1000人の人員削減計画を発表した富士重工業の竹中社長(撮影:吉川忠行)

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富士重工業<7270>の竹中恭二社長は8日、東京都千代田区の丸の内トラストタワーで行った中間決算発表の席上、設立以来初めて導入する希望退職制度や転籍の奨励などで、2006年3月までに全社員の約7%にあたる1000人の人員削減を行う方針を正式に発表した。

 希望退職は、全部門の45歳以上を対象に11月下旬に面接を実施し、700人を募る。希望者には割増退職金を支給し、自動車業以外への企業に限って転職先をあっせんする。また、現在1100人いる関連会社への出向社員のうち、50歳以上か長期出向者を対象に、300人を出向先に転籍させる。

 今回の削減計画は、07年3月までの中期経営計画「Fuji Dynamic Revolution-1」の一環として行うとしており、割増退職金約80億円など特別損失は06年3月期の従来予想に織り込んでいる。竹中社長は「グループ全体が筋肉質で、機動的で活力ある組織にすることが中期計画を確実に達成するための基盤」と説明した。

 富士重は10月5日、米ゼネラルモーターズ(GM)との提携関係を解消し、トヨタ自動車の傘下入りを表明したが、相乗効果は「明確に出るまでに1、2年かかる」(竹中社長)としている。竹中社長は「基本的に当社が抱えていた課題を解決しようとするもの。業務効率を高めて、トヨタとの提携も大いに活用しながら企業価値を高める」と今回の削減計画を独自の動きとしているが、中間決算発表も1カ月遅らせたことから、トヨタとの協業に備えた再建とも見える。

 また、富士重が同日発表した05年9月中間期の連結決算によると、GMとの提携解消に伴うサーブ社の新型車開発中止で56億円の特別損失を計上し、純利益は同3.8%減の80億円と、2期連続の減益となった。

 世界販売台数は、前年同期比4%減の26万4000台。売上高は同3.4%減の6671億円と、3期ぶりの減収になった。国内では、前年に導入した新型の軽自動車「R2」が不振で、同7.9%減の11万4000台と苦戦。海外では、北米で新型SUV(スポーツ多目的車)「B9トライベッカ」が好調だったが、米国でのいすゞの受託生産を昨年夏に撤退したことで1万2000台、GMとの関係解消の影響で7000台など昨年から減らし、同0.9%減の15万台だった。

 営業利益は前年同期比12.3%増の1741億円。国内での販売減や、海外での安全環境対策コストの増加などの減益要因を、原価低減や試験研究のデジタル化などの効率化で抑えた。また、デリバティブ評価損32億円などが響き、経常利益は同10.2%減の1352億円だった。【了】

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