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<プライバシーのない「二ーハオトイレ」から一変。衛生面は劇的によくなったとしても、違和感の残るトイレ...>

「まるでゴミ溜め」――北京に住む韓国人カイ・パクは、15年前に初めて中国を訪れてトイレを見たときの様子をこう言い表した。香港英字紙サウスチャイナ・ モーニングポストの取材に対し、そもそもドアのないトイレもあったし、利用者がドアを閉めないケースもあったと話す。隣との壁すらなく、用を足しながら挨拶できることから「二ーハオトイレ」とも揶揄された。

よく見られた穴だけのトイレ


しかし、パクが北京に暮らし始めてから10年。特に近年、中国トイレは劇的にきれいになっただけでなく、利用者のエチケットもかなりよくなったと言う。深刻なトイレ事情を重く受け止め、習近平(シー・チンピン)政権が中国全土の「トイレ革命」を推進しているためだ。サウスチャイナ・ モーニングポストによると、中国全土で7万基の公衆トイレが増設された。


左:2013年に北京の旧市街にあった公衆トイレ。再開発により取り壊された。右:同年、北京市内のデパートの男子トイレ Kim Kyung-Hoon-REUTERS

【参考記事】中国で進む習近平の官製トイレ大革命

ただ、この「トイレ革命」は方向性が少々おかしい。ある種の芸術作品のような様相を帯びてきた革命の産物は、単に用を足すというトイレの概念を越えている。

中国南西部貴州省安竜県の公園に設置された、ガラス張りの個室トイレ

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部