《父子ダブル逮捕》放火未遂の息子の頭部と胸部に “弾丸” を命中させた父親の苦悩
4月15日、最初に逮捕されたのは無職で長男の坂本佳謙容疑者(31)。その2週間後の4月29日、次に逮捕されたのは会社役員で父親の坂本悌二容疑者(63)だった。
弾丸は頭部と胸部に命中
親子が逮捕された発端は、
「4月14日、悌二容疑者から、“今から家に行くと息子から連絡があった。昨晩もガソリンを家にまかれている”と通報がありました」
と捜査関係者。現住建造物等放火未遂の疑いで逮捕された長男の供述からその後、父親の犯行が浮上。逮捕容疑は、殺人未遂と銃刀法違反だった。
再び捜査関係者が説明する。
「14日午前2時10分ごろ、自宅にガソリンをまくなどして“火をつけるぞ”と叫んだ長男に対し、父親が空気銃を複数回、発砲していた。弾丸は長男の胸部、頭部などに命中。その後、銃底で長男の頭部を殴打している。全治不詳の左側胸部挫創、右側頭部骨折等の傷害を負わせたが、命に別状はない。長男はスキを見て、逃げ出したそうだ」
事件現場はJR常磐線・羽鳥駅から車で約10分に位置する茨城県石岡市の農村地帯。
近所に住む70代の男性は、
「あの家はもともと奥さんの実家で以前は食品工場をやっていた。ご両親が亡くなったため廃業し、空いた土地は企業に貸してたようだけどね。奥さんは結婚して1度、家を離れたけど、25年くらい前に家族で越して来たんだよ」
警察によれば、逮捕された長男は現在住所不定だが、かつてはそこで生活し、近所にも“悪評”が知られていた。
近隣の50代の主婦は、
「素行がよくなかった。逮捕されたこともありました」
2009年12月28日、佳謙容疑者は傷害と逮捕監禁の疑いで逮捕されている。当時22歳。元交際相手の女性を呼び出し、左足をバールで殴りつけ両手両足を結束バンドで縛り、女性の乗用車で3時間あまり連れ回したという。
逮捕したのは、今回と同じ茨城県警石岡署。新聞も報じ、近所の知るところとなった。
素行不良の長男とは対照的に、悌二容疑者は「実直な人」「キッチリした人」「まじめな人」と周囲は口をそろえる。
銃には複数の鍵
県猟友会に所属し、同会主催の昨年度の安全狩猟射撃決勝大会では個人準優勝するほどの腕前だ。
猟友会の男性会員は、
「テッポウをやっている人であの人を悪く言う人はまずいない。面倒見もいいし、銃の取り扱いも本当に丁寧だし、猟もサボらずちゃんと取り組む。面倒なイノシシの解体も、率先してやってくれます。
悪さばかりしている息子に、悌二さんもよっぽど悩んでいたんだと思うよ」
前出・捜査関係者によれば事件当日、銃は保管庫に入っていたという。
「鍵も複数かけ、即座に取り出せない。“今から火をつけに行く”と息子から連絡があったから、取り出して待っていたのでは。火をつけられたら、家族まで殺されかねないですからね」(前出・男性会員)
事件当日、家にいた容疑者の妻であり母は、取材に口を閉ざす。佳謙容疑者の弟は、
「兄とは仲があまりよくなかったので(動機など)よくわからない。捜査中ですし、お話しできません」
警察は、家庭内トラブルが原因とみて捜査を進めているが、息子は容疑を否認。父親は黙秘しているという。