泉澤祐希 幼少期の活躍と10代での休業を経て得た確信「俳優以上に刺激を与えてくれるものはない!」
泉澤祐希――。NHK大河ドラマ『功名が辻』の山内一豊(上川隆也)と千代(仲間由紀恵)の養子で、三浦春馬が演じた湘南の幼少期。『白夜行』(TBS系)で山田孝之が演じた桐原亮司の少年期。『モテキ』(テレビ東京)の森山未來が演じた藤本幸世の中学時代。ここまで聞いて「あぁ!」と彼の顔が浮かんだ人も多いのでは? 人気俳優たちの子ども時代を演じてきた少年も、いまでは23歳。映画『君と100回目の恋』ではキャンパスライフの青春に身を投じている。

撮影/川野結李歌 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.



胸キュン映画出演に喜びも、自身は恋愛なしでガッカリ…?



――映画は坂口健太郎さん演じる陸が、不思議なレコードの力でタイムリープを繰り返し、miwaさん演じる幼なじみの葵海(あおい)の運命を変えようとするラブストーリーです。最初にオファーが来たときの印象は?



オリジナル脚本ということがすごく大きかったですね。漫画原作の映画が多いなか、ゼロから書き上げられた脚本で、ぜひやりたい! と思いました。

――脚本を読んで、陸と葵海が繰り広げる純愛についてどんな感想を持ちましたか?

僕はこれまで恋愛映画ってあまりやったことがなくて、まあ、僕の役は恋愛しないんですけど…(笑)。陸と葵海のやりとりとか、ちょっとした仕草とか「こういうの、女の子はうれしいんだろうなぁ。胸キュンポイントがいっぱいだな」って思いました。男からしたら、こんな陸みたいなキザなことできるか! って感じなんですけど(苦笑)。




――確かに陸は完璧でクールで、女性から見たら理想の男性かもしれませんが、その完璧ぶりの種を明かせば、レコードを使って、何度もタイムリープをしてやり直していたという……。

ホント、ただのズルですからね、あれは! ぜひ、「こいつ、何回同じことを繰り返したんだ?」という視線で、映画を観ていただきたいですね(笑)。カッコよさとはまた違う、陸の愛らしさが見えてくると思います。

――泉澤さんが演じた中村鉄太は、バンドではドラムを担当するナイスガイです。

鉄太は、一歩引いてみんなを見ていて、それぞれのことを一番よくわかってる男ですね。ドラムとして一番後ろからみんなの背中を見て、息づかいを感じているというのが大きいんでしょうね。普段の僕自身と共通している部分が多くて、やりやすかったです。




――泉澤さんも、普段から一歩引いて、冷静にみんなを見ているタイプ?

そうですね。思い返すと、みんなが前を歩いてて、一番後ろから付いていく、ということが多い気がします。僕も鉄太ほどではないかもしれないけど、わりと気を遣うほうかな? というか、鉄太はもっとモテてもいい気がするんですけど…(苦笑)。

――男性陣の中で一番モテてもおかしくない気がします! でも映画では、陸と葵海が両思いで、直哉(竜星 涼)も実は葵海に想いを寄せていて、葵海の親友の相楽里奈(真野恵里菜)は、そんな直哉に片思いということで、鉄太だけが見事なまでに恋愛の環の外に……。

おかしいですね…(苦笑)。



――5人が浜辺で遊んでて、男3人が互いを海に引きずり込んで…という、セリフのないシーンがありますね。陸と直哉はそれぞれ、タオルを持った葵海と里奈に迎えられるのに、鉄太だけは後ろでひとりポツンとしていて、泉澤さんの表情が、優しげでもあり寂しげでもあり……。

あのシーン、ちょっとシュールですよね!(笑)

――ついつい視線が、キャッキャと楽しそうな4人ではなく、泉澤さんに吸い寄せられました(笑)。

寂しくもありつつ、鉄太としては4人を見ながら、彼らが上手くいってることに安心感を抱いてるのかな?



撮影現場ではイジられキャラに?「愛を感じます(笑)」



――この5人での撮影が多かったかと思います。現場での泉澤さんは先ほどもおっしゃっていたように、鉄太と同じく一歩引いて、みんなを見守るというポジションで?

いや、それが今回に限っては……(ここでちょうど、竜星さんがそばを通りかかり、大声で「祐希ー!(笑)」と呼びかけて去って行く。泉澤さんは竜星さんの背中を眺めつつ)こういう感じですね、いつも(笑)。なぜかイジられてました。特に竜星くんから。愛を感じます!(笑)

――楽しそうですね。

休みの日もふたりでいることが多かったですね。健太郎くんも、会う前はすごいイケメンのイメージだったんですけど、一緒にいると「オレの中の坂口健太郎ってこんなんじゃないはずなのに!」と思うくらい、崩れてて……(笑)。




――芝居部分だけでなく、バンドの練習もあったかと思います。楽器を触ったのは初めてと伺いました。しかも、ボーカルにmiwaさんを迎えて。

ホントにね、そこはプレッシャーでした(苦笑)。僕と竜星くんと健太郎くんの3人はゼロからで「みんなで上達しよう!」って感じなんですけど、ボーカルが抜群の存在感を発揮して、プロとしてそこにいるんですよ…。芝居部分の撮影は大丈夫なのに、音楽パートでは、どうしても葵海じゃなくミュージシャン・miwaに見えてしまって。

――紅白歌合戦4回出場の実力派シンガーソングライターですからね。

「練習でスタジオに行くとき、私も誘ってよ」とか気さくに言ってくれるんですけど、こっちは気後れしちゃって。それで「こないだ、練習したんだけど」って話したら「なんで誘ってくれないのよ!」って。いやいや、そんな気軽に誘える人じゃねーんだよって言いたい!(笑)

――とはいえ、このメンバーでバンドとして活動し、ドラムをたたくのは楽しかったのでは?

これまで、バンドってどんな感覚なのか、全然わかんなかったんですけど、やってみたらすごく楽しかったです。音楽でぶつかり合うって、すごくうらやましいことだなと思いました。学生時代、友達とバンドを組んだらよかったなって思うくらい。