フィリップ殿下からの手紙を受け取った被害者女性(画像は『Mirror 2019年1月27日付「Prince Philip finally apologises to car crash victim and says he’s ‘deeply sorry’」(Image: MIRRORPIX/Steve Bainbridge)』のスクリーンショット)

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1月17日に人身事故を起こした、英エリザベス女王の夫エディンバラ公フィリップ殿下(97歳)。この事故の後、48時間も経たないうちに殿下が再びシートベルトなしで買い替えたランドローバーを運転する姿が目撃されたことで、世間からは「もう運転すべきではない」などという声があがり、物議を醸していた。さらに被害者のひとりである女性が「殿下から謝罪の言葉もない」と怒りを露わにしていたが、事故から6日目にしてこの女性がフィリップ殿下から謝罪の手紙を受け取ったという。『Mirror』『Metro』などが伝えている。

1月17日午後3時前、エディンバラ公フィリップ殿下が運転するランドローバーが、エリザベス女王と同殿下の所有するノーフォーク州サンドリンガムの別邸敷地内の私道から国道へ出ようとした時、国道を走行してきた起亜自動車の乗用車に衝突。ランドローバーは横転し、起亜自動車を運転していたエリー・タウンセンドさん(28歳)とエマ・フェアウェザーさん(46歳)は負傷した。

特にエマさんは、手首を骨折し仕事も2か月間は休まねばならず、生活に支障をきたすようになってしまった。しかし事故の後、王室からは連絡があったものの事故を起こした本人であるフィリップ殿下からの謝罪の言葉は何もなく、エマさんは英メディアで涙ながらに怒りを露わにし、「殿下の運転は危ないからもう止めてほしい」「怪我をさせられた被害者に誠意を見せてほしい」と訴えていた。

この件は、世間で大きな物議を醸した。エマさん同様に殿下の運転を止めるべきだという声もあがったが、被害者のエマさんがメディアで心情を吐露したことについて「王室に何を期待しているのか」「殿下が謝罪するわけない」といった冷たい声も少なくなかった。ところが事故から6日経った1月23日、エマさんはついにフィリップ殿下から謝罪の手紙を受け取ったのだ。

ノーフォーク州キングス・リンに住むエマさん宅に手渡しで届けられたとされる手紙は、1月21日に書かれたものだった。封を開けて文頭のサンドリンガム邸という文字が目に飛び込んできたエマさんは、「Oh My God!」と驚いたという。手紙には青のペンで、フィリップ殿下の直筆と思われる筆跡でエマさんの名前、結びの言葉「Yours sincerely(敬具)」、そして殿下の名前が記されていた。印字されていた文章の内容は、概ね下記の通りだ。

「(キングス・リンの)ベイビングレーの交差点の事故について、私が申し訳なく思っていることをどうか知っていただきたい。私はこれまでにも何度もあの道を利用していて、国道の交通量もきちんと把握していました。通常であれば、ダージンガム方向から来る車を確認することは困難ではありませんが、事故当日の3時頃は太陽の位置が低く、眩しくて目が眩んでしまったために向かってきた車を見逃してしまったのです。あのような事故を起こしたことは痛恨の極みです。」

「事故の後は震えに襲われましたが、被害者の方々が誰一人命に別状がないと聞いて安堵しました。多くの人が現場に集まり始めたので、地元警察がサンドリンガム邸に戻るよう私に勧め、私は現場を去ったのです。その後に、あなたが腕を骨折していたことを知りました。本当に申し訳ありません。この苦渋の経験から一日も早い回復をされますよう、願っています。」

手紙を読んだエマさんは、心境をこのように語った。

「書面では私の怪我のことにも触れ、謝罪してくれたので嬉しく思いました。形式ばった手紙ではなく、殿下はきちんと直筆でサインをしてくれてもいました。私が殿下から人としての思いやりを求めると、多くの人からは『非現実的だ』と言われましたが、この手紙からは殿下の思いやりが表れていると思います。内容に私が同意するか否かはともかくとして、殿下が書面できっちりと説明してくださったことに感謝しています。事故の被害者にこれ以上の不快な思いをさせずに、書面で正しいことを綴るのは容易ではありませんから。」