黒と白を基調とした機内には、144席の本革シートが通常のエコノミークラス席より前後間隔にゆとりを持たせて設けられている。(撮影:吉川忠行)

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3月16日開港予定の新北九州空港を拠点に新規参入する航空会社のスターフライヤー(北九州市、堀高明社長)は16日、東京都大田区の東京国際空港(羽田空港)で、同社が就航を予定している黒色の旅客機を報道関係者に公開した。

 公開したのは仏エアバス社製のA320型機で、羽田─新北九州間で就航する3機のうちの1号機。世界の民間航空機としては初めて機体を黒に塗装した。180席あった座席を144席に減らし、前後間隔91センチという、通常のエコノミークラス席より12−15センチ分のゆとりがあるシートを実現。本革を使用した全シートの下にはパソコン用電源、前面には小型液晶テレビ、コートフックなどが装備されている。客室乗務員の制服は、黒いパンツスーツに白いシャツを組み合わせ、首の白いスカーフでまとめた。

 機体の公開に先立ち、東京都港区の品川プリンスホテルで行った説明会で、堀社長は「北九州から新しい航空のスタイルを始めたい」と、サービスやデザインなどの独創性を強調。「2年間は羽田−新北九州便に集中し、経営基盤を確立したい」と述べ、将来的には上海やソウルなどへの国際便にも参入する意向を示した。

 機体の外装・内装にとどまらず、調度品、航空券、広告宣伝など細部にわたって、デザイナーの松井龍哉さんが企画・開発に携わった。「1企業のイメージをデザイナーがすべて責任を持つ例は日本ではめずらしい」と、スターフライヤーのもうひとつの斬新(ざんしん)さを付け加えた。

 スターフライヤーは、羽田−新北九州間を約1時間半で結び、就航当初は1日9便、3月23日からは同12便運航する。ビジネス客をねらい、早朝深夜便を設定。始発は北九州発が午前5時半、羽田発が同6時5分。最終便は北九州発が午後11時半、羽田発が同11時50分になる。

 運賃は日本航空の同路線より2割程度安い片道2万5800円、中心となる特定割引価格は1万9600円に設定。同日から航空券の予約、販売を開始したところ、初日の始発便は5分で完売した。【了】

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