DeNAで昨季を上回る出場機会を得た田中浩康【写真:荒川祐史】

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昨季戦力外から新天地で出番つかんだ選手たち

 プロ野球も夏場の戦いを終えて、いよいよシーズンの大詰めを迎えた。セ・リーグは連覇を狙う広島が首位を走り、パ・リーグはV奪還を狙うソフトバンクが2位・西武に10ゲーム差をつけてトップに立っている。セはクライマックスシリーズ進出争いも激化しており、今後の試合も見どころが満載だ。

 一方、レギュラーシーズンの終わりが近づくに連れて話題に上り始めるのは来季の契約だ。特に戦力外や引退は華やかなプロ野球の舞台の裏で必ずついて回る話題。今年はすでにロッテの井口資仁が引退を表明しており、今後も今季限りでユニフォームを脱ぐ選手が出てくるだろう。特に戦力外通告は選手にとって一つのターニングポイントであり、現役続行を諦めない者、引退を決意して第2の人生に歩みだす者など、その決断は様々だ。

 昨季も多くの選手が戦力外となる中、現役にこだわりを見せた選手は多い。その中でどん底から這い上がることができた選手はどれほどいるのか。ここで昨季戦力外通告を受けながらも新天地で出場をつかんだ主な選手を見てみたい。

“復活組”の一人は久保裕也投手だろう。昨季DeNAから戦力外通告を受けた37歳は12球団合同トライアウトを経て楽天の春季キャンプに参加。契約を勝ち取った。新天地では6月6日のDeNA戦で初登板のチャンスをつかむと、以降、救援として活躍。8月下旬に防御率3点台となったが、昨季を上回る26試合に登板し、2勝1敗、6ホールド、防御率3.77の成績を収めている。

大松は2本のサヨナラ本塁打、猪本はプロ初打点

 ヤクルトを戦力外となった田中浩康内野手も新天地で昨季を上回る出場機会を得た選手の一人だ。2016年は31試合のうちスタメン出場は2試合のみで、それ以外は主に代打での出場だったが、今季入団したDeNAではここまで54試合に出場。うち42試合にスタメン出場しており、二塁としてはチーム最多の41試合に先発している。

 昨季途中に右アキレス腱を断裂し、オフにロッテを戦力外となった大松尚逸内野手もヤクルトで出番をつかんだ。主に代打要因で77試合に出場し、打率.171ながら、3シーズンぶりに本塁打を放つなど印象に残る活躍を披露。5月10日の広島戦でサヨナラ本塁打を放つと、7月26日の中日戦では延長10回に10点差をひっくり返す大逆転勝利へと導くサヨナラ弾を放った。3本塁打、13打点ともに2013年以降、自己最多となっている。

 そのほかソフトバンクを戦力外となり、楽天に入団した細川亨捕手は16試合、同じくソフトバンクを戦力外となりロッテの入団テスト合格した猪本健太郎投手は6試合に出場。猪本は8月29日のオリックス戦で決勝の2点適時打を放ち、プロ初打点を記録した。一方、柳瀬明宏投手はソフトバンク戦力外から阪神に入団したが、ここまで2試合で8失点を喫している。

 また、阪神を戦力外となった柴田講平外野手は入団テストを経てロッテに入団し、ここまで昨季の10試合を超える17試合に出場。打率.121ながら5月13日の日本ハム戦で自身4年ぶり本塁打となる2ランを放っている。楽天を戦力外となった榎本葵投手は12球団合同トライアウトを経てヤクルト入りし、ここまで9試合に出場。また同じく楽天を戦力外となった岩崎達郎内野手は古巣中日と育成選手として復帰し、7月に支配下契約を締結、1試合に出場している。

 レギュラーシーズンも残り約1か月となり、今後は新たな契約の話題も浮上する。終盤戦でアピールするのはどの選手なのか。優勝争い、CS争いとともに生き残りをかけた選手たちの必死のアピールにも注目したい。(Full-Count編集部)