昭和をあまり知らない世代でも、マンガやギャグで使われている言葉には馴染みがあるようです。たとえば、ショックなときに使う「ガーン」や「がびーん」「がちょーん」など。ではその前は、ショックなときにどんな言葉を使っていたのでしょう? ひとつ、昭和の前から使われているものがあります。それは、「ぎゃふん!」。


「ぎゃふん!」は“昭和の死語”じゃなかった!?



「あいつをぎゃふんと言わせてやる!」などというときに使う、「ぎゃふん」という言葉。
実際に何かをされたときに「ぎゃふん!」と言葉に出して言う人はあまりいませんが、マンガなどでは、現代でもよく使われますよね。
実はこの言葉の発祥は、江戸時代。
由来は、諸説あるようです。

まずひとつは、「ぎゃー!」という驚きの叫びと「ふむふむ」という納得の言葉を組み合わせたものだというもの。
江戸時代の文献には「ぎゃふん」ではなく「ぎょふん」という言葉で出てくることも多く、「ギョっとする」の「ぎょ」から変化したのではないかとも言われています。

もうひとつは、1837年、大塩平八郎が捕らえられた際、逢坂奉行に対して「義や憤なり、義や憤なり、悔しきかな」と言ったところから転じた、という説。
「義や憤(ぎやふん)」は怒っていることを表現している言葉ですが、捕まってしまったため、意味が「ショックなことをされた」と変化したのでしょう。
可能性は低いそうですが、ひとつの説として残っています。

明治の作家、内田魯庵(うちだ・ろあん)も、作品の中で「先生頗る(すこぶる)ギヤフンと参つた(ギャフンと参った)」という一文を用いていることから、明治時代には一般的だった「ギャフン」という言葉。
死語ではなく歴史あるものなので、堂々と「ぎゃふん!」を使っていけそうですね!

文/岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「ぎゃふん! その由来は?」として、3月10日に放送しました。

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