川内商工vs出水
川内商工・谷口
出水は初回、相手のエラーで先制する。
川内商工は2回、二死から6番・安田智哉（3年）がセンターオーバー二塁打、7番・尾曲勇人（2年）がライトオーバー二塁打、8番・瀬口智史（3年）がライト前タイムリーと下位打線の長打攻勢、連打で2点を返し逆転に成功した。
出水は6回・二死二塁から6番・吉元惇也（3年）のレフト線二塁打で同点に追いつく。 9回、川内商工は二死二塁から4番・鳥井口温和（3年）がレフト前タイムリーを放ち、サヨナラ勝ちを決めた。
「ここで打ったらヒーローだぞ！ 気持ちで打ってこい！」
9回裏、次打者席で待っている鳥井口に、副主将の三角航大（3年）が声を掛けた。「あの言葉でリラックスできた」と2ボールからの内角直球を振り抜く。バットの根っこでとらえたジャストミートとは程遠い打球だったが、まさしく「気持ち」でショートの頭上を越えるサヨナラタイムリーになった。
「苦しかった」と川内商工・小園康夫監督は開口一番で振り返る。2回に下位打線の長打攻勢で逆転して以降、相手を大きく上回る13安打しながらも、拙攻が続いて追加点がなかなか奪えなかった。同点に追いつかれた直後の7回、粘りの投球を続けたエース谷口達樹（3年）から2年生右腕・東畠竣にスイッチしたが、制球が定まらずボール先行の苦しい投球が続く。
「野手が必死で守っているんだから、お前も腹を決めて投げろ！」 小園監督が檄を飛ばし、9回は2三振を奪い三者凡退で打ち取った。表の守備で作った良い流れが裏のサヨナラ勝ちにつながった。
振り返れば昨秋の地区大会では同じ出水にサヨナラ負け。昨夏は川内が4強、秋はれいめいが優勝、出水が8強と同じ北薩地区のチームが好成績を収める中で「自分たちは何かが足りない」（小園監督）と打撃や走塁を中心に冬場鍛えてきた。苦しみながらもリベンジできて小園監督は「一つ山を越えることができた」と喜んでいた。
（文＝政 純一郎）
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