常総学院vs明豊

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主砲・菊田が49号!そして本格派右腕・塙が待望の復活登板!高校通算49本塁打を放った菊田(常総学院)

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 2017年から始まった大分県高野連強化遠征。これは昨秋4位まで入ったチームに与えられる制度で、昨秋九州予選1位は関東遠征となる。明豊は3年連続の関東遠征だ。

 まず常総学院と明豊の一戦。常総学院の主砲・菊田 拡和は、「練習試合ですけど、明豊さんが相手なので、公式戦のつもりで臨みました」と気合を入れた一戦。

 さっそく菊田が見せた。1回表、4番菊田が早速タイムリーを放つ。菊田は「若杉くんのストレートは高めにすっと伸びてきて良い投手でした」と褒め称えたが、それでも勝負強さを見せた。さらに5回表にも1点を追加。

 明豊の若杉は失点をしたものの、状態は上がっている。体をコマ回りのように回転させ、最速141キロを計測。常時137.8キロのストレートは思わず空振りをしてしまうものがあり、変化球は少なく、ストレート中心だった。それでも強打の常総学院を押し切ってしまうほどの精度の高さがある。川崎監督も「今年の投手陣は粒が揃っていますが、若杉がまず中心」と高い評価。コントロールで勝負する左腕がキレのあるストレートで押し切れたら本当に頼もしい。全国的に見ても若杉のストレートの精度の高さは高いものがあるだろう。

 常総学院は2年生右腕の菊池竜雅が最速145キロのストレートを武器に5回無失点の好投。その後、長身右腕・一條、左腕・小林、アンダースロー・池田智彦とつないでいく。そして9回表、4打席目を迎えた菊田は「前の打席で高めを振って三振してしまいました。ボールの下を振っていたので、ボールの軌道に合わせるために少し上から叩く意識で打席に入りました」カウントは2ボールから狙っていたストレートを振り抜き、右中間の場外へ打ち込む本塁打。これで高校通算49本塁打となった。「久しぶりの右中間へのホームランだったので、良かったです」と笑顔を見せた菊田。

 そして9回裏、一死から常総学院は5番手に塙 雄裕を投入する。塙とアナウンスされると、常総学院側のスタンドは大きく沸いた。塙は、2年夏まで活躍を見せていた本格派右腕。しかし9月に肩を痛め、1月まで治療に明け暮れ、最近の練習試合で復帰していた。歓声の大きさを見ると、彼の復活を待ちわびていたファンの多さが伺える。

しかし3番布施 心海に本塁打を打たれ、その後も押し出しで1点を与え、二死満塁のピンチを招く。なんとか最後の打者を打ち取り、常総学院が逃げ切った。

 塙は「秋、春とベンチに入れず、負けた試合をスタンドで観て、チームに貢献できない。そんな歯がゆい思いをしてきました。夏は絶対にベンチ入りをして、活躍したいと思います」と活躍を誓った塙。

 この試合では常時135キロ〜141キロのストレートは威力があり、120キロ前半のスライダー、110キロのカーブの精度も悪くなかった。制球を乱してしまったのは、まだ実戦明けだからだろう。1つ1つのボールの精度の高さを見ると好投手が多い今年の常総学院の中でも、トップクラスの素質を持った投手といえる。

 限られた練習試合の中で、さらに状態を上げていけるか。塙が完全復活となれば、3年ぶりの甲子園出場を狙う常総学院にとって大きな戦力となるはずだ。

(取材・写真=河嶋 宗一)