成功が遠ざかる 人の思考を止める「バカシステム」とは?
自分のやりたいことを思う存分できたとしたら人生は幸福なはず。
それがわかっていても、毎日に充実感を持てなかったり、漠然とした不安を抱えている人は少なくありません。もしあなたもそうなら、自分を捉えて窮屈にしている「常識」や「価値観」を疑ってみるといいかも。
『脱 バカシステム!〜想像以上の結果を出し続けるメソッド』(サイゾー刊)は、世にはびこる真偽不明な「○○でなければいけない」を、「人の思考と行動を縛るバカシステム」と喝破する一冊。
今回は、この本の著者でビジネスプロデューサーの鈴木領一さんに、この「バカシステム」について、そして「人生の成功」について、お話をうかがいました。
■人を思考停止に陥らせる「バカシステム」から抜け出そう
――タイトルにある「バカシステム」とはどのようなものなのでしょうか?
鈴木:「バカシステム」というのは私が作った造語で、人を思考停止に陥らせて物事を考えられなくしてしまう仕組みのことです。
たとえば、コーヒーを飲む時、カップが皿の上に置かれるでしょう。あの皿は何のためのものか考えたことはありますか?
――ないですね。
鈴木:それが「バカシステム」の一例なんです。この皿はなぜあるのかといろんな人に聞くと、スプーンを置くからとか、何となくおしゃれだからとか、色々な答えが返ってきますが、皿がついていない喫茶店もありますし、おしゃれかというとそうでもないですよね。
あの皿は、実は中世ヨーロッパが起源なんです。当時お茶や紅茶を飲めるのは上流階級だけだったのですが、当時のカップには取っ手がなかったので、熱くてそのまま手で持って飲むことはできなかった。だから一度平たい皿に少し入れて、冷まして飲んでいたわけです。
そのうちに取っ手がつくようになって、カップを持ってそのまま飲めるようになりました。となると皿は不要ですが、今でも習慣として残っているんです。こういう話を聞くと、あの皿は実は特に必要のないものだとわかりますが、ほとんどの人はそこに疑問を持つことはありません。これこそが「バカシステム」なんです。
――そういう例は他にもたくさんありそうです。
鈴木:世の中には溢れていますよ。週刊誌の報道をそのまま信じてしまったり、他人から口コミで広がってきた情報を検討することなく受け入れてしまったり、人は案外思考することなく物事を鵜呑みにしてしまう。
ビジネスでもそういうことはあって、会社員は会社に出社して、顔を合わせてコミュニケーションを取りながら仕事をするのがいいんだという価値観は、最近は薄れつつあるものの、未だに強固にあります。
問題なのはそういった常識や価値観で意図的に人を縛ろうとする人もいることです。
「ここをやめたら絶対仕事なんてないよ」といって社員を辞められないように縛り付けておいて、過酷な仕事を要求するというのは、ブラック企業のやり口としてよくありますよね。
何の根拠のない言説を、それが誰の利益になるのかを考えさせないように信じ込ませることを意図的に仕掛けてくる人がいて、注意しないといつの間にか信じさせられてしまう。思考停止に落ちる人間と、思考停止に陥らせようとする人間もひっくるめて「バカシステム」なんです。
――鈴木さんはバカシステムにどのように気づきましたか?
鈴木:僕は九州の田舎の出身なのですが、多くの日本の田舎の例に漏れず、人は学校を出たら就職してその会社に勤め上げて、老後はのんびり暮らすという人生設計のモデルが常識としてまかり通っていました。
それだけではなくて、家業があれば長男がそれを継いで、おまけに一族の墓も見ろと。僕は長男だったので、冗談じゃないと(笑)。墓を見るために地元に留まれって恐ろしい話でしょう。
それが嫌で大学に入るときに地元を出たんです。ところが大学も嫌になってしまって中退してしまった。もう完全に地元の価値観でいえば「ドロップアウト」です。
完全にレールから外れたダメ人間なんですけど、辞めた後に一人であれこれ仕事を始めてなんとかやってみると、案外やれるんです。学歴には傷がついてしまいましたが、フリーでやっていると学歴なんて誰も聞かない。聞かれるのは「何をやってきたか」と「何ができるか」だけです。「あれ?おかしいな」と思いましたよね。いい大学を出ていい会社に行かないといい人生を送れないんじゃないのかと。
でも、そうじゃありませんでした。自分が教わってきた常識って実は嘘なんじゃないかと疑い始めたのはその時です。
――この本では、自己啓発書などによくある「夢や目標をもたないといい人生は送れない」というのを「バカシステム」だと喝破しているのが印象的でした。
鈴木:そうです。「なりたい夢を具体的にイメージすれば実現できる」という言説は本当に色々なところで語られているでしょう。このおかげで、夢や目標がないことに焦りを覚えたり、自分はダメな奴だと思ってしまう人がいるのですが、決してそんなことはありません。
だいたい、夢や目標に向かって一心不乱に努力できる人なんてごく一部の人だけですよ。
夢も目標も持てないのに「何でもいいから夢を持たないと」と無理をして苦しむ人をたくさん見てきました。早くこのバカシステムに気づいて、自分を解放して身軽になっていただきたいです。
(後編につづく)
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『脱 バカシステム!〜想像以上の結果を出し続けるメソッド』(サイゾー刊)は、世にはびこる真偽不明な「○○でなければいけない」を、「人の思考と行動を縛るバカシステム」と喝破する一冊。
■人を思考停止に陥らせる「バカシステム」から抜け出そう
――タイトルにある「バカシステム」とはどのようなものなのでしょうか?
鈴木:「バカシステム」というのは私が作った造語で、人を思考停止に陥らせて物事を考えられなくしてしまう仕組みのことです。
たとえば、コーヒーを飲む時、カップが皿の上に置かれるでしょう。あの皿は何のためのものか考えたことはありますか?
――ないですね。
鈴木:それが「バカシステム」の一例なんです。この皿はなぜあるのかといろんな人に聞くと、スプーンを置くからとか、何となくおしゃれだからとか、色々な答えが返ってきますが、皿がついていない喫茶店もありますし、おしゃれかというとそうでもないですよね。
あの皿は、実は中世ヨーロッパが起源なんです。当時お茶や紅茶を飲めるのは上流階級だけだったのですが、当時のカップには取っ手がなかったので、熱くてそのまま手で持って飲むことはできなかった。だから一度平たい皿に少し入れて、冷まして飲んでいたわけです。
そのうちに取っ手がつくようになって、カップを持ってそのまま飲めるようになりました。となると皿は不要ですが、今でも習慣として残っているんです。こういう話を聞くと、あの皿は実は特に必要のないものだとわかりますが、ほとんどの人はそこに疑問を持つことはありません。これこそが「バカシステム」なんです。
――そういう例は他にもたくさんありそうです。
鈴木:世の中には溢れていますよ。週刊誌の報道をそのまま信じてしまったり、他人から口コミで広がってきた情報を検討することなく受け入れてしまったり、人は案外思考することなく物事を鵜呑みにしてしまう。
ビジネスでもそういうことはあって、会社員は会社に出社して、顔を合わせてコミュニケーションを取りながら仕事をするのがいいんだという価値観は、最近は薄れつつあるものの、未だに強固にあります。
問題なのはそういった常識や価値観で意図的に人を縛ろうとする人もいることです。
「ここをやめたら絶対仕事なんてないよ」といって社員を辞められないように縛り付けておいて、過酷な仕事を要求するというのは、ブラック企業のやり口としてよくありますよね。
何の根拠のない言説を、それが誰の利益になるのかを考えさせないように信じ込ませることを意図的に仕掛けてくる人がいて、注意しないといつの間にか信じさせられてしまう。思考停止に落ちる人間と、思考停止に陥らせようとする人間もひっくるめて「バカシステム」なんです。
――鈴木さんはバカシステムにどのように気づきましたか?
鈴木:僕は九州の田舎の出身なのですが、多くの日本の田舎の例に漏れず、人は学校を出たら就職してその会社に勤め上げて、老後はのんびり暮らすという人生設計のモデルが常識としてまかり通っていました。
それだけではなくて、家業があれば長男がそれを継いで、おまけに一族の墓も見ろと。僕は長男だったので、冗談じゃないと(笑)。墓を見るために地元に留まれって恐ろしい話でしょう。
それが嫌で大学に入るときに地元を出たんです。ところが大学も嫌になってしまって中退してしまった。もう完全に地元の価値観でいえば「ドロップアウト」です。
完全にレールから外れたダメ人間なんですけど、辞めた後に一人であれこれ仕事を始めてなんとかやってみると、案外やれるんです。学歴には傷がついてしまいましたが、フリーでやっていると学歴なんて誰も聞かない。聞かれるのは「何をやってきたか」と「何ができるか」だけです。「あれ?おかしいな」と思いましたよね。いい大学を出ていい会社に行かないといい人生を送れないんじゃないのかと。
でも、そうじゃありませんでした。自分が教わってきた常識って実は嘘なんじゃないかと疑い始めたのはその時です。
――この本では、自己啓発書などによくある「夢や目標をもたないといい人生は送れない」というのを「バカシステム」だと喝破しているのが印象的でした。
鈴木:そうです。「なりたい夢を具体的にイメージすれば実現できる」という言説は本当に色々なところで語られているでしょう。このおかげで、夢や目標がないことに焦りを覚えたり、自分はダメな奴だと思ってしまう人がいるのですが、決してそんなことはありません。
だいたい、夢や目標に向かって一心不乱に努力できる人なんてごく一部の人だけですよ。
夢も目標も持てないのに「何でもいいから夢を持たないと」と無理をして苦しむ人をたくさん見てきました。早くこのバカシステムに気づいて、自分を解放して身軽になっていただきたいです。
(後編につづく)
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