年々広がる働き方の多様化はビジネスファッションの多様化でもあります。「今年の夏からオフィスカジュアル/クールビズで通勤」なんて企業も多いはず。涼しくて楽なスタイルで出勤できるのは嬉しいものの、その反面、どんな格好をするのが正解なのか分かりにくいのもまた事実です。

「家にある綺麗めな服をそのまま着ればいいの?」
「買い足すならどんなものがいいの?」

と一人モヤモヤしてしまう前に、プロの意見に耳を傾けてみましょう。

今回は、「大人のフレンチカジュアル」を提案する人気セレクトショップ『EDIFICE』のスタッフ3人にインタビュー。夏のオフィスカジュアルの極意を伺いました。

(写真左から)BAY☆FA GOLD(パーソナルスタイリスト)山田 慎平さん、EDIFICE丸の内店スタッフ 鈴木 央向さん、BAY☆FA GOLD(パーソナルスタイリスト)三浦 健司さん

キーワードは「清潔感」と「差し引き」

編集部:今回取材するにあたって、オフィスカジュアルの悩みについて事前アンケートを取ったんです。その回答を見ると、

「カジュアルすぎるとだらしなく見えるから、バランスが難しい」
「どうコーディネートしたらいいか分からない」

といったコーディネートにまつわる話が多くて。
なので、まずはオフィスカジュアルの着こなしについて聞ければと。そもそも私服とオフィスカジュアルの違いって何でしょう?

三浦 健司さん(以下、三浦):お客様の会社や役職によっても、許されるスタイルって全然違うんですよ。だから、明確に定義するとなると正直難しい。でも、共通しているポイントは清潔感だと思います。

編集部:清潔感ですか。

(写真上) COOLMAX ボーダー カッタウェイ ポロシャツ \10,260、(写真下)ライトメランジトロ アンクル パンツ \11,880(全て税込)

三浦:例えば、夏にチノパンを穿くなら、センタークリース(脚の中央に入った折り目のこと)が入ったものを選んだり、インナーのポロシャツなら、台襟(襟の根元につく帯状のパーツ。襟を立体的に見せてくれる)があるものを着てみたり、といった具合です。

編集部:ドレッシーな要素があるとオフィスカジュアルらしくなるということですね。

三浦:そうですね。あとは差し引きだと思います。

編集部:差し引きというと?

三浦:清潔感を取り入れるとはいっても、全部のアイテムでそれを実践してしまうと“お堅い”印象になってしまう。かといって、全部をカジュアルにしてしまえば私服と変わらないので、取り入れるアイテムの最終的なバランスが大事だと思いますね。

 

持つべきカラーは「ネイビー」、柄でトレンド感を。

TPOに応じてカジュアルさとドレッシーさのバランスを調整する。そのやり方は“百聞は一見にしかず”、ということで、実際に3人のコーディネートを見せてもらいました。まずはネイビーのセットアップとグレーのポロシャツを合わせた三浦さんのスタイルから。

FUNCTION MOBILE エヴァレット シアサッカージャケット \28,080、シアサッカーパンツ \15,120(全て税込)

三浦:セットアップは2019年のトレンドアイテム。夏になってもジャケットは必ずどこかで着ることになると思うので、持っておくと便利だと思います。このセットアップは、シワになりにくい機能素材を使っているので、着ないときに手に持ったり、かけたりしても大丈夫。あと、別途でポーチが付いているので、出張などに持ち運びやすいんです。

編集部:セットアップにネイビーという色を選んだのはなぜでしょう?

三浦:ネイビーは品が良く、他の色と合わせやすいからです。インナーに着る色は白が多いと思うんですが、それとも相性が良くて、とても清涼感のある見え方になる。ネイビーはまず持っておきたい色ですね。ちなみに、次点でおすすめなのがグレーとベージュです。

編集部:私服でもビジネスの場でも、やっぱりネイビーは万能だと。あと、セットアップをよく見ると柄がありますね。

三浦: 去年や一昨年くらいから「英国調」がキーワードになっているので、チェック柄を取り入れてみました。

編集部:そういうところにもさりげなくトレンドを取り入れているんですね。

三浦:そうですね。ビジネスシーンで着用するということで、華美ではない同トーンの配色を選びました。もし初めて柄を取り入れるとしても、これなら抵抗ないかと。

ドレススニーカー タッセル \19,440(税込)

編集部:シューズは、革靴とスニーカーの中間のようなデザインですね。

三浦:アッパーがレザー、ソールがスニーカーなんです。やや規則が厳しい企業で、スニーカーがOKということであればこれくらいがいいですよね。見栄えは華やかだけど、履き心地はカジュアルで。

COOLMAX ボーダー カッタウェイ ポロシャツ \10,260(税込)

山田 慎平さん(以下、山田):あと、三浦さんがインナーに着ている台襟付きのポロシャツは一つ持っておいて損のないアイテムです。襟の開きがあるとおじさんくさく見えない。普段着としてわざわざ買うことは少ないと思うのですが、こういった“やや”カジュアルなアイテムは持っておくと便利ですよ。

 

足元はローファーで、“すっきり見せ”がポイント。

お次は、EDIFICEのパーソナルスタイリストも務める山田さん。提案したのは、ブルーの開襟シャツとスラックスをレザーシューズでキリッと引き締めた、クリーンなコーディネートです。

メランジ オープンカラーシャツ \10,260、ライトメランジアンクルパンツ \11,880(全て税込)

編集部:革靴はスーツに合わせるようなかしこまったものはダメでしょうか?

山田:シンプルなプレーントゥなら大丈夫ですが、ストレートチップなどのドレッシーなシーンで履く革靴は合わないと思います。基本的にはローファーが無難。もし遊び心を出すなら今履いているビットローファー(馬具を模した金属の飾りがついたローファー)がおすすめです。

EDIFICE 別注ビットローファー スムース \23,760(税込)

編集部:裾の丈感も、清潔感につながるポイントではないかと思います。

山田:もちろん好みもあるとは思いますが、僕がコーディネートするとしたら、足にかからないぐらいのハーフクッションをおすすめしますね。その方がすっきりしますし、「ちゃんと自分に合わせて丈を調整しているんだな」と、気を使っている印象も与えられますから。

T/C シルケット リンクス Vネック \7,020(税込)

山田:あと、先ほど柄の話が出ましたが、定番のチェック、ストライプ柄以外を取り入れるのは難しいと思いますが、“織り”で表現したものなら取り入れてもいいと思います。

編集部:もし取り入れるとすれば、どんな感じでしょう?

山田:僕が今インナーに着ているのがそうですね。これは「リンクス」という織り方で無地のボディに幾何学模様を落とし込んでいるんです。インナーに着る分には他人の目も気にせずに取り入れられますし、程よいアクセントになってくれるかと。

鈴木 央向さん(以下、鈴木):あと、開襟シャツは今年の一大トレンドなんですよ。僕が働いている丸の内店はビジネスマンが多いエリアなので、基本的に保守的な方が多いんですが、それでも開襟シャツを購入してくれる方もいるくらいで。特にEDIFICEのものは襟や身幅がコンパクトなので、オフィスカジュアルに取り入れるにもハードルは低いと思いますよ。

 

白Tシャツと白スニーカーは鉄板アイテム

EDIFICE丸の内店スタッフの鈴木さんは、Tシャツとスニーカーを取り入れたカジュアル寄りのスタイルを提案してくれました。やはり気になるのは白のTシャツ。肌着としてのイメージも拭えないアイテムですが、仕事着として取り入れるなら、どこに注目すればいいのでしょうか?

ライトメランジトロ 2ボタン ジャケット \17,280、ライトメランジトロ アンクル パンツ \11,880(全て税込)

鈴木: 白のクルーネックTシャツって、実はオフィスカジュアルにも派生させやすいんです。ジャケットやセットアップに合わせられますし、半袖シャツのインナーにもいける。

編集部:肌着っぽく見せないためにはどのように選べばいいのでしょうか?

鈴木: 肌着用のTシャツは生地が薄くて、首回りも緩いというイメージがあると思います。オフィスカジュアルに取り入れるなら、その逆のものを。首まわりが詰まっていて、生地の密度が高く、高級感のあるものがおすすめです。

コットン ワイドポケットTee \5,940(税込)

編集部:高級感とはどういった部分でしょうか?

鈴木:例えば、このTシャツは生地に「シルケット加工」を施していて、上品なツヤがあるんです。そういった質感の違いですね。

山田:あと、サイズ感も大事だと思いますよ。ピタッとしすぎないほうが透け感も少ないですし、上品に見えてくれますし、リラックス感のあるシャツとも合わせやすいのでおすすめです。

編集部:なるほど、生地の「密度」と「質感」、「首回り」、「サイズ感」ですね。

鈴木:そうですね。中でもEDIFICEでおすすめなのがこの白Tシャツ。そんな基準を満たしつつ、裏面は吸水、おもて面は撥水してくれる特殊加工も施されているんです。つまり、汗ジミもできにくい。

FUNCTIONAL COTTON Tシャツ \5,400(税込)

編集部:Tシャツにそんな機能もつけられるとは……。では次にスニーカーについて。この一足を選んだ理由はありますか?

EDIFICE 別注コンチネンタル 80 \12,960(税込)

鈴木: カラーリングです。ちょっと黄味がかったオフホワイト調なら、カジュアルだけど品の良さもあり、取り入れやすいので。

編集部:やはり清潔感のある色が第一なんですね。スニーカーは装飾性が強かったり、カラフルだったりするものも多いですが、「ここまでならオフィスカジュアルに取り入れていい」という線引きはあるのでしょうか?

鈴木:パッと見の印象で「黒っぽい、白っぽい、グレーっぽい」といった感じでビジネスカラーに通じるものであれば選択肢に入れていいと思います。

編集部:それを聞くと安心できますね。家にあるものでも代用しやすい。ちなみに、他にもおすすめのスニーカーはあるのでしょうか?

鈴木:もう少しカジュアルなものでも大丈夫であれば、〈ホカオネオネ〉のものがおすすめ。デザインにもトレンド感がありますし、なんといっても履き心地がいいんです。

CLIFTON5 \18,360(税込)

夏のオフィスカジュアルに迷ったら、着こなしのプロであるショップスタッフに聞くのが一番。一人で悩まず、迷ったら店頭で。遠方で行けない方はFACYのメッセージ機能でご相談してみてください。

EDIFICE 丸ノ内店
住所:東京都千代田区丸の内2-5-2 三菱ビル 1F
営業時間: 11:00〜21:00(月曜日のみ11:00〜20:30)
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