている。

kagshunEMANONさんが投稿したのは、ヨーグルトのアルミフタ。そんなところにがっつり記載されているのも驚きだが、ツイッターでは、

「え、小岩井さんがいると思っていました!!!衝撃です!」
「私も地名だと思ってました」

といった声が相次いでおり、投稿主のように知らなかった人も多くみられる。

名付け方がまるで「KAT-TUN」のようだという声も上がっているが、小岩井農場が創業したのは1891(明治24)年。100年以上も前から時代を先取っていたようだ。

アルミフタは「コミュニケーションスペース」

小岩井農場は1891年、日本鉄道会社副社長の小野義眞、三菱社社長の岩崎彌之助、鉄道庁長官の井上勝により創業。1938年に小岩井農牧を設立し、小岩井農場はその事業所となる。1976年には小岩井農牧とキリンビールの出資により小岩井乳業が設立された。


向かって左から、小野義眞、岩崎彌之助、井上勝(画像は小岩井乳業提供)

多くの人を驚かせた「小岩井」の秘密。小岩井乳業も隠していたわけではないだろうが、ヨーグルトのアルミフタに書かなければ知らないままの人も多かったことだろう。

なぜアルミフタに記載したのか。Jタウンネットが2019年7月11日に取材したところ、小岩井乳業の広報担当者は、

「小岩井ってどういうお名前なのかってお問い合わせがあったり、小岩井農場を知らないというお客様が多かったりしたので、小岩井というブランドの原点で小岩井農場があるということをコミュニケーションスペース(アルミフタ)で知っていただくきっかけになればということでした」

と話している。

アルミのフタに「広報欄」と書かれている通り、同社はこの場所をお客さんとの「コミュニケーションスペース」として利用しているようだ。

アルミフタに「広報欄」がある商品は、大きさの関係もあり4商品。

「小岩井 生乳(なまにゅう)100%ヨーグルト」(400グラム)、「小岩井 生乳だけで作った 脂肪0(ゼロ)ヨーグルト」(400グラム)、「小岩井 無添加ヨーグルトオレンジはちみつ入り」(340グラム)、「小岩井 プレミアムクリームヨーグルトグルメファン」(350グラム)となっている。

名前の由来以外にもパターンが

記載されている内容は「小岩井農場の一本桜」「小岩井農場をこよなく愛した宮澤賢治」など、4パターンがある。それぞれの商品にランダムに入っているようだ。




現在はこの4パターンを使用している(画像は小岩井乳業提供)

読み応えのあるアルミフタの取り組みを始めたのは数年前。「小岩井 生乳(なまにゅう)100%ヨーグルト」は1984年発売だが、ヨーグルト類の売り上げはここ5年ほどで急増したといい、それに合わせて始めたという。

これまでには商品のこだわりを記載していた。しかし昨年ごろから、公式サイトのアンケートなどに寄せられた、お客さんの「生声」を載せるなどし、より興味をひくものとなっている。


最初はこだわりを記載(画像は小岩井乳業提供)


お客さんの「生声」も(画像は小岩井乳業提供)

筆者はこの商品を購入したことがないが、まさかアルミフタにこれだけの情報量が詰まっているとは...。開けた時が楽しみになるこの取り組み、広報担当者は「今後も記載内容は変わる可能性がある」話している。