スター・ウォーズ Ep. IXのトレボロウ監督が降板、脚本はリライト中。後任はどうなる?
映画『スター・ウォーズ』シリーズの最新作、エピソードVIII『最後のジェダイ』はこの12月に公開を控えていますが、再来年の続編『エピソードIX』で監督脚本を担当するコリン・トレボロウが降板したことが分かりました。

タイトル未定の『エピソードIX』は2019年公開予定。『フォースの覚醒』から続く続三部作(エピソード7,8,9)の完結編であり、『スター・ウォーズ』の正伝9編すべての最終章となる見込みの作品です。
ルーカスフィルムによる短い公式ステートメントは以下のとおり。

Lucasfilm and Colin Trevorrow have mutually chosen to part ways on Star Wars: Episode IX. Colin has been a wonderful collaborator throughout the development process but we have all come to the conclusion that our visions for the project differ. We wish Colin the best and will be sharing more information about the film soon.

要約するほどの内容でもありませんが、お互いに道を分かつことにしました(一方的なクビではありません)、ここまでの制作過程にわたって素晴らしい貢献をしてくれましたが、最終的には作品のビジョンがディズニーとトレボロウで異なることが分かりました、映画についての続報は近日中にお伝えします、といった内容。トレボロウ監督側からのコメントは特にありません。

コリン・トレボロウ監督は1976年生まれ。インディーズ作品の Safety Not Guaranteed (2012)で頭角を現し、抜擢されたジュラシック・ワールド (2015) は大ヒット作となりました。スター・ウォーズ 9本目の監督・脚本を担当することは2015年に発表済み。

一方、今年2017年に米国で公開された長編映画3作目 The Book of Henry は映画評論家からの評価が芳しくなく、というより非常に悪く、興行的にも苦戦しています。

トレボロウ監督は自作 Safety Not Guaranteed やジュラシック・ワールドにも携わった脚本家 Derek Connolly氏とともにエピソードIXの脚本も担当するはずでした。しかしディズニーはすでに8月、別の脚本家 Jack Thorne 氏を雇い大幅なリライトに取り掛かっています。トレボロウ監督の降板は、こうしたストーリー構想を含む部分でディズニー側と不一致が大きくなったことが原因と考えられます。

エピソードIXの公開予定は2019年5月24日(ワールドプレミア)。現時点では公開日の延期などは発表されていません。

後任については、あくまでもうわさレベルでは、エピソード VII フォースの覚醒を撮ったJ.J. エイブラムス監督、年末のエピソード VIII 最後のジェダイを撮ったライアン・ジョンソン監督が再び担当するのでは?との話もありますが、公式な発表はありません。

なお、最近の『スター・ウォーズ』映画では製作会社との衝突で降板、実質クビは珍しいことではありません。今年の6月には、来年2018年公開予定のハン・ソロ主人公スピンオフ(タイトル未定) を監督していたPhil Lord と Chris Miller がディズニー側との不一致で降板。後任にロン・ハワード監督が選ばれることがありました。

またハン・ソロ映画と同じスピンオフでは、タイトルも未発表の作品、おそらく賞金稼ぎボバ・フェット主人公の作品に向けて雇われたジョシュ・トランクが、2015年にはこれまた創作上の不一致で降板しています。トランクは2015年版『ファンタスティック・フォー』の監督。興行的に失敗したことから、ディズニー側が能力を不安視して切ったのでは、とも言われています。

便宜的に製作会社=ルーカスフィルム=ディズニー側と書いていますが、スター・ウォーズについてのクリエイティブコントロールを握っているプロデューサーのキャスリーン・ケネディ氏は、ディズニーによる買収前からルーカスの盟友。ルーカスフィルムのプレジデントでした。

さて、三部作または九部作の完結となる作品 エピソードIXを誰が監督するかについては、あまり現実的ではない案としてジョージ・ルーカス待望論もあることはあります。

トリビア的な話としては、ルーカス自身が40年前の1977年のインタビューで、スター・ウォーズの続編は他人に任せて同じテーマをどう料理するか見てみたい、そのうえで最後の一本だけ再び自分で撮りたい、と構想を語っていたことがあり、話半分にしろまさかの予言成就に期待する向きがあるのも確かです。

(ルーカスの構想としては全6部作だった時代、オリジナル三部作のV (帝国の逆襲)とVI(ジェダイの帰還)は他人に任せ、新三部作のエピソードIからIIIは全部自分で撮っているため、最初と最後を担当したい、については成就しているともいえます。最初と最後「だけ」、ではありませんが)。

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まさかのルーカス復活については、実現すればどうなるか怖いもの見たさは否定できないにしろ、ルーカスはそもそも続三部作(7,8,9)を自分で手がけるつもりが、ルーカスフィルムを買収したディズニーにストーリーを却下され、窮屈な環境ではとても自分の作品にできないと察して身を引いたことを公言しています。

よほど大変な心境の変化でもないかぎり、自分で考えたのではないストーリーとキャラクターで、しかも三部作の最後だけを雇われ監督としてディズニーの指示に従う立場になるとは思えません。

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それ以上に、ルーカスが考えたスター・ウォーズのテーマ云々よりも「ファン映画」(ルーカス)を優先した結果、フォースの覚醒で大成功したディズニーにとって、いまさら扱いにくいルーカスに頼む理由はなおさらありません。



完結編がどうなるか分からん状況ながら、最新作『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』は12月15日公開です。