by pawel szvmanski

2019年6月は「観測史上最も暑い6月」だったことが明らかになっていますが、これまでのペースでいけば2050年までに世界の主要都市で劇的な温暖化が予測されると専門家が発表しています。

Understanding climate change from a global analysis of city analogues

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0217592

Dramatic warming projected in world's major cities by 2050

https://phys.org/news/2019-07-world-major-cities.html

2050年までに、ロンドンの気候は2019年のスペイン・マドリッド並の暖かな気候に変化する可能性が示唆されています。この予測は、ETH Zurichの研究者チームが科学誌のPLOS ONEで発表したもの。

研究チームは気温や降水量の変動に関わる19種類の変数を用い、世界の520の主要都市の気候を調査。気候変動については意図的に「楽観的に確立された推定モデル」が使用され、世界中でグリーン政策が実行されることで21世紀中頃(2050年頃)には二酸化炭素排出量が地球規模で安定し、平均気温の上昇は1.4度程度にとどめられることが判明しました。



by Adrien Olichon

しかし、この「将来の気候予測」と2019年時点の各都市の気候の類似性を用いてさらなる分析を進めたところ、世界の主要都市ではより過酷な気候変動が待ち構えていることが明らかになっています。

報告によると、北半球の主要都市では2050年になると、赤道に向かって約1000km移動した位置の2019年時点の気候と似たものになるとのこと。つまり、イギリスのロンドンは、2050年になるとスペインのマドリッドと似た気候になると研究者たちは報告しているわけです。赤道付近では急激な温暖化は起きないそうですが、干ばつや降雨はより極端なものになるとのこと。

なお、地球全体としては世界の主要都市の77%が2050年までに気候の「著しい変化」を記録するのに対して、22%は「これまでにない変化」を経験するとのこと。ヨーロッパでは夏と冬の平均気温がより高くなり、夏の平均気温は3.5度、冬の平均気温は4.7度上昇すると予測されています。



by Quinten de Graaf

研究を主導したJean-Francois Bastin氏は、「この報告書は、気候変動により何が起ころうとしているのかを、誰もがより良く把握できるようにすることです」と記しています。Bastin氏は夏の平均気温が急上昇するにつれ、北ヨーロッパではより多くの人々がエアコンを購入するようになると指摘。その結果、電力網への負担が増加し悪循環が生じる可能性もあるとしています。

・おまけ

なお、日本の環境省が「2100年 未来の天気予報」というムービーを公開しており、地球温暖化に対して有効な施策が取られないままであれば、2000年頃からの平均気温が2100年までに最大4.8度上昇すると予測されていることが示されています。

2100年 未来の天気予報 夏 - YouTube