鳴門渦潮vs富岡西
河野 成季（鳴門渦潮）
「河野の成長が大きいですね」。昨夏から3季連続の県大会決勝進出を決めた鳴門渦潮・森 恭仁監督。その原動力として真っ先に挙げたのは今大会エースナンバーを背負い、この試合でも133球4安打8奪三振1失点完投の河野 成季（3年・176センチ72キロ・左投左打・徳島藍住リトルシニア出身）であった。
昨秋は有持 信道（3年・左投左打・175センチ66キロ・徳島東ルトルシニア出身）との2枚看板から完全に一本立ちした形。その成長過程をまずは女房役の松�� 健太（3年主将・170センチ75キロ・右投右打・徳島東リトルシニア出身）が明かす。
「この冬はブルペンに紐を張って低めの配球を心がけた結果、浮き球も減りましたしテンポもよくなりましたし、真っすぐの球威も増しました」
一方、河野が成長の要因としてあげたのは「テイクバックで力が入ってしまう癖があったので、そこを抜くようにすることと、着地してからの時間を長くとれるようにする」フォーム改善。ここに筋量増加を加えたことで、最速133キロのストレートも「常時のスピードが増した」と実感できるようになった。
その集大成が9回裏無死一塁で準々決勝・徳島北戦では決勝アーチを放っている富岡西4番・小田 倭（2年・一塁手・185センチ88キロ・右投右打・阿南市立阿南第一中出身）を迎えたシーンである。この場面、松��はワンストライクから「第一打席ではインコースのストレートを三塁線に二塁打された」ことを考慮に入れ、アウトコースひざ下へのスライダーを要求。河野はそこに投げ切って遊ゴロ併殺打。「心の安定がでてきた」指揮官も評価する河野の1球は試合の趨勢を決するものとなった。
この1勝で秋春連続四国大会へ駒を進めたと同時に、夏の徳島大会第1シード獲得へ王手をかけた鳴門渦潮。「2点以内に抑えて5点以上取る」チームコンセプトを体現する中心には、背番号「1」河野による「エースの矜持」が不可欠だ。
（取材・写真＝寺下 友徳）
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