大坂なおみ【写真:Getty Images】

写真拡大

トップ100に“女子ゼロ”の理由をフォーブス誌が特集「男女の収入差を浮き彫りに」

 米経済紙「フォーブス」はこのほど、恒例の2018年スポーツ長者番付を掲載。2億8500万ドル(約313億円)で1位だったボクシングのフロイド・メイウェザー(米国)を筆頭に、3460万ドル(約38億円)で日本人1位だったテニスの錦織圭(日清食品)ら、世界の一流アスリートがズラリと顔をそろえたが、一方でトップ100に女子選手はゼロ。同誌は「なぜ、スポーツ長者番付に女子が1人もランクインしなかったのか」と見出しを打って特集している。

 記事では、スポーツ長者番付について「プロスポーツにおける男女の収入差を浮き彫りにするものだった」と評している。リストを2010年に50人(2012年から100人)に拡大して以来、初めて女性が入らず、テニスのセリーナ・ウィリアムズ(米国)は1800万ドル(約19億8000万円)で女子トップだったが、全体トップ100に入る2290万ドル(約25億2000万円)とは、およそ500万ドル(5億5000万円)の差があったと伝えている。

 いったい、その原因はなぜなのか。記事では「今年の女性の不在には複数の要因がある」と指摘している。かつてリストの常連だったテニスの李娜(中国)は2014年に引退、11年連続ランクインしていたテニスのマリア・シャラポワ(ロシア)が禁止薬物使用による15か月の欠場、今回の女子1位だったウィリアムズも妊娠・出産のため14か月間、大会から遠ざかったことなどを理由として挙げている。

新候補は「テニスの日本人」か、「成功が巨額のスポンサー収入を誘発する」

 一方で「高収入アスリートの構図も変化し、女性のランクインの機会に影響を与えている」という。1990年のリストは個人スポーツのスターに偏重しているが、今年は82%がチームスポーツの選手といい、テレビの放映権料が莫大に伸びた影響を指摘し、例としてNBA選手が爆発的に数字を伸ばしていることも伝えている。こうした影響もあり、女子選手が番付に載る唯一の道だったテニスもトップ100に載る基準が上がっているという。

 今後、女子を巡る番付動向はどうなるのか。記事では競技復帰したウィリアムズは来年リストに戻る見通しを示した上で「しかし。ウィリアムズの次にトップ100に入るのは誰なのか?」と言及。シャラポワなど、かつてリストに登場した面々について厳しいとの見解を示したが、意外にも新候補の一人として注目されているのが、日本のアスリートだ。

「一番確実なのは一般にまだ眼界に入っていない誰かだろう。成功が巨額のスポンサー収入を誘発する日本か中国からの新星テニススターが、かつて李娜や錦織圭がそうしたように、100人に割って入るのかもしれない」

 このように記し、日本、中国のようにテニス界で成功することで多くのスポンサーが付きやすい土壌がある文化から新たに番付に入る可能性があることを指摘している。現在、日本を代表するテニス選手といえば、世界ランク20位の大坂なおみ(日清食品)だが、さらなる新星の出現は世界の女子アスリートの勢力図を変えるかもしれない。(THE ANSWER編集部)